<第12回> ラグビーの得点方法がわからない!を私なりに解説します」


「ラグビーはルールがわからない」

「ノッコンとスローフォワードしかわからない」

「密集で何が起きているのかさっぱりわからない」



ラグビーについて語るとき、多くの人が語り、多くの人が聞かされてきているコメントだと思います。


ラグビーはそもそも、競技という現場で起きている現象をもとに、後からルールが設定されていくという歴史を持った少し変わったスポーツといえます。


毎年、ある時期に他競技の方々からは考えられないような大幅なルール変更が国際団体のWR(ワールドラグビー)から全世界に通達されます。

その時期の情報戦たるや、凄まじいものがあります。


そもそも「密集で何が起きているか、、、」 ラグビー経験者が観戦していても、何が起きているかわからないことが多々あります。


スクラムに関しては、ラグビー経験者でもスクラム経験者は一部の選手しかないため、正直何がどうなっているのか???というのが本当のところです。

(初期にイギリスのパブリックスクールで寮対抗や学校対抗で実施していたときは、おしくら饅頭のような形だったと思いますが、どうしてあのような形になったのでしょうか??? スクラムのメカニズムだけで数回分、特集できてしまいますのでここでは割愛させていただきます。)



そんなラグビーですが、今回はルール解説ではなく、「ルールがわからなくても得点方法を知ることで楽しめる見方」のようなものを私なりに解説したいと思います。



得点方法は意外にシンプルです。


【トライが5点、トライ後のゴールキックが2点】

トライをするとボーナスとして2点獲得できるゴールキックの権利が与えられます。

 *あえてボーナスと書きましたが、本来はラグビーフットボールという名前だけあって、ゴールキックが得点のメインの価値でした。

トライという名称は「ゴールキックに《トライ》できる権利を与えられる」というものだったようです。


なお、ゴールキックは、トライをした地点の延長線上ならどこからでも蹴ることが出来ます。

 

H型のゴールポストのポールとポールのスペースは正面から見るとかなり広く見えます。しかし、端の方から見るとそのスペースがとても狭く感じます。

 

そうなんです。だからトライをするときはできるだけフィールドの真ん中にトライしようとするのです。

 

 また、角度でポスト間が狭くなるというデメリットだけでなく、端にトライすると「距離」という難敵も発生します。真ん中にトライすると10mくらいからの距離でも簡単にゴールキックをすることができます。


しかし、トライした地点がフィールドの端っこだと、それだけでゴールポストまで35m近い距離が発生してしまいます。

真横から蹴るわけにはいかないので、最低でも20mくらいは下がって蹴らないとポスト間のスペースが発生しません。


そうなんです。端っこからのゴールキックは40m近い距離のゴールキックを決められるだけの力は必要になるのです。中学生以下の選手だとかなりの至難の業です。



【ペナルティゴールは3点】


ペナルティゴールは優秀なキッカーだと50mの距離でも決めることが出来ます。

ラグビーにおいて「敵陣で戦う」ことの重要性は、陣取り合戦の概念からともいえますが、攻撃側はペナルティゴールの射程圏内となるエリアともいえます。


自陣で反則し、相手チームにペナルティゴールの権利を与えることはペナルティゴールで3点を与える可能性があるということに直結するので「敵陣で戦おう!」という戦略になるわけです。



ちなみにトライの点数は現在5点ですが、私が現役時代(30年前)までは4点でした。その数十年前までは3点でトライとペナルティゴールの得点が一緒という時代もありました。

このことからもフットボールとしての歴史の変遷が見てとれます。

(ラグビーも然りですが、アメリカンフットボールはラグビー以上にキックが少ないですけどフットボールですよね!)


ラグビーボールでゴールキックとペナルティキックが蹴れる選手は実はチームにそんなに多くいません。(私もバックスでしたが一切蹴られません💦)


技術的に必要な要素はサッカーのセンタリングキックやサッカーのゴールキックと同様だと思ってください。


地面に置いてある楕円球を高く遠く蹴ることは見た目以上にさまざまな技術が必要です。



【ドロップゴールは3点】


 ラグビーの得点方法でトライ、ゴールキック、ペナルティゴールは認知されていると思います。


しかし、ドロップゴールと言われると「???」と思う方が多くいらっしゃると思います。

なぜ「???」となるかというと、そもそもドロップゴールをチャレンジするシーン自体が数試合に1回程度だからだと思います。



前述のゴールキックとペナルティゴールはバスケットボールで言うとフリースロー。サッカーでいうとPKのため、キッカーは基本的にキックに集中できます。



しかし、ドロップゴールは30人がそれぞれ激しく動き回る最中に楕円のボールを地面にワンバウンドさせてからキックして、ゴールポストを通過させるというかなりの度胸と技術が必要になります。

(楕円球を正確にワンバウンドさせること自体が相当難しいです、、、)



失敗すれば、基本的には相手ボールになってしまいますし、それ以上にこの「ワンバウンドさせてから蹴らなければならない」というのがかなり厄介です。


アメリカンフットボールのキックの時のようにチャージにくる選手をブロックしてくれる味方もいません。

(ラグビーの場合はブロックすると逆にオブストラクションという反則を取られてしまいます)


しかし、ワールドカップの決勝などのハイレベル同士の緊迫した試合の序盤や終盤に見られる貴重なプレーでもあります。


うまくいけば、相手と接触なく点数を獲得できるキックでもあるのでラグビー日本代表の大きな武器になるとも思っています。


高校生がオールブラックス(ニュージーランド代表)にスコアできる唯一の方法ではないかと個人的には思っています。(その前に密集戦でボールを獲得したり敵陣地に入るというもっとも困難なことが待ち受けていますが、、、

バスケットボールの女子代表がスリーポイントシュートを武器に強豪相手に活躍している試合を過去に見たときにもドロップゴールの有効性を強く感じました、、、)



前回の「陣取り合戦」と今回の「得点方法」、この2つがわかるだけでもラグビー観戦は充分に楽しめると思います。


また、試合終盤で接戦ですと、どの得点方法を狙うかも結果を左右する大きな決断となります。

【残り5分、9点差で負けている、、、】 
 ①2トライして10点を狙うか、、、
  それならばキックを蹴らずにボールを前に運ぼう! 
 
 ②3分間かけて敵陣に入って、相手の反則を誘おう!ペナルティゴールを狙って
  3点で6点差。 ラストの攻防でキックを使わずになるべく真ん中にトライ
  して5点+2点で大逆転しよう!


応援するチームがどちらを狙って戦っているのかを考えながら見るだけでもドキドキすると思います。 

こういったさまざまな得点の組み合わせがあるのもラグビーの醍醐味です。


次回もラグビー?あるあるについて

「ラグビーのルールがわからなくても、レフェリーの腕を見ていれば楽しめます!」

こちらについての私見を書きたいと思います。




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