小佐部明広

クラアク芸術堂というところで演出・脚本をやっています。 ここには思いついたものを掲載し…

小佐部明広

クラアク芸術堂というところで演出・脚本をやっています。 ここには思いついたものを掲載していきます。

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最近の記事

出演者募集 朝練して演劇をつくる会

2021年8月に行う公演の出演者を募集します。 どんな作品に取り組むかはメンバーや人数をみて決めます。 朝早くからじっくりと作品づくりに取り組める仲間を募集します。 募集要項下記募集要項をお読みの上、ご応募ください。 【日時】2021年4月24日(土)19時~22時 【参加費】無料 【服装】マスク着用。そのほかは自由。 【出演募集人数】2~4名程度 【参加条件】18歳以上。高校生不可。全本番日程に参加できること。 【オーディション会場】カタリナスタジオ(札幌市北区北1

    • 自己表現を超えて ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境5

      私は、今までは、「こんなこと考えてます。こんなこと思いつきました。みなさんはどうですか?」みたいな感じで、言ってみれば自己表現の形で演劇を創作していたんじゃないかと思う。 運が良ければ、観客がそれに共感し、動員もどんどん伸びていったりする。 それはある程度成功したともいえるし失敗したともいえる。 いずれにしろ、ただ自己表現するだけで4,000円のチケットを2,500人に売れるかと言うと、それはやはり難しいと思う。 知らない人たちから拍手喝采を浴びるには、なんとなく劇場に

      • 心の支えになっている体験 ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境4

        動員人数が何人とか、そういった数値目標もいいのだが、 僕にはそれと別にもうひとつ目標がある。 だがその話の前に、僕の心の支えになっている体験を書いておきたい。 2014年に、札幌国際芸術祭というイベントが開催された。 地域で開催される国際芸術祭は既にいくつか前例があり、札幌もそれにならって始めたのだと思う。 その演目に、コンテンポラリーダンスの演目があった。 シディ・ラルビ・シェルカウイ + ダミアン・ジャレ「BABEL(words)」だ。 おそらく観客のほとんどが「

        • 動員人数について ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境3

          さんざん自虐的なことを書いてはきたが、 じゃあ地方演劇を観に行く人などいないのかと言われればそんなことはない。 舞台が好きで、頻繁に札幌の舞台に通ってくださるありがたいお客様もいらっしゃるし、この劇団なら観に行くというファンの方もいらっしゃる。 僕の感覚だと、動員人数は、かなり人気の劇団で1000名、中堅で500~800名、若手でまあまあ人気なところが300~400名くらいだと思う。旗揚げ公演は50名とかザラ。(新型コロナ拡大前。例外もあったりします。) 札幌でいろんな

        出演者募集 朝練して演劇をつくる会

        • 自己表現を超えて ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境5

        • 心の支えになっている体験 ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境4

        • 動員人数について ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境3

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        • 演劇について
          5本
        • どことなくチャラい日本国憲法
          4本
        • 【小説】将棋の滅亡
          4本

        記事

          演劇をやめて見えてきたもの ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境2

          2020年2月の公演を最後に演劇を一時的にやめたことになる。 それで、いくつかの変化があった。 1.観劇にいかなくなったそもそも、上演される舞台が極端に減った。 体感的には、半減どころか2割くらいになったんじゃないかと思う。 舞台の客席で新型コロナウイルスに感染することは、感染対策がまともに行われていれば可能性は低いと思う。(ルールを無視した東京の団体でクラスターが出たりはした。) だが、外に出ることにはやはり少し抵抗があった。そして一度行かなくなると、行かないことが普

          演劇をやめて見えてきたもの ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境2

          新型コロナで全て白紙になった ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境1

          個人的な所感を書き連ねていきます。お気を悪くする方がいたら申し訳ありません。何も考えずに思いついた順に書いていますので、読みづらかったらすみません。 去年2020年2月、札幌ではそこそこ知名度のある札幌演劇シーズンというイベントにありがたくも参加することができた。 その公演の最終日間近に、「受付の人は必ずマスクをつけてください」との通達が(確か札幌市から)きた。 その公演は(感染症の点では)特に問題なく終演したが、そこから約2週間後の2月28日に札幌市で「緊急事態宣言」が

          新型コロナで全て白紙になった ~ 30歳になった地方演劇人の演劇に対する心境1

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode3~俺たちの権利~(1)全体的な話

          【(1)~権利の全体的な話~】 ここでは俺たちの権利について語るぜ。 今まではさ、俺たちが天皇ために頑張る見返りに、 天皇が、俺たちに「権利をくれる」っていう考え方だったんだわ。 だから、天皇が「キミたちの権利とりあげま~す」って言えば、 俺たちの権利はなくなっちゃったわけ。 でも、それって違うんじゃね?って話。 俺たちが「権利」を持ってる理由ってさ、 「天皇が与えてくれたから」じゃなくてさ、 「俺たちが人間だから」なんだよ。 つまり、俺たちは生まれた瞬間から、

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode3~俺たちの権利~(1)全体的な話

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode2~戦争やめまーす~

          【Episode2~戦争やめまーす~】 すげー簡単に言うぜ。 俺たちもう戦争やめまーす。 そのために、軍隊とかの戦力も一切待ちませーん。 以上! (→次回:Episode3~俺たちの権利~(1)全体的な話) 【解説】 「いや、日本に自衛隊いるやんけ」とツッコみたくなりますが、「いや、自衛隊は『戦力』じゃなくて『実力』だ」という謎理論が登場しました。この謎理論によって、今のところ自衛隊はふわっと認められている状態です。当然、自衛隊の存在に納得いかない人々が「自衛隊はナ

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode2~戦争やめまーす~

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode1~「この国は誰のもの?」って話~

          【Episode1~「この国は誰のもの?」って話~】 「この国は誰のもの?」って話をさせてもらいたいんだけどさ。 今まではさ、国のことを決めるのは天皇だったわけよ。 つまり、この国は天皇のものだったわけ。 で、一人がそういう超強いパワーを持ってると、 パワーのない俺たちは逆らえないわけね。 で、誰も戦争を止められなかったわけ。 だから、これからは俺たち国民が国のこと決めようぜって話。 この国は俺たちのものってこと。 じゃ、天皇はどうすんのって話なんだけど。 なん

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode1~「この国は誰のもの?」って話~

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode0~俺たちの理想を語ろうぜ~

          よう兄弟。俺たち今までいろんなことあったよな? その経験を生かしてさ、俺たちはルールをつくったんだ。 この国が、俺たちの理想のためになにをしなきゃいけないかってルール。 そして俺たちにどんな権利があるのかってルールさ。 ちょっと自分語りとか入っちゃうけど、そこんとこよろしく。 【Episode0~俺たちの理想を語ろうぜ~】 日本にも戦争ってあったじゃん? なんか偉いやつらが暴走してさ。 そんときは、偉いやつらが俺たちのこと決めてたわけ。 で、あんな悲惨なことになったわけ

          【どことなくチャラい日本国憲法】Episode0~俺たちの理想を語ろうぜ~

          【テキドラ】即席の彼女

           僕の目の前に、絶望の景色が広がっている。僕はただそこに立ち尽くし、涙を流すほかなかった。  その日僕は、白い布団の上で寝ていた。その白さはあたかも僕の心の黒さを嘲笑うかのようだった。私は自分の体にのしかかる、純白という言葉は似合わないものの漆黒とは程遠い、言うなればまさに線香を燃やしたあとに残るようなグレーの布団を押し上げ、それと同時に自分のくたびれきった体を起こし、あたかもそこにいることが当然だと主張しているかのようなベッドに座ったのち、まるでつまらない授業を受けたあと

          【テキドラ】即席の彼女

          【テキドラ】ぴーちゃん

          ぴーちゃんという鳥がいた。 その鳥は、9年前家にやってきた鳥だ。 俺はぴーちゃんを飼っていたわけではない。 ぴーちゃんは時々どこかから現れるのだ。 ぴーちゃんはスズメくらいの鳥で、 色は黄緑や紫色が入っている。 ぴーちゃんは頭がいいので、 俺たちが喋った言葉は何となく理解できているようだ。 ピーピーと鳴くのでぴーちゃんと名付けた。 俺は27歳のとき、ぴーちゃんの夢を見た。 そこでは、「ファンが俺の話を聴く会」が月に一度開催されていた。 夢から覚めると「俺の話」は終

          【テキドラ】ぴーちゃん

          【小説】水が消えた村

           むかしむかし、あるところに小さな村がありました。村の真ん中には井戸があり、村の人々はそこから水を汲んでいました。  ある日、井戸の水がなくなってしまいました。雨もめっきり降らなくなりました。村人たちは不安になりました。村長はこう言いました。 「焦るでない。こんなときのために水は蓄えてある。」 村の人々は拍手喝采しました。蓄えていた水を、みんなで少しずつ分けながら飲むことにしました。  それから七日経ちました。やはり井戸は空のまま、雨も降りません。そこで村長は言いました。

          【小説】水が消えた村

          【小説】将棋の滅亡(4/4)

           それは突然訪れた。ある瞬間、私には一筋の光が見えたのだ。  勝てる。  私は、その可能性を発見したのだ。もし、あれがルールブックに載っていれば――。私はルールブックを確認した。そして、私の探していたものは、確かにそこにあった。それは「入玉宣言」というものである。とても平たく説明すると、自分の王将が敵陣に入り、さらに他の自分の駒が大量に入り込むと、勝ちになるという特別ルールだ。このルールは生き残っていた。  私は、その可能性にすべてを託し、ほぼ壊滅状態の敵陣を突っ切り、王将を

          【小説】将棋の滅亡(4/4)

          【小説】将棋の滅亡(3/4)

           会長はしばらく考え込んだ。どうせまた、持ち時間を使い切る作戦だろう。豚キムチ弁当でも牛カルビ弁当でも、なんでも買ってくるがいいさ。私の勝ちだ。この対局が終わったら訴えてやる。そして、二度と将棋のできない人生にしてやる。私は頭の中で、これからの復讐のことを考えていた。しかし、意外にも会長はすぐに次の手を指した。私は一瞬不審に思ったが、そのまま次の一手を指し、「詰み」の形になった。 「まで。172手をもちまして……」 記録係が対局を終わらせようとすると、またもや会長が遮った。は

          【小説】将棋の滅亡(3/4)

          【小説】将棋の滅亡(2/4)

           翌日、第2局が開催された。私が先手番、会長が後手番だった。試合は順調に進み、またもや会長が悪手を指した。そして、すぐさま、前回と同じ状況になった。次に会長がどんな手を指そうと、次の私の手で「詰み」である。会長の持ち時間は、まだ1時間40分あった。また同じことをされるのか……。私が心の中でそうつぶやいたとき、意外なことに、会長はすぐさま次の一手を指した。さすがに、同じことを二度もするのは恥ずかしいと思ったのだろうか。私は安堵した。私は次の一手を指し、そこで「詰み」となった。私

          【小説】将棋の滅亡(2/4)