【コラム】2.5枚目俳優

視聴者目線からの強引かつわがままな持論ではあるが今メディアでは2.5枚目俳優が増えていると思う。三枚目俳優ではなく2.5枚目俳優。
2.5枚目俳優って何?
もうしばらくお待ち下さい。まずは二枚目、言い換えればイケメンの言葉から考えていきたい。
イケメン俳優なる言葉はまだ誕生して日の浅い青葉の言葉である。
だがイケメンという言葉は既に広辞苑にも載っている。もうイケメンという言葉はこの先の未来もずっと使われることでしょう。
かつてはハンサムだったり色男だったりイケメンと類似した言葉が使われていたわけだが(もちろん今も使われているが)今は大半をイケメンが占めている。
白黒映画時代。二枚目俳優は誰だという話題で盛り上がっていた(とする)。
石原裕次郎さん。高倉健さん。勝新太郎さん。三船敏郎さん。鶴田浩二さん。高橋英樹さん…ここでは書ききれない昭和の大スターたちがいる。
銀幕のスター俳優たちは変顔もせずナイスガイを演じた。それから歳を重ねても二枚目俳優の方々はずっと二枚目俳優だった。圧倒的に二枚目をキープされた俳優が多かった。
今はどんどんイケメン俳優が毎年、いや、毎月、毎週単位で飛び出している。控えのベンチはイケメンたちで溢れている。
一人として同じ二枚目はいないのだが、二枚目飽和時代に二枚目たちは活路を見出さねばならない。
キャラを作ったり、活躍の場をバラエティに移したり、ピンポイントな趣味のマーケティングに椅子を置くものもいる。
いつしか三枚目に切り替えねばならない時もくる。
これが銀幕のスターたちとの時代の違いだと思うのである。媒体が豊富ゆえの嬉しい悲鳴。
さて、三枚目へいきなり移行できるものか。
これはゆっくりゆっくり石を磨くように丸みをつけ、輝きを増すように繊細な作業となる。
時間とスキルと才能を要する。
そこで私はひとつのキーポイントを見つけた。


【白いブリーフが履ければもう三枚目俳優】



何を血迷ったことを…と、思われるだろうがどんなにしゃべりを崩してユーモラスな役柄を演じても薄皮一枚の微妙な厚さを破れないと三枚目への通過儀礼は果たせないのである。
最近西島秀俊さんがその薄皮一枚に一番近い二枚目俳優さんだと思う。
西島秀俊さんはコマーシャルで特にコミカルな役柄を演じることが増えている。
それも数年前に比べたらぎこちなさが薄れている。柔らかく冗談を言っておられる。
だが、あともう一皮。その一皮を破れば紛れもなく西島秀俊さんは三枚目俳優へも切り替えられる二刀流になられるのだ。

かつて、阿部寛さんがあるドラマでホテルの上層階の大きな窓ガラスに向かって都会の夜景を前に白ブリーフいっちょうで仁王立ちしていた後ろ姿を全国の視聴者に披露した歴史的瞬間に、阿部寛さんは紛うことなき三枚目も自由自在ですよ!の、烙印を押されたのである。三枚目俳優阿部寛誕生の瞬間から幾年月。私はあの白ブリーフが登竜門だったに違いないと自信を持って主張できるのである。

しかも三枚目を演じたら二枚目には戻れないのではなく行ったりきたりできるのである。戻れるんです。(写ルンですじゃないが…)だったらそこを目指すに決まってる。
西島秀俊さんが白ブリーフで仁王立ちしていたらその瞬間から三枚目俳優西島秀俊爆誕の時である。

これが一視聴者の思う2.5枚目俳優から三枚目俳優への薄皮だと思うのである。だからなんだといわれればそれまでの話だが。


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