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真のユーザーファーストはデータを見よ

以前こちらの記事を書きました。動画コンテンツのレッドオーシャン化と、それでも参入するものの現状維持から逃れられない"おじさんクライアント"について考えました。

それに関連して興味深い記事がありました。

「すべてのジャンルはマニアが潰す」という言葉は、商品を買ったりサービスを受ける側だけではなく、商品やサービスを提供する側にも言えることだと強く感じています。

商品やサービスを提供する側は、仕事として取り組むわけですから、その商品やサービスにずっと向き合っているわけです。だから必然的に誰よりも詳しくなります。「こうすればもっと便利になる」「こうしたほうが面白い」「こうすれば使いやすくなる」といったアイデアも、すでにマニアの考え方になっている可能性があります。

ユーザーからしてみたら、初めて見るサービスかもしれないわけです。それなのに過剰機能・過剰サービスが起こってしまうのは、供給サイドがマニア化してしまうからです。商品やサービスを受ける側の気持ちを忘れて、提供する側が自己満足に陥っているのです。

おじさんクライアントの特徴である「自分(や会社)の言いたいことを言えばみんな聞いてくれるという、過去の成功体験や固定概念を捨てられない」は以前指摘しました。

加えて、競合するコンテンツやサービスと比較して、何が強みなのか、どこを差別化すべきなのか、何を捨てるか。この点をユーザー目線で考えないと、飽和するコンテンツの中でユーザーに引っかかることはありません。

合理的な判断はデータに頼ろう

ひとつ事例を紹介します。

今年春、とある地方で生物を扱う展示施設のYouTubeチャンネルの立ち上げに関わりました。詳細は伏せますが、スタッフが得意な分野を現地レポートする10分程度の内容で、まずはお試しで3本公開し、広告配信で拡散しました。

テーマA:歴史実験ネタ
テーマB:ローカル風物詩ネタ
テーマC:身近な環境問題ネタ

当初、この中だとテーマA・Bは撮影現場が非常に盛り上がり、特にAはインパクトのあるネタでした。一方Cはかなりニッチな話題で、そもそも検索ボリュームも少ない。撮影時もあまり面白味を感じられず、再生回数も厳しいだろうと予想していました。

しかし、配信してみると、テーマA・Bは広告以外であまり伸びていないのに対し、テーマCは関連動画からの流入が高い結果となりました。

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広告でターゲティングした視聴者属性以外の層にも伸びており、母数は多く無いものの、このテーマに対し潜在的なコアニーズがある可能性が考えられます。

かたやテーマAはクリック率が高いのに対し、視聴完了率は10%以下。釣れてはいるが内容には興味がなかった、もしくは見て欲しい層と上手くマッチングできなかったか可能性が考えられます。

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無論、データだけで全てを理解することはできません。今後AIの精度が向上し、取得できるデータや分析コストが下がると、データによる優位性は低くなります。ユーザーへの想像力や観察、トレンドへの理解など、定性的な視点が必要不可欠です。

しかし、ビジネスで一定の予算を掛けて行う以上、データを見る目を養い、そこから仮説や打ち手を導くことができれば、合理的な判断ができ生産性も向上し、手段の目的化を防ぐことができるのではないでしょうか。

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