“Sleep of Memory” Patrick Modiano(translated from French by Mark Polizzotti)(Yale)

『眠っている記憶』 パトリック・モディアノ(マーク・ポリゾッティ訳)(イエール出版)

 2014年のノーベル賞受賞後、初となるモディアノの小説の語り手には、モディアノが言う「パリの謎」を膨らませる狙いがある。
 語り手が古いノートを見直していると、過去50年の記憶の断片がよみがえり、実在、幻想、虚構の境界がぼやけていく。
 とあるオカルト信仰者に会ったり、カフェで殴り合いをしたり、アパートで射殺したりと、その回想は陰鬱で、時に暴力に満ちている。しかし、やって来ては去って行く長い人生に対し、彼はもの悲しい苦笑いを続ける。
「たびたび疑問に感じている、謎に包まれたまま姿を消した人たち……彼らが単に隣人に入れ替わったのだと気がついたら、きっと驚くだろう。」
 
The NewYorker [November 12, 2018]

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