宮台アキ

先日離婚が成立し、15年間の結婚生活を終わらせたシングルマザー。40歳。編集者/ライタ…

宮台アキ

先日離婚が成立し、15年間の結婚生活を終わらせたシングルマザー。40歳。編集者/ライター。不倫(婚外恋愛)と離婚の顛末を書きます。一回り年下の恋人との現在のことも。

最近の記事

大切にできなかったもの

すっかり書くのをやめてしまっていた。 今読み返したら、昨年の夏に私はこんなことを書いていたのかと驚いた。そしてすぐ、確かにあんなことを思っていたと胸が熱くなった。やっぱり、日々の思いは書き記しておくものだと思う。 離婚からもうすぐ1年。相変わらず定期的に「元家族」の三人で会う日々が続き、恋人とも穏やかに付き合い続けている。 先日、机の引き出しの整理をしていて、ペンギンのかわいらしいブローチを見つけた。元夫が私にプレゼントしてくれたものだ。 5年ぐらい前になるだろうか。もら

    • 【彼のこと①】「正しい関係」だった4年間

      彼と出会ったのは、今から5年前。 会ってすぐに、自分に好意を持ってくれたのがわかった。あちらの話を聞こうとしても「それよりもあなたのことが聞きたいんです」と真剣な表情をして見せる彼。結婚して10年、冗談半分でも男性からそういう接し方をされたことはなかったし、わかりやすい好意を示してもらったのが久しぶりでうれしく、なんだか少しくすぐったくもあった。その後しばらくしてから、人づてに彼が私のことを「好みのタイプ」だと言っていたと聞いた。 しかし、彼がそんな雰囲気で接してきたのは最

      • 【元夫のこと③】変わってしまった関係

        元夫とは、息子を産んでからすぐにセックスレスになった。恥を忍んで私から声をかけても「疲れているから」と断られてしまう。 ありがちな話ではあるが、断られた翌日、そうした映像を見ているところに居合わせた時はショックだった。息子を習い事に自転車で送り届け、忘れ物を思い出し、大急ぎで帰宅した時のことだった。疲れてセックスはしたくなくても、そういう映像は見たいものなのか。ある種の諦めとともに、それ以来、私から声をかけることはしなくなった。たまたまその時期は、お互いの気持ちのタイミング

        • 【元夫のこと②】ずっと、羨ましかった。

          もともと私たちは、夢を追う者同士だった。 しかし、妊娠した私は産後の育児のため、また家族三人を養うためにそれまでの仕事を辞め、今の仕事に就いた。夢を道半ばで諦めた感覚はあったが、当時の私にとって、生まれてくる子供と夫との生活の方が大切だった。 それでも、やはりどこかで結婚前と変わらずに夢を追い続けている夫のことを羨ましく思っていたのも事実だ。夫は帰宅時間を気にせずに仕事をし、帰りには飲みに行く。「ワンオペ」状態で育児をしながら働く私は、気が向いたからと事後報告で飲みに行った

        大切にできなかったもの

          【元夫のこと①】一言で言うなら優しい人。

          そして、人当たりが良く社交的で、どんな人にも「良い人だね」と言われるような人だ。仕事から帰って夕食が用意できていなくても嫌な顔一つしたことがなかったし、休みの日には、自分が息子の面倒を見ているからと快く私を送り出してくれた。日常的に私のことを尊重してくれていたと思う。 私たちはよく「似ている」と言われていた。顔も、雰囲気も。初めて手を繋いだ時には、合わせた掌が馴染む感覚にびっくりしたものだ。その瞬間「なんだか気持ちがいいね」と彼に言われてさらに驚いた。この人は、運命の人かも

          【元夫のこと①】一言で言うなら優しい人。

          【自分のこと②】家族に身を捧げてきた13年だった。

          仕事もお金の使い方も、休日の過ごし方もすべて家族優先。やりたいと思ったことは大体、諦めるか妥協するか、途中で断念した。夢追う自営業の夫に代わって家計を支えながら、いわゆる「ワンオペ」で育児をしてきた。 そして昨年、息子の中学受験が終わった。第一志望校に入学した息子は、先生や友人に恵まれ、充実した学校生活を送っている。これまでは幼い手を引いて私が先導してきたが、ここから先は、息子が自ら選ぶ道を応援する立場に回ろうと思った。 そして私はいつの間にか「40歳」になっていた。あ、

          【自分のこと②】家族に身を捧げてきた13年だった。

          【自分のこと①】昔から忘れっぽい性格だったけれど、

          拍車をかけて、忘れっぽくなっている。 年がら年中握りしめているスマホのせいなのか、はたまた年齢のせいなのか。一日は目まぐるしくあっという間に過ぎ、足元が見えない道を勘を頼りに歩いているような気がする。 特に、子供を産む前の記憶は、霞がかっている。 「あの時、一緒にあのバンドのライブへ行ったよね。楽しかったね」 友人からTwitterでそんな返信をもらってびっくりした。つい15年前のことなのにまるで覚えていない。あれほど大好きだったバンドなのに、ライブへ行ったことを思い出せ

          【自分のこと①】昔から忘れっぽい性格だったけれど、

          【はじめに】恋をして結婚して、恋をして離婚した。

          私は、すぐに忘れてしまう。 きっとこの日々のことも、忘れてしまう。 そしてこの日々のことを、忘れてしまいたいと思っている。 でも、本当は忘れてはいけない。 人を傷つけ、人を変え、人生さえも変えてしまったこの季節のこと。 だから、書き留めておくことにした。 私はつい先月まで、夫と中学生の息子と暮らしていた40歳の女だった。 そして今は、中学生の息子と二人で暮らしている40歳の女になった。 ちょうど一か月前に、離婚をした。 私の戸籍には、私一人しかいない。 10歳上の夫だ

          【はじめに】恋をして結婚して、恋をして離婚した。