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#3 【ワイン用ブドウ】の【品種・栽培方法・生育サイクル】

こんにちは!AKIHAです。

今日の記事ではワイン用に栽培されるブドウの品種や栽培方法についてアプローチしていきます。

この記事を読むとどうなる?

  • ワイン用のブドウの品種名を覚えられます。

  • ブドウ栽培の全体像がイメージできます。

  • どうやってワインが出来るのか知識が深まります。

ワイン造りには大きく分けて「ブドウの栽培」と「ワインの醸造」の2つの工程があります。

普段見聞きできない、天候や土壌と向き合うブドウの栽培、つまりは農業的側面について知ることで、皆様がワインをより深く楽しめる教養の一つとなれば幸いです!

ワインのために生まれしブドウ

ブドウは、ブドウ科(ヴィタセア [Vitaceae] )・ブドウ属(ヴィティス [Vitis] )に属する冬季落葉性のつる性植物です。

そのブドウ属の中に多くの種がありますが、特に以下の4種がワイン用のブドウとして有名です。

▶代表的な4品種

(1)ヴィティス・ヴィニフェラ [Vitis Vinifera]
 ・欧・中東系種。
 ・世界のワインのほとんどがヴィニフェラ種に含まれる。
 ・1000品種以上あるが、実際に使われるのは100品種程度。

(2)ヴィティス・ラブルスカ [Vitis Labrusca]
 ・北米系種。
 ・湿った気候に適し、耐病性もある。
 ・フォキシー・フレーバー [Foxy Flavor]と呼ばれる独特の香りを持つ。

(3)ヴィティス・アムレンシス [Vitis Amurensis]
 ・東アジア系種。

(4)ヴィティス・コワニティ [Vitis Coignetiae]
 ・日本で自生する山ブドウ。

▶果実の断面図と部位

果肉ピュルプ [Pulpe] )と果汁ジュ [Jus] ):
 酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、ブドウ酸を含む。

蝋質(ろうしつ)(プリュイーヌ [Pruine] ):
 酵母が付着する。

種子ペパン [Pépin] ):
 タンニンを多く含む。 
 種子の間は最も酸が強い。

果皮ペリキュル [Pellicule] ):
 アントシアニン類を多く含む。
 果皮の内側は糖度が高い。

(こう)(ペディセル [Pédicelle] ):
 タンニンや渋みを多く含むブドウのヘタ部分。

ワイン用ブドウの栽培方法

▶1年間の生育サイクル

ブドウの生育は以下のような流れになります。

休眠」→「萌芽(ほうが)」→「展葉」→「開花」→「結実」→「着色」→「成熟」→「収穫

栽培に関する流れを大きく4つに分けました。

フランス語の用語も知っておくとソムリエ試験対策にもなりますし、現地のワイナリー訪問の際には踏み込んだ会話に繋がるかもしれません。

(1)休眠期:
土寄せビュタージュ [Buttage] )
剪定タイユ [Taille] )
樹液の溢出(いっしゅつ)(プルール [Pleurs] )

(2)萌芽・展葉期:
萌芽デブールマン [Débourrement] )
展葉フイエゾン [Feuillaison] )
つぼみブルジョン・ア・フルール [Bourgeon à Fleurs] ) 

(3)開花・結実期:
開花フロレゾン [Floraison] )
結実ヌエゾン [Nouaison] )
夏季剪定ロニャージュ [Rognage] )

(4)着色期:
着色ヴェレゾン [Véraison] )
成熟マチュリテ [Maturité] )
収穫ヴァンダンジュ [Vendange] )

▶2種類の収穫方法

果汁の糖度や酸度を確認した上で始まる収穫ですが、その方法には「手摘み」と「機械収穫」の2種類があります。

(1)手摘みのメリット
・傷つき(酸化)防止。
・選果可能。
・機械収穫できない場所でも詰める。

(2)手摘みのデメリット
・熟練者の手配が困難。
・作業時間が長い。
・労働コストが高い。

▶栽培に関する条件

(1)気温
・年平均10℃〜20℃。
・ワイン用ブドウ栽培には10℃〜16℃が最適。

(2)日照
・ワイン用ブドウの成熟に1000時間〜1500時間の日照時間が必要。
南向きの斜面に位置するブドウ畑は有利。

(3)水分
・年間の降水量は500mm〜900mmが望ましい。
・ブドウの成長期の過度な降水量はブドウの成熟に悪影響を与える。

(4)土壌
・水はけ(排水性)が良い。
・窒素・リン酸・カリウム等のミネラル成分のバランスが良い。
・やせた砂利、轢質(れきしつ)土壌が適している。

▶剪定と5つの仕立て方法

休眠期にブドウの剪定(せんてい)(タイユ [Taille] )を行います。それぞれの自然環境や品種の性質、歴史的背景、ワインのスタイルによって剪定を行うことでブドウ樹の形を整えます。

また、仕立て方は大きく分けて5つあり、国や地域によって異なります。

(1)垣根仕立て
ボルドー、ブルゴーニュ、ドイツ、イタリア等、世界的に広く採用されている。
 ┗長梢(ちょうしょう)剪定
  ┗①(ギヨ・サンプル [Guyot Simple] ):
   長梢1本と短梢1本からなり、左右片側に長梢を誘引する。
  ┗②(ギヨ・ドゥブル [Guyot Double] ):
   長梢と短梢を左右それぞれ1本残し、長梢を左右に広げて水平に誘引する。 
 ┗③短梢(たんしょう)剪定(コルドン・ロワイヤ [Cordon Royat] )

(2)棒仕立て
ドイツのモーゼルやフランスのローヌ地方北部で取り入れられている。針金で垣根を張れない急斜面に向いている。左右から2本の長梢を取り、ハート型に縛る。

(3)株仕立てコブレ [Goblet] ):
南フランススペインポルトガル等で取られる方法で、新梢を固定しないため、枝が過剰に伸長しない。乾燥地で多く使われている。

(4)棚仕立てペルゴラ [Pergola] ):
日本イタリアポルトガルエジプト等で採用される仕立て方。生食用ブドウの栽培にも使われることが多い。

ブドウの病虫害・症状・対策

▶生理障害

天候や栄養状態、不適切な栽培管理によって生理障害が起こることがある。そのうち花振い花流れ)(クリュール [Coulure] )は、受粉や結実の悪さから果粒が少なくなることから収穫量が減る現象のことをいう。

また、花粉による受精を経ない単為結果(種子なし果実)が多発すると、小粒のまま果実になる現象が起こる。=ミルランダージュ [Millerendage]

▶カビによる病害

(1)ベト病ミルデュ [Mildiou] ):
19世紀後半にアメリカから持ち込まれた輸入ブドウ樹が感染していたことでヨーロッパに伝播し、1878年に初被害が確認される。花、葉、果実が白いカビ状の胞子が覆われることで落花、落葉、落果する。
→ ボルドー液ブイィ・ボルドレーズ [Bouillie Bordelaise] )(硫酸銅+生石灰+水)を散布する。

(2)灰色カビ病プリチュール・グリーズ [Pourriture Grise] ):
ボトリティス・シネレア菌によって灰色のカビが生じる。乾燥した環境で熟したブドウに付くと貴腐菌(プリチュール・ノーブル [Pourriture Noble] )となって極上の甘口ワインになる。
→ イプロジオン水和剤で防除する。

(3)ウドンコ病オイディウム [Oïdium] ):
北米由来のカビで1850年頃ヨーロッパに伝播した。若枝や果粒が白い粉状の胞子で覆われてしまう。
→ 硫黄を含む農薬散布やベンレートベノミル)剤で殺菌する。

(4)晩腐病ライプ・ロット [Ripe rot] ):
収穫期のブドウの果実を腐敗させる病害。日本におけるブドウの病害被害で最大のものになる。
ベンレートベノミル)剤で殺菌する。

▶ウイルスによる病害

現在約50種類が確認されており、そのうち代表的なものはブドウ・リーフロール(葉巻病)、フレック [Fleck] 、コーキー・バーク [Corky Bark]など。
→ ウイルスフリーの苗で育成する。

▶細菌による病害

細菌(バクテリア)によって引き起こされる病害で ピアス病 [Pierce's Disease] が代表的。

▶害虫による病害

フィロキセラ [Phylloxera] は、19世紀の三代病虫害(ベト病、ウドンコ病、フィロキセラ)のうち害虫による病害。根に寄生し樹液を吸ってブドウ樹を枯死させる。
→ フィロキセラに耐性のある北米系の台木で接木した苗を用いる。

これだけ!本日のまとめ

▶ヴィティス・ヴィニフェラというブドウ品種が世界のワインのほとんどに使われる。

▶ブドウの部位には「果肉」「果汁」「蝋質」「種子」「果皮」「梗」がある。

▶ブドウの生育サイクルは「休眠」→「萌芽(ほうが)」→「展葉」→「開花」→「結実」→「着色」→「成熟」→「収穫」。

▶収穫方法は「手摘み」と「機械収穫」がある。

▶ブドウ栽培には年平均10℃〜16℃の気温、1000時間〜1500時間の日照時間、南向きの斜面、500mm〜900mmの年間降水量、水はけが良くミネラル成分のバランスが取れたやせた砂利、轢質土壌が最適。

▶仕立て方法には「垣根仕立て」「棒仕立て」「株仕立て」「棚仕立て」がある。

▶栽培において生理障害やカビ、ウイルス、細菌、害虫による病害が発生することがあり、それぞれに適した対策が必要。

以上、いかがでしたでしょうか?

濃い内容となりましたが、ワイン栽培に直接関わるブドウ栽培の全体像をイメージするのに役立つことができたならば幸いです!

ワイナリーによってはブドウの定植や収穫体験を募集しているところもあるため、そんな時に是非これらの知識を活用していただきたいです。

本日も最後までご覧くださりありがとうございました☆
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AKIHA

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