見出し画像

知財管理システムのすすめ。Excel管理との違い

弁理士の大倉昭人です。root ipという会社で知財管理システムを作っています。root ipがはじめての知財管理システムというユーザも多く、以前はExcelで管理していたという声を聞くので、Excelと知財管理システムの違いを整理しました。


必要なデータが綺麗にそろう

知財管理システムには必要な入力項目が揃っています。また、優先権など必要な期限計算も自動的に行われます。データを整える仕組みがあるので、きれいで正しいデータを維持することができます。

Excelの場合、入力方法が属人化しがちです。また、人間には気づきにくいデータの揺らぎもあります。例えば、「発明太郎」と「発明 太郎」のようにスペース有無や全角半角の違いがあると、あとから集計に苦労します。

長期間のデータ記録に向いている

知的財産権は10年を超える長期間の管理が必要です。知財管理システムは、長期間の管理を前提として作成されています。例えば、バックアップやログ機能により、途中で誤ってデータを上書き/削除してしまうという事故を防げます。

Excelの場合、長期間の運用では下記問題への注意が必要です。

  • 操作ミスでデータを上書きしてしまう

  • 担当者の変更でデータにばらつきが出る

  • 関連データが分散して消失する、すぐに調べられない

データを活用しやすい

知財管理システムは、データの検索が簡単です。検索データをCSVとして一括出力することも可能です。また、レターやメール、請求書といった帳票類を簡単に発行できます。案件番号などは自動的に差し込まれるので、手でコピペ作業する必要はありません。

API機能を備え、社内システムと自動連携できる知財管理システムも存在します。いわゆるDX基盤として、業務効率化を進められます。

Excelで同様のことをするなら、マクロや差込文書、RPAツールでの作り込みが必要です。属人化を防いだり、長期間保守するための対応が必要となります。

知財管理システムを導入する基準

期限管理の公的なサービス(無料)として、2020年2月に特許庁が「特許(登録)料支払期限通知サービス」を開始しました。50件まで案件登録できるので、件数としては、これが一つの基準になるかもしれません。

「案件(将来分含む)が50件以内で、シンプルな期限管理のみであれば、Excelと公的サービスで対応する」という選択肢もあり得るイメージです。

件数によらず、知財データを活用して業務を効率化したい場合、知財管理システムの早期導入が一案です。報奨金計算や、ワークフロー、チャット機能、各種集計など、多くの効率化機能がすでに備わっているためです。

知財活動において、強い権利の取得には本業に集中できる環境が必要です。現在の業務フローに課題を感じている場合、まず知財管理システムを調べて比較検討してみることをお勧めします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?