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行政デジタル化のデザイン レポ

デジタル庁の方のお話を聞く貴重な機会があったので、今回はレポ形式で。

行政サービスのデザイン

行政サービスの紙の多さ、手続きの分かりにくさに我々はとても苦労している。徐々に改善は進んでいる部分もあるが、これまでは一方的な情報発信、わかりにくい入力フォーマットといった部分で、UI/UXが重視されていなかった。
UI/UXを変えていくためには、仕組み自体を変えていかなければならない。ゆえに、サービスをレイヤー構造化して、インフラ、データ、システム、UI、それぞれのレイヤーでUX向上に向けて施策をしているとのこと。

例として、補助金申請のシステムも目下アップデート中(2022年7月時)とのことで、これまで補助金ごとに同じような定型情報を入力していたところを、プール化・共通化させるらしい(データ領域での施策)。1つのシステム、1つのレイヤーでもアップデートするのはとても大変そうだが、これらを地道にやらないと最終的なUXは改善していかない。

行政組織のデザイン

デジタル庁の構成員は、中央官庁、地方自治大、アカデミア、民間の大企業、スタートアップとまったく文化の異なる人たちが来ていたため、とてもカオスな状況であったそう。バックグラウンドが多様すぎて、ここまでカオスな組織はそうそうないだろうな、、と想像する。。
組織として統一していく必要があり、今まさに取り組んでいるとのこと。

・トップダウンが利く組織ストラクチャーを作って、スピード感を持って組織デザインを進めていった
・ミッション、ビジョン、バリューを定めた
(評価制度も、ミッション、ビジョン、バリューに基づいて設計した)

組織づくりについていくつかのキーポイントを教えてもらったのでメモしておく。
・やる気のある人をケアしていく、火をつけていくことが大事
・新しいことに取り組める評価制度、時間を確保できるようにする
・組織が楽しくなるようなファンコミュニティの仕掛け
・コミュニケーション方法の設計
細かいかもしれないが、メール/チャットなど、現場では構成員それぞれのバックグラウンドによってやり方が異なり、とてもストレスフルなやり取りがされていた。ここを整備することも現場のコミュニケーションをなめらかにするために重要であったとのこと。

社会のデザイン

デジタル庁の中では少し先の未来を見据えたR&Dも行っていた。
「ほとんど賛成する人がいないような大切な真実は何か?」
とか、グローバル化が進む中で、
「国の機能とは何か?(公共サービスの提供?帰属意識?)」
など、
また、新しい統治のデザインとして、中央集権的に資源を再配分する行政のサービスではなく、シェアリングにより分散化した行政サービス、コミュニティマネージャーとしての行政のサービス、自己参画と委任の組み合わせによる「液体民主制」など、、

レイヤー構造での思考

お話は物事をレイヤーで分けて構成されていたので分かりやすかった。
デジタル庁は様々な視点で新しい取り組みにチャレンジしており、未来の問いを設計するスペキュラティブデザイン的なことも取り組まれていて、とても興味深かった。

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