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「学生時代に戻りたい」なんて言う大人になるな。


「大学生に戻りたい」
「学生時代がいちばん楽しかった」

と、話している人を見ると、正直ちょっと、目眩がする。


夏に差し掛かった辺りから、社会人1年目と思われるの方のSNSには「大学生に戻りたい」という言葉が溢れ始めた。

私には全然関係ないのだけど、ついつい、「どうしたもんか…」とため息を吐いてしまう。本当はこういうことを言ったり、書いたりして、口うるさいおばさんになりたくないし、「自分のことを棚にあげて偉そうに」とも思う。

でも、今の若い人たちに、「大学生に戻りたい」とか「学生時代がいちばん楽しかった」なんて大人にはならないでほしいのだ、どうしても。


だって、大学生、高校生の“これから社会に出る子どもたち”が、その姿を見ているから。



たぶん、「大学生に戻りたい」「大学生がいちばん楽しかった」なんてSNSに書き込んでいる人は、そんな大人たちをたくさん、たくさん見て来たのではないだろうか。

24時間働く大人たち。パワハラされる大人たち。忖度する大人たち。死んでいく大人たち——……、こんな地獄絵図を見せられたら、「社会こわ!!」と思うだろう。「社会人になりたくない」「いつまでも大学生でいたい」「社会に出たら、自分もこうなるんだ」って、そう思うことでしょう。


それで、実際に社会で働いてみたら、本当にその通りだったりして。


満員電車にすし詰めにされて会社へ赴き、規定の時間が過ぎるまでそこから出ることが許されない日々。好きな時間に起きて、受けたくない授業はサボって、友達と遊んで呑み散らかして、オールしてっていう、なんの制約もない自由な毎日が、まるで嘘だったよう。


この温度差に発狂したくなる気持ち、もちろん私だってわからなくない。


でも、人生100年時代、呑気に学生時代を謳歌できるのってせいぜい20代前半まででしょう? 残り80年程は、大人として、社会人として生きていかないといけない。


それなのに、人生のピークが20代前半って。
「おいおい大丈夫か」と思わずにはいられない。


だって!!
残り80年!! ずっと楽しくなくていいのかよ!!

残りの人生!!
ずっと「あの頃はよかった」って懐古する自分でいいのかよ!!

いいわけないだろ!!


……と、私はつい、語気を強めたくなってしまうのだ。



私だって、「会社やめたい」とか「社会つらい」と思うことは数え切れないほどあった。


2014年、就職活動を終えて、晴れて新社会人となった私が入社したのは、教育系の広告代理店だった。

文章を書く仕事がしたいと思って入った会社だったのに、配属されたのは事務の仕事をする部署。希望していたことができない上に、体調を崩す程の激務だった。

その時は、毎日「会社辞めたい」「仕事したくない」と泣きながら会社に行っていた。


自分で選んだ会社なのに、愚痴ばっかり。


この時、私は自分のことを「カッコ悪い」とか「情けない」とか「恥ずかしい」と思っていた。だって、「会社辞めたい」「仕事ツライ」って泣き言をいっている大人たちに対して、「私は絶対、そんな大人になりたくない」って思っていたから。


私、今、そんな大人になってる。
なりたくない、自分になってる。

こんな私、絶っっっっっ対にいや。


2016年8月、書く仕事をするために会社を辞めた。

その3ヶ月後、今も勤めているデザイン事務所にライターとして転職する。



転職をしてから、小さな頃から憧れていた、文章を書く仕事をする夢を実現した充実感と、デザイナーさんのデザインした誌面に、自分の文章が掲載される喜びで、瞬く間に胸がいっぱいになった。

上司やクライアントに振り回されて、心が無になってしまう時もあるけれど、「自分で選んだ、やりたい仕事ができている」それだけで、泣きながら仕事をしていたあの頃よりもずっと楽しかったし、生きてるって感じがした。



自分で選んだ、やりたい仕事をする。
働いて得たお金で、好きな人と寝食を共にする。
旅行したり、友達と遊んだり、洋服や小物を買う。
本を買ったり、映画を見たり、勉強をしたり、自己投資をする。
考えや経験をnoteに書き、発信して、それがたまにお金に繋がったりして。

小さな小さな生活圏だけど、今の私には、自分の力で生活している確かな充実感がある。

前の仕事は激務だったし、そのぶんお金はあった。だけど、お金を使って何かをするための時間は、無に等しかった。お金が増えていくのはうれしいけれど、私の命は削られていく。そんな毎日に、生きている実感はなかった。



大学生の時だって、楽しかった。

学生時代はBBQに花火に飲み会、 サークル活動や女子会、それに勉強と、目が回るほどスケジュールを詰め込んでいた。フツーに、人並みの大学生がやりそうなことを、目いっぱい、楽しんだ。 その時点でもう、「大学生」を味わい尽くした感じはあったのかもしれない。もうお腹いっぱい。これ以上は、いいかなって。

大学生の時は、どこか刹那的に生きていたから、その時その場所が楽しければ良くて、もちろん大切な時間だったけど、でもそれが自分の人生を形づくっている感じは、しなかった。


私は、今の方が楽しい。
充実してるって、感じる。


今でこそ、前の会社で精神をすり減らして生きていた自分も愛しく思うけれど、でも、私は、今の自分の方が好きだ。大学生の頃よりも、前の会社にいた時よりも。憧れの仕事をして、お金をもらって、やりたいように生きている今の自分が。“なりたかった自分”に近づけているような気もするから。



いつだって私は、「今がいちばん楽しい」と思っているし、というか、「今がいちばん楽しい!!」って思って、生きたい。


「(今も楽しいけど)あの頃も楽しかった」ならOKだけど、
「(今はツライけど)あの頃は楽しかった」は、絶対にイヤだ。

いつだって「今がいちばん楽しい」を更新して生きていきたいのだ。



学生時代は自由だし、自由には責任も伴うはずなのに、それがない。
特別な期間だし、底がないくらい、楽しいと思う。

でも、過去には戻れないから。
タイムマシンはまだないし、それなら、今、楽しい方がよくない?



「社会は厳しい」「会社ツライ」それだけにフォーカスしすぎると、人生はあっという間につまらなくなる。

だから、ちゃんと自分で、舵をとるしかない。
自分の行ってみたい方向に、生きてみたい方向に。
もちろん、時にはどこかの島で休んだっていいし。


でも、楽しいと思えるかは、いかに楽しくできるかは、自分次第だから。


どうか、学生時代がいちばん楽しかった、なんて大人にならないで。
これからの人生をつくっていくのは、楽しくするのは、


君自身だ。




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