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進み続けられる人たちの共通項

あぁそっか、ベクトルの向きが完全に違っていたんだな、と思った。


先日、人気のECサイト「北欧、暮らしの道具店」の新作発表会の配信を見ていたときのことだ。

「北欧、暮らしの道具店」の”店長”佐藤友子さんと、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」マザーハウス代表でデザイナーの山口絵里子さん<ブランド「ERIKO YAMAGUCHI」>がコラボして、真っ白なブラウスを生み出した。

一つの商品を世に送り出すため、お客さんに届けるまでに、どれほどのエネルギーが注がれたのか。配信でそのプロセスを知り、プロとしての姿勢や心意気、自信、そして熱量を感じて、俄然その「hope」と名づけられたブラウスに興味をもった。人は商品に宿った「物語」に惹かれて購入を決める(私も例にもれず購入!)というが、モノやサービスを提供するビジネスの、理想形がそこにあった。


「北欧、暮らしの道具店」のECサイトは、細部に渡って一つ一つの商品”物語”が丁寧に描かれていて、見れば見るほどいつも感動する。ファンが多い理由はここにあるのだろう。(テレビ東京「カンブリア宮殿」で「北欧、暮らしの道具店」の特集を見たら、佐藤”店長”がオススメするのだから、と全信頼を置いて商品を購入しているお客さんもいた。)

また山口絵里子さんは起業されたときからずっと気になっていて、著書を読んでいた人。その溢れ出るエネルギーはどこから来るのだろうと思っていた。


今回そういうお二人のコラボと知って、配信を見ることにしたわけだが、思いがけずお二人の仕事(事業)に向き合うお話に、「ベクトルの向き」について深く考えるきっかけをいただくことになる。



ここで少し自身の過去を振り返ると、私は5年と少し前に、テレビディレクターを続けながら起業した。

メディアに出たい起業家さんにそのきっかけを掴むポイントを教える講座から始まり、個人でYouTubeなど動画配信をする人が増えてきたときだったので、ビジネスにふさわしい、ファンが増える動画の映り方や撮影の仕方を伝える講座などを提供した。

現役が教えるという目新しいさもあって、そこそこ売れた。必要とされていると思えて嬉しかった。どどんと通帳のお金が増えていくのも楽しかった。

起業当初はそれでモチベーションは保てたが、「必要とされて嬉しい」は所詮、承認欲求。「お金が増えていくのが楽しい」は、このときはまだ将来的なお金の不安を感じていたから、それが解決される、一つの私にとっての自己実現に過ぎなかった。

そして起業して2年ちょっとだったか、私は発信することも、サービスを届けることもできなくなった。一言でいうと、自分のやっていることの意味が分からなくなった。メラメラ燃え盛っていた(と思っていた)心の炎がシュッと、一気に鎮火した。


ここで先のお二人の話だ。

佐藤さんと山口さんがお互いの仕事に向き合うスタンスを話していたとき、山口さんは「自己実現のためだったら、ここまで頑張れなかった」と言った。ここで自分が動かなかったらスタッフの動きを止めてしまう、そうして彼らの技術向上のチャンスを奪ってしまう、それをやってはいけない…
リーダーとしてスタッフを率いる責任感、プロとしての使命感、ひいては世の中でその商品を楽しみに待っている人たちへの想いが、山口さんを走らせていた。

また佐藤さんは、暮らしの中で感じたちょっとした気づきや感覚から企画が始まることが多いが、それからは商品を待っているお客さんのことをとにかく考えて、考えて、商品開発を行うと話していた。


あぁそうか。自分のためにやっていないから、この方たちはエネルギー全開で進み続けられるのだ…!私の中にポッと小さく炎がついたのが分かった。

何かを始めるとき、承認欲求や自己実現から始まってもいいだろう。でも大事なのはそこから。さらに進むには、ベクトルの方向転換が絶対に必要だったのだ。


もう一つ、私が進み続けられなかった理由。

起業したとき、結果や周りの評価ばかりに目が向いていた。そこに気を取られて、そのキリのなさに呆然とし、このままでは溺れてしまうよ、いま止まった方がいいよと、自己防衛本能がストップをかけたのだろう。

大事なのは結果ではなかった。もちろんビジネスをする以上、3次元的にみれば、プロとして結果を出すことは必要。

ただそれ以前に、発信する「主体」がどういう気持ちで発しているか、どういうスタンスでその仕事なり、プロジェクトなり、はたまた人間関係なりに向き合っているか、そのベクトルの”素”を、何より優先して確認すべきだったのだと、今なら分かる。


ベクトルの”素”と、どの方向を向いているかの確認。もし私が次に何かを手がけるならば、きっと出てくるものは変わるだろう。

お二人の話をこのタイミングで聴けたことに感謝!

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