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昨シーズンスタッツから見つける目標値

 私は、バスケットボールのアナリストを目指しています。アナリストの仕事は試合などから「収集」「分析」「伝達」することが仕事です。今回ピックアップするテーマは「分析」です。

 分析には比較対象が必須です。その比較対象を何にするかによって、導かれる目的に沿っているかが変わってきます。今回は昨シーズンのスタッツから、B2からB1への昇格を目指す、茨城ロボッツの勝った試合平均と負けた試合平均を出し、傾向と勝利条件について見ていきたいと思います。

1. 得失点で勝敗別で比較して見えること

 このグラフは茨城ロボッツの勝った全試合、リーグ全チーム、負けた全試合のそれぞれの得失点の平均を比べたものを表しています。バスケットボールの競技特性上、多く得点を取ることと相手に得点を取らせないことが勝つために必要です。

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 昨シーズンの結果を見ると、横軸が茨城ロボッツの昨シーズンの全試合平均を表しています。茨城ロボッツのチーム平均得点は78.7点であり、全チーム平均は79点なのでわずかに平均を下回っています。チーム平均失点は77.3点と全チーム平均が78.8点なので平均より良い結果となっています。

 茨城ロボッツは、86.6点以上の得点(21.65点/1Q毎)と73.7点未満の失点(18.43点/1Q毎)に抑えることで勝利しています。

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また、1回の攻撃あたりで何点取ってこれる期待ができるかを示す得点効率(PPP=PTS/POSS)といいます。そのPPPで比較した場合、勝った時のPPPは1.07(=86.56/80.86)であり、負けた時のPPPは0.855 (=69.00/80.69)になります。

 求めたときの数式を見ただけで負けたのは攻撃回数ではなく、平均PTSに問題があることがわかります。次に負けた時の得点(PTS)が低い理由について考えていきます。

2. 負けた試合は遠いショットを多く選んでいる

 バスケットボールのショット距離によって3ポイントと2ポイントに分かれており、さらに2ポイントショットはペイント内かペイント外かに分けることができます。

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 ショット試投範囲を見た時、負けた試合は①3PとOut side paint(OP)の試投割合は試投率は増え、②2PとInsidePaint(IP)の試投数率は減っている傾向にあります。

 負けた試合は遠くからのショットを選んでおり、その結果勝った試合と負けた試合とでの平均PTSは17.5点ほどの差が出ました。勝つためには特にInside Paintの試投数を多くすることが必要であることがわかります。  つ次にInsidePaintの成功率を比較していきます。

3. 総得点の約半分をPitPで決める

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 ペイント内での得点(PitP)を見てみると、勝っている時は平均41点、負けた時は平均31.5点と10点近い差が出ていることがわかります。また、ペイント内ショットの成功率を見てみると、勝った試合の平均は57.6%、負けた試合の平均は54.2%です。そのため、勝つためにはペイント内ショットを41得点、総得点の約半分をPitPで決めることを目標にする必要があります。

【他の項目】
・PitP ペイント内での得点
・PfT ターンオーバーからの得点
・sTOV 相手のスティールに起因しないターンオーバー数:6.1
・FBP ファストブレイクからの得点:11.7
・SCP セカンドチャンスからの得点:11.4

4. TO本数を8本に減らすこと

 PitPに関わる要因としてORB%とFTRとTOV%を見てみましょう。4Factorを見た時、気になることはTOV%が勝敗関係なく近い値であることとFTRの差でした。

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 ショットを打てずに終わる割合を示すTov%は、勝敗関係なく15%近いことがわかり、1試合あたり、11.6〜12.3本打てなかったことになります。今シーズンからB2からB1へ昇格した広島と信州の2チームの平均TOV%は13.8%であるので、ショットを打てずに終わる本数を8.7〜9.2本に減らすことが必要です。他の項目でも昇格チームとの比較は、来シーズン昇格を目指すチームとして必須です。

 また、FTを打つ割合を示すFTRは大きな差があり7%の差があり、これはIn side paintで戦えてないことがFTを貰えないことに繋がっていると考えられます。

5. まとめ

*86.6点以上の得点(21.65点/1Q毎)と73.7点未満の失点(18.43点/1Q毎)に抑えることが茨城ロボッツの勝利条件である
*総得点の約半分をPitPにすること
*TOV%を13.8%(8.7〜9.2本)に減らすことが必要である

【さらに探究すべきこと(場所、人、時間、戦術等)】
*ペイント内ショットでの成功失敗の比較
*TOV%の種類別傾向