【24】「物語」を体験させる怪作『熱帯』森見登美彦
これを読むと読書が嫌いになるかもしれない。
著者が怪作と呼ぶにふさわしい難解さでトラウマになる可能性がある。
だがしかし
ハマる人にはとことんハマる魅力がある。
そんな好き嫌いがはっきり分かれる小説だと思う。
繰り返し読むこと6回
謎の真相が気になり舞台である京都まで行ってしまった。
誰も読み終えたことがない謎の本『熱帯』を巡る物語
小説のタイトルである『熱帯』が物語のなかで小説として登場する。さらに、小説のなかで『熱帯』自体の世界に入り込むことになる。
物語は何層にもなっており、どんな場面なのか、誰の話なのか、読んでいて不思議な世界に迷い込んでしまう。
小説を読んでいて、「物語を体験する」という感覚を味わうことができる。
「物語を体験する」とは、「物語を読んだ後に、読む前と少し違う世界にきた感覚が残る」とも言える。
さらに言い換えると、物語を読むことは、他人の人生を体験することであり、その物語を取り込んだ物語(人生)が新たに生まれることでもある。
物語が物語を生む無限ループに通ずる。
謎を謎のまま楽しめる人はぜひ読んでほしい小説
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