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読書感想文「ソロモンの犬」

道尾秀介さんの青春ミステリー「ソロモンの犬」

最後の最後まで予測不可能でした、いい意味で肩透かしにあいました。

ネタバレ注意


大学生・秋内の目の前で、幼い友人・陽介はトラックに轢かれた。いきなり走り出した愛犬のリードに引きずられての、無惨な事故。陽介は助教授のひとり息子だった。あの時、犬はなぜいきなり走り出したのだろう? 居合わせた同級生たちは関係があるのか…現場で感じた違和感が忘れられない秋内は、動物生態学に詳しい間宮先生に相談して、自分なりの捜査をはじめる。(Amazonの作品紹介より引用)

クイズ番組とかで「何の写真でしょうか?」みたいな問題あるじゃないですか。

最初IQ180とかで、どんどんピースが開いていくクイズ。

たいていのミステリーはIQ80くらいのところでだいたい犯人わかってくるんですけど、今回は違いましたね。

あー、あの人とあの人がそういう関係なのね。

え!?違うの!?

いや、もうこの展開ならあの人に決まりでしょ?

あ、そうじゃないのかぁ…

っていう行ったり来たりが何度か。

「わかったー!!」と意気揚々と司会者に答えを耳打ちしにいって

「残念!ハズレ!」「惜しい!!」

そんな感じでしたね。


わたし、この作品好きだなぁと思った1番の理由はいわゆる「悪」が存在しないところです。

大体めっちゃ殺意もってるとか、人騙すとか、いじめるとかあるじゃないですか。

この作品はだれも悪くないんです。みんないい人なんです。

でもみんながみんなそれぞれに負の感情も持っていて喜怒哀楽の怒や哀によって少しずつ傷ついていくんです。そして歯車が狂っていくんです。そしていろんなことが起きます。

かと思いきや、みんなそれぞれ優しいんです。小さな優しさが登場人物全員にあるんです。

明確な悪が存在しないから、暗くも怖くもないし、そして優しさもそれほど感動するほどのものではないごくごく小さな物、ずーっと一定の温度感でした。

でも、飽きなかったですね。

ミステリーなのに終わりにドキドキきたり、あまりエネルギーを消耗しなかった不思議な作品でした

人間の人間らしさの物語といったところでしょうか。

脆くて弱い、そしてちょっと優しい、それが人間なのかな。


写真は実家のワンコです。眩しい!ってしてるところ。



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