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あかいハートはがんばってる印/1歳児副耳手術記録(手術当日-翌日)

手術、無事成功しました!
本当によかった、よかった、よかった。

手術室に入っていく前に、麻酔を打たれながら「なんでー!」という感じで泣きながら連れていかれる娘を見送った瞬間、看護師さんの前だというのに泣いてしまった。手術室から聞こえる断末魔に耳をすます。だんだん聞こえなくなる。ごめん、こんな辛い思いさせてごめん、ごめんごめんごめん。何度思った事だろう。

祈るような気持ちで手術終わりを一人で待つ。
8時半にはじまり、予定では11時頃に終わると言われていた。

病室に戻ってまた少し泣く。落ち着いてから、一緒にいる間、ちょっとでも離れると泣いてしまうのでできていなかったことをする。これから何があるかわからないのだから備えておかねば。洗濯を回してしまおう、食器類も洗おう。あと数日分過ごせるくらいの食料を確保しよう。

そうして一通り終わってから、じっと病室で待つ11時過ぎの30分弱がとてつもなく長く感じられた。
よくないことをたくさん想像する。手術前に何故か「リスクは?」としつこく聞き「副耳!手術!危険!」みたいなURLを送りつけてきた母のことを思い出して吐きそうになる。(自分の親だけれど、ここまで人の心がわからないものなのか、それとも私が親としての自覚がないと思っているのか、なんなのか)忘れよう。娘の無事だけを祈ろう。いま一番いらない感情だ、捨てよう。

「終わりました!迎えに行きましょう」
看護師さんのその言葉にほっとしながら、エプロンをつける。気持ちが焦る。手術室前、きっとあのベットの中にいるのだろう、というところで、先生が「こんな感じで綺麗に取れましたよ、写真みます?」とほくほくしながらカメラを見せてくれる。見たい気持ちと、早く娘に触れたい気持ちがぐるぐるする。どうでもよくないけどどうでもよい。写真の中の娘はいろんな管がつけられて酸素マスクをつけ、副耳があったところは綺麗に黒い糸で縫われていた。(軟骨がしっかり入っていた様子までみせてもらったが、無理な人は無理な画像なのでは?と思う)

「ありがとうございます」先生たちになんども頭を下げながら、早く娘の姿をみたい、触れたいと願う。麻酔でまだ半分眠っているような娘「時々めを開けるので意識はあるみたいです」と言われて覗き込む。うっすら目があう。さっきまで管が入っていたようで声がうまくでなくてかすれている。辿々しく寝返りをうち力を込めて声を出して泣こうとする。「お母さん抱っこしてあげてください」と言われて、いろんな管がついた娘を、抱き上げる。頭が重そう。

それから病室にもどって、2時間くらい私の膝の上に頭を置き、薄眼をあけたような状態でぐったりしていた。でも眠るのが怖いのか、私がいるのを監視しているのか、薄目を開けてぼんやりしながらDVDのいないないばぁを観る。

3時間経つと麻酔が切れてきて痛みがあるかも、とのことで、気を紛らわす戦士として覚悟していたが、娘は痛みに強いのか、あまり変化なし。逆に麻酔が切れてきた事で横たわったまま「ピカピカブー」の動きをして(こんなピカピカブーダンスが嬉しかったことはない!元気になってきた兆しだった)にこっとしてから、やっとすこし安心したようで眠った。

そんなこんなで、痛み止めを追加する事なく、徐々に点滴を抜いてしまいそうなほど元気を取り戻してきて、15時ごろにはバナナやクッキー、おせんべいを平げ、夜ご飯も完食して、無事寝る前には点滴をとることができた。線が繋がっていないだけで、ぐっと動きやすくなるようだった。

………そして術後2日が終わろうとしている。もうなんだか病室にいて騒ぐのが申し訳ないくらいに元気になってきた娘をみて、やっと、このタイミングでやってよかったなあと思えるようになってきた。(結果論ではあるけれど)

今、育休中で、べったり一緒にいられる余裕があるタイミングで、よかった、やっぱりよかった。1歳なのでまだ何がなんだかわからないまま、全てに怯えていてかわいそうなのだけれど…。(先生や看護師さんが来るたびに「あっちいけー!」の意味でバイバイを繰り出している)

1歳児コロナ禍入院付添はなかなかハードで、

・プレイルーム使えない
・食堂ない
・娘は病棟から出られない
・付添も外出制限がかかっているので、一日一回のお昼寝タイムを見計らってコンビニダッシュし自分のご飯を買い溜めする(さながら籠城生活)
・基本病室のカーテンの中でご飯
・面会NGだからひとりでやるしかない
・トイレ行くのにも泣かれて焦る(相部屋)

といった感じなので結構精神的に疲れる。
娘もかなり敏感になっているので、尚更。

抗生剤を注入されるたびに大泣きして、「これがあるからいけないんだ!」と点滴ルートをとってある右腕をぐいぐい引っ張って怒っている。
先生が術前マークのために点滴ルートカバーの上に(黒ペンがつかなくて)赤で書いた「ハート」は、看護師さんが「血?!」と毎回慌てる仕上がりとなっている。

右腕の赤いハート。
頑張っている印。

このカバーは、記念に貰って帰ろうかな。
明日には点滴ルート外れる予定。

抜糸は来週だからもう一踏ん張りだけれど、
何もなければ明後日には一旦帰れる、はず。
帰りたい、帰りたいなあ。

隣でひとり頑張ってる女の子が、消灯で消された電気をパチンとつけてまだYouTubeをみてる音がする。よく頑張ってるね。お零れの光で堂々とスマホを弄る。
四人部屋。入れ替わり立ち替わり、いろんな子供達が、頑張っている。みんな、頑張ってる。

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