動員人数について ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境3
さんざん自虐的なことを書いてはきたが、
じゃあ地方演劇を観に行く人などいないのかと言われればそんなことはない。
舞台が好きで、頻繁に札幌の舞台に通ってくださるありがたいお客様もいらっしゃるし、この劇団なら観に行くというファンの方もいらっしゃる。
僕の感覚だと、動員人数は、かなり人気の劇団で1000名、中堅で500~800名、若手でまあまあ人気なところが300~400名くらいだと思う。旗揚げ公演は50名とかザラ。(新型コロナ拡大前。例外もあったりします。)
札幌でいろんな舞台に通ってくださっている方は恐らく60~70名程度で、
あとは出演者の知り合いで、動員人数が多いところは、演劇人と劇団の固定客が多くなっていくんじゃないかと思う。(全て僕の感覚です。)
出演者の知り合い(演劇人以外)は、基本的にはその出演者を観に行く。お友達の場合は、頑張ってるお友達の姿を観に行こうという動機だと思うが、年をとるとだんだん忙しくなってくるので、時間が経つにつれ来てくれる人数は減っていくだろう。芸術系の知り合いの場合は、その人の感覚にあえば、長く観に来てくれる可能性もあると思う。
演劇人が観に行くのは、だいたい人付き合いのためか、勉強のためだ。よさげな舞台がやっていると「観に行かなければならない」という使命感さえあると思う。(僕もそうでした)
札幌の多くの舞台に通ってくださっている方は、とてもありがたい存在だ。そこには恐らく「地方で頑張っているのだから応援しよう」という気持ちも多分に含まれていると思う。
で、ここまででたぶん500名くらいが限界だと思う。
これ以上動員したいと考えるならば普段舞台など観ない人に来てもらい、
固定ファンになってもらう必要がある。
余談だが、地方で演劇をやっていると、
何を目指していいのかよくわからん状態になりがちだ。
噂では、東京ではとりあえず紀伊国屋ホールを目指そうとか、そういうのがあるらしいのだが(今はどうなのか知らない)、札幌では、ここの劇場でできたら一人前だとか、この人に認められたら凄いとか、「目標」とか「成功」に対する共通認識がない。
というか、今のところこれという成功モデルが札幌にはない。(といっても、東京では劇団キャラメルボックスの運営会社が破産してたりするので、東京に明確に成功モデルがあるのかはよくわからないが。)ゆえに、「あの劇団みたいになるぞ」という目標も立てづらい。もちろん自ら成功モデルになろうとしている団体はあるが、現時点ではまだ「目指している」段階だと思う。
そうなると何を目指せばいいのだろうか。
結局動員人数がわかりやすいのかもしれない。
たとえば、「4,000円のチケットで2,500名動員する」という目標はどうだろうか?
ちょうど1,000万円の予算だ。
(といっても、実際は割引や招待があったり、グッズ収入などもあるかと思うので、ちょうど1,000万円にはならないと思うが。)
まあ今すぐ実現するのは無理そうな気はするが、将来的に絶対無理ともいえないような目標じゃないだろうか。
ちなみにこの目標はイベントの力を借りず、単独公演でコンスタントにこの数字を出せるようになる、という目標だ。
この規模の公演を年3回できれば、
何人かはギリギリ出演料だけで生活できるんじゃないだろうか。
「4,000円・2,500名動員・年3回」
うん、なんというか、具体的な目標は見えた気がする。
もちろん「芸術は数字じゃ測れないぜ」という意見もあるだろうし、それはまったくもってごもっともである。しかし、人間は目標があった方が頑張れるものなので、必要な方はご自由にこの目標を使ってほしいし、自分なりにアレンジしてよいと思う。(2,500名は厳しいからせめて1,000名くらい、とか。)
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