日本人とは日本語で話したい

学校で教わらない言葉

ビジネス用語として、インプットやアウトプットという言葉が当たり前のように使われています。

一方、ネットで調べると、これらの意味を解説している記事がたくさん見つかります。どちらも母国語(日本語)ではないので、正確な意味がわからず調べる人が多いのだと思います。

曖昧に使われる言葉

例えば、インプットは「知識を蓄えたり経験を積むこと」を意味していると思います。しかし、インプットが大事と言われても、知識と経験のどちらを重視しているのか、発言者の意図を正確に汲み取れません。

曖昧な言葉を使えば、意思の疎通は難しくなります。そもそも日本語で解説するなら、初めから「知識を蓄えること」とか「経験を積むこと」と表現した方が明確でわかりやすいです。

「仕事」と「ビジネス」

「仕事」という日本語があるのに、「ビジネス」という言葉がよく使われます。goo国語辞書で調べると、次のように書かれていました。

し‐ごと【仕事】 の解説
[名](スル)《「し」はサ変動詞「す」の連用形。「仕」は当て字》
1 何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。「やりかけの仕事」「仕事が手につかない」
2 生計を立てる手段として従事する事柄。職業。「将来性のある仕事を探す」「金融関係の仕事に就く」「週の半分は自宅で仕事する」
3 したこと。行動の結果。業績。「いい仕事を残す」
4 悪事をしたり、たくらんだりすること。しわざ。所業。「掏摸 (すり) が集団で仕事をする」
5 《「針仕事」の略》縫い物。裁縫。
「お前急に一つ―をしてくれんか」〈紅葉・多情多恨〉
6 力学で、物体が外力の作用で移動したときの、移動方向への力の成分と移動距離との積。単位はエネルギーの単位ジュール、その他ワット秒・ワット時など。
ビジネス【business】 の解説
1 仕事。職業。また、事業。商売。「サイドビジネス」
2 個人的な感情を交えずに利益の追求のみを目的として進める仕事。「ビジネスに徹する」

「ビジネス」と表現するときは、利益の追求を重視している気がします。一方、「仕事」と表現するときは、何かを作り出したり、成し遂げるための行動を重視している気がします(「作る」ではなく「作り出す」というのがいいですね)。

おわりに

democracyという概念が外国から輸入され、「民主制」という言葉が創られました。国民が主権をもつ制度ということが、字面から読み取れます。「デモクラシー」では、字面から意味を汲み取ることができません。

国際規格などで標準化されている用語は、そのまま使うことで目的を明確にできるとも思います。しかし、日本人同士でも多用する概念であるならば、日本語で言葉を創った方が意思の疎通がしやすいのではないでしょうか。

日本語に含まれない意味を表現したいなら英語も役に立ちますが、そうでなければ慣れ親しんだ日本語で話したいです。

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