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就労ビザありの外国人を雇用した場合に必要なこと

先日、ある外国人から転職相談がありました。「 前職を退職後、派遣会社に登録(入社していない)して、その後、派遣会社からお仕事を紹介してもらい、そこで半年間仕事をしました。給与も派遣会社からもらっています。それで、これから転職をしたいのですが、相談にのってください。」という内容でした。一見すると、日本での就労ビザもあり、日本国内で就労経験も積んでいるので、いろいろと紹介可能な候補者のように見えますが、これが、実は、紹介できない人材になってしまうのです。
なぜ??理由は、半年間、派遣会社に登録でお仕事をしていたという事実が、不法就労に該当してしまうからなのです。外国人は、原則として、雇用(正社員か契約社員)が「なければ日本の滞在許可は維持でません。ですので、在留カードにかかれている期限内だったとしても、雇用がない状態では3ヶ月以上の日本滞在はできないのです。入管法を簡単に(乱暴に)解説してしまいますと、会社を辞めたら3ヶ月以内に国に返ってね。あるいは、その期間内に次の転職先を見つけてね。という内容になります。この点は、外国人を採用する企業も十分に理解しておかないといけないですね。
前述の登録型の派遣スタッフとして、外国人として働かせる場合、くれぐれもビザのチェックが必要です。家族に日本人がいるといった場合を除き、就労ビザも持っているからという理由だけでは、外国人の登録型派遣は、違法になってしまいますので、ご注意ください。
さて、では前書きが長くなってしまいましたが、本日の本題です。

転職で受入れた外国人に対して、どんな手続が必要か?

冒頭のケースに悪意があったか、なかったかは別にして、外国人本人あるいは派遣会社側にも知識があれば防げたケースだと思っています。とはいえ、当社にも「就労ビザを持った外国人の方を採用しようと思いますが、転職で採用した企業では、どのような手続きが必要なの?」という質問を、いただくことが多くあります。皆様、なかなか正しい知識もないと思いますので、以下を参考にしてもらえたらと思います。

日本に在留している外国人は「雇用関係に変更が生じた場合、届出なければならない」という決まりになっています。これは本人が届けを出す必要があります。会社ではなく本人ですね。

一方、会社は何もしなくて良いか?というと、これがちょっと違います。
転職によって雇い入れる会社は、既に採用を決定している外国人が保有している「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などのビザが、転職先(自社)の業務において、既に持っているビザの職務範囲かどうかを確認する必要があります。ちょっと、分かりにくいと思いますので、例えば、「調理師=技能ビザ」として在留資格が与えられている外国人が、「貿易事務」の職に就くことはできないということです。
つまり、「就労ビザを取得する際に、許可を得た職務内容と同類の職種として、転職しているか?を必ず調べておく必要があります。ちなみに、違う職種に転職する場合は、キチンとビザの変更申請をしなければ不法就労となってしまいます。

また、正当に採用していることを証明する目的で、「就労資格証明書」という証明書を入国管理局から発行してもらうこともできます。企業側もここまで対応しておければ安心です。この証明書が発行されるということは、ビザ取得時に申請されている活動範囲と、転職先である自社での活動範囲がほぼ同じであることが証明できるからです。

外国人を勝手に起用すると違法になります

脅かすつもりは毛頭ないのですが、外国人にビザが認めていない職務を担当させてしまうと違法になってしまいます。この点は十分に注意しておいてほしいと思います。しかし、当然、それでは、1人分の仕事がないよ・・・というお声も当然あるかと思いますので、その場合には、適正な研修としてのジョブローテーションであったり、本来の活動目的を達成するための教育期間であったりと、正当な理由をもって、本人にも通達した上で、幅広い職務を担当してもらうことは、可能です。その場合、本人だけではなく、入国管理局にもキチンとした説明も必要です。

まとめ

冒頭のケースは、外国人本人にも大きく問題があったと思います。勝手に自分の良いように解釈して、本人申請ができることを良いことに、届け出だけを出しておいて、会社には何も確認しなかったことが、よくなかったと思います。キチンと会社にも届け出を出すことを報告しておけば、もっと早くに発覚して、対処できたとも思います。
他方、採用する企業側も、登録派遣ではないとしても、就労ビザあり=なんでも仕事できる外国人とは思わないほうが良いです。採用が活発化しています店頭販売スタッフの募集などで、就労資格あり歓迎!みたいな求人情報も目にすることがありますが、これは、やや危ないなぁと思っています。
なぜなならば原則としては、販売スタッフという職種では就労ビザが認可されることはなく、翻訳や通訳、あるいは、店頭業務のコンサルティング、インバウンド対応などの本来の目的があるはずです。そこを無視して転職してきた外国人スタッフを、そのまま働かせてしまうと・・・・・危険です。。

この場では概略だけになってしまいましたが、詳しくは、ぜひ、身近な行政書士の先生や、外国人材を取り扱う人材会社などに聞いてみてください。
もちろん当社への問い合わせも大歓迎ですので、ぜひ!
ではまた。


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