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2022 田植え完了

あっという間に5月が終わってしまいました。色々問題もありましたが、なんとか田植えまで持っていくことができて一安心です。米作りには『苗半作』という言葉があります。苗を育てるまでで、半分米作りが終わった、または半分成功したようなもの、という意味です。もし米作りと酒造りの作業比重が同じであるとすると…

皆さん朗報です、もうお酒が25%もできています。やったね。

苗づくりについて

2022年田植え直前の苗

初めてにしてはかなり立派な苗になってくれました。3葉期です。珪酸資材を入れたり、薄まきにしたのが効いたのか、茎もがっちり太くなってくれました。
ただうまくいかなかった点もありまして、まず写真のように1葉目の葉先が少し焼けてしまいました。80%遮光の緑化シートで緑化させてから剥いだつもりでしたが…

緑化シート剥ぎ直後
シート剥ぎ1日後

見た目緑になっていても、急に強い光が当たる環境にしないほうがいいのかなと思いました。日中の強く光が当たる時間帯は今回使ったシートをかけておくとか、また遮光率の低いシートをかけておくとかして、光馴化を段階的に進めてあげるほうが良い気がしました。

次は根っこの問題です。こちらは無知ゆえの失敗だったのですが、

田植え前の育苗箱の様子

箱下の穴から出てきてしまいました。育苗箱の底に紙は敷いておいたのですが、これってただ土とかを穴から漏らさないようにするためだけの物なのですね。このままだと苗を箱から取り出すことができないので、仕方なく外に出た根っこは切りました。しっぱい。

あと一つ、カビ問題がありました。

加温出芽終了時

今回種籾からの最初の芽出しは29〜30度ほどで2〜3日加温出芽させました。終了後の様子が写真の様な状況なのですが、箱あたり約5箇所ほどから白いカビが見られました。このカビの中心には種籾がありましたので、おそらく種籾の温湯消毒が不十分だったのでしょう。芽出しの温度も少し高かったかもしれません。

播種後6日目

その後カビが広がる様子は見られませんでしたが、写真のように局所的に出芽が遅れてしまった物が一部で出てきました。入水後は遅れた部分も何とか生育してくれましたが、健全な苗が3葉期ほどなのに対し、遅れた苗は小さい物で2葉期ちょっとほどの大きさでした。

播種後6日目
播種後21日目(田植え1週間前)
生育ムラはあまり気にならないほどになる


今年の育苗に関するミスは、稲の生命力に助けられたこともあり、どれも生育への影響は小さくて助かりました。この一喜一憂だらけの一ヶ月はとても勉強になりました。

圃場準備

今年も3月に土壌分析から始めまして、1期有機栽培に着手してどう変わったかな、と少し期待していましたが、

昨年(上)と今年(下)の土壌分析結果

結果はご覧の通り、そこまで大きく変わってはいませんでした。珪酸資材は毎年入れないといけなさそうです。良い点が2つあるなと思いまして、1つは腐植の減少で、正確なことは不明ですが、圃場に農薬を使わなかった影響なのか、目に見えていない土壌微生物の増加が期待できます。もう一つはpHが中性寄りになってきたことで、化成肥料を使わなかった影響なのではと思っています。

肥料混ぜ込み(4/6)

昨年までは窒素、リン、カリ(以下NPK)と珪酸しか考えていませんでしたが、今年からはpHと石灰や苦土などのミネラルについても対策してみます。pHについては、土壌を中性にすることで根っこに酸化鉄皮膜が張らなくなり、白い根の状態を保つことができるそうです(その分硫化水素のガスに弱くなって根腐れするリスクもありますが)。この状態であれば根からの養分吸収効果が高まります。加えて生育に必要なミネラル分が吸収されやすいバランスの環境をつくることで、より健全にイネを生育させてあげることができます(詳しく知りたい方はBlof理論と調べると出てきます)。

というわけで今年はミネラルとして石灰、苦土と珪酸資材を、NPKとしては去年は油粕やらも入れましたが、リン不足らしいので豊富に含有している鶏糞だけにしました。また昨年は肥料を控えたつもりでしたが、窒素過多の傾向がみられました。残存窒素が多かった可能性も否定できないので、今年はひとつの圃場は昨年と同程度の窒素分3.5kg/10aを、もう一つを1.5kg/10aになるように鶏糞を入れました。後者はかなりの減肥にしてみましたが、はてさてどんな違いがででくることやら。

藻繁殖

5/20の圃場

今年も昨年と同じく生き物のために早い時期(4/7)に入水してずっと放置していたわけですが、藻があれよあれよと増えていきまして、田植え1週間前にはほぼ全面に広がっていました。といっても大部分は茶色になっており消失しかかっていましたが、このままだと田植えやその後の除草作業に支障を来す可能性が出てきました。何も考えずずっと放置していた私が悪いのですが。

除藻作業
邪魔しにきたアマガエル

藻対策には農薬以外にも数日水を抜くなどの方法もあるのですが、既に大量の水性生物が活動しているので、しょうがなく写真のように藻を寄せて取り除くことにしました。非常に無駄な手間でしたので、来年からは松を使って藻が広がりにくい環境づくりをしようと思います。

そんなこんなでようやく田植え

田植え後(5/27)

この地域ではどこの圃場よりも早く入水したはずなのに、いつの間にか我々以外どの田んぼも田植えが終わっているという摩訶不思議なことが起こっていました。近所の方は弊社の田んぼを車で通り過ぎる時、決まって減速して様子を伺っていきます。絶対『お前んとこ今年は植えんのけ?』とか思われてるに違いない。
そんなのんびりしている我々ですが、5/26、27に田植えを終えました。昨年は全部手で植える挑戦をしましたが、大きなメリットは農作業の苦労がわかるというくらいでしたので、今年からは田植え機で作業しました。しかし田植え機初心者なのと苗床が柔らかかったのとで欠株だらけの田植えとなってしまい、結局2〜3割を手植えすることになってしまいました。手伝ってくださった方ほんとすみません、ありがとうございました。

これから1ヶ月は雑草との格闘です。新たな装備を整えて立ち向かおうと思います。

おまけ

初観測のアカハライモリ(準絶滅危惧種)
藻取り作業中に発見
トカゲと違い非常にゆっくり動く
つまりかわいい
変態途中のアマガエル
4月が昨年よりも少し暖かかったため
やや早く進行


おわり

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