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誰のための仕事なのか、N=1で考える。

抽象的に理解し、抽象的に思考できることは
賢さの象徴のひとつでもあり、変化が多様な時代において
とても重要な資質の一つであることは否定しません。

とはいえ、抽象度が高いだけでは、
結局、人や世の中の役に立つことはできません。

仕事とはあくまで超具体で、
実際に手を動かし、口を動かし、身体を動かしてはじめて
自分以外の誰かに届きます。

考えているだけでは一円の価値も生み出せず
抽象化したものを具体化してはじめて価値につながる。

今日、部内の研修でいくつかのチームに
事業をとりまく外部環境分析の結果を共有してもらいましたが
これと同じように抽象的に市場や顧客、そして競合を
捉えることは重要ではあるけれども、
同じくらいより具体的に市場を捉え、
より具体的に顧客や競合を分析することも重要です。

研修自体はいわゆるフレームワークを使った分析を
教科書通りにやってもらうことで、
普段、感覚的にやりがちなところに、一石を投じる趣旨もありましたが
分析をしようとするとどうしても抽象的な思考になりがちです。

例えば、私たちの事業の主要なユーザー層である
「20代前半の男性」、マーケティング的にはM1に含まれます。

この層の特徴としては以下のように説明されます。

この年代の男性は情報に敏感で、且つ
ITに関する知識も豊富で、情報収集は主にインターネットから。
F1層と同様に自己投資にも積極的ですが、
特にビジネスやスキルアップへの関心が高いです。

ま、分からなくはないですね。

ただ身の回りの20代前半の男性を思い浮かべたとき
このステレオタイプにあてはまる人ってどれくらいいますかね?

もしくは自身がこのM1にあたる場合、
ご自身を鑑みて、この人物像に当てはまると思いますか?

YESと答える人もいるし、NOと答える人もいるはずですが
大多数がYESと答えるかというとそうではないような気がします。

一般的にそうであることと、
具体的なユーザーが実際にそうであることは
当たり前ですけど、必ずしも一致しないということですね。

それにもかかわらず、N=1を意識せずに
分かったような気になってしまうのは
知らず知らずに自分の中のアンコンシャス・バイアスの賜物で、
視野狭窄を招きかねないので注意が必要です。

自分たちのサービスが誰のためのものなのか、
利用する相手の側に立ち、その人の気持ちになって眺めてみることで
はじめて見えてくる景色、価値や課題があります。

思えば、自分が手掛けてきた事業については
そのNを過去の自分に重なることができるものがスケールし、
そうでないものがスケールできなかったように感じますが
それもN=1でより具体的な価値や課題を考えられたか否かが
大きいのかもしれません。

とはいえ、自身の経験からしか学べないのは愚者と言われます。

自分が経験していないことであっても
それを学ぶためには
ユーザーや顧客の声に耳を傾け、相手の側に立ってみることです。

自分たちのサービスが、自分の仕事が
誰の役に立っているのか、具体的な一人の人をイメージし
その人の課題を解決することを意識するのも重要だなと感じています。

もちろん具体的に考えるだけだと
脇道にそれて本質から遠ざかっていることも少なくないので
両者を執拗に行き来するのが一番大切なことですけどね。

みんなも考えてみてください。

以上、ご確認ください。

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