エッセイ|しあわせのヒヨコからパンが届いた。
パンがある暮らしは、
なんてしあわせなことだろうか。
ふだんは、素朴な小麦の甘みを感じられるバケットを食べ、時折、パリッと幾重にも折り重なったバターの香りと層のクロワッサンをご褒美のようにして頂いていた。
居住地には個性豊かな美味しいベーカリーが多くあるため、バケットはあのお店、クロワッサンはこちらとそれぞれに買いにいっていた。
エコバッグからのぞく焼きたてパンは紙袋の中でいい香りを漂わせる。
帰宅するなり、グリルで温めて乗せたバターがほどよく溶けた頃合いにほおばるのが至福だった。
それなのに、それなのに、パンを食べることが許されなくなった。
わたしのカラダは、感覚過敏(発達障害の人に多い)が腸に悪さをしてしまい小麦製品がうまく消化できない。
症状が重くなってからは知恵を働かせ、お米やお餅、ビーフン、卵白をふわっふわに泡立てて米粉をすこし入れたパンケーキでやりすごしてきた。
もちろん自分でオートミールや米粉の自家製パンにも挑戦した。
けれど、焼き上がったパンは7日経った鏡餅みたいにカチカチ。
オートミールに至っては、苦手で消費するのに難儀した。
あれこれやっても、パンの美味しさを知っているから、パンが恋しくなる。
え、パンでしょ。スーパーに米粉パン売っているから買えばいいじゃないと、いわれそうだが大手の米粉パンにはグルテンが含まれているから食べられない。
グルテンフリーのパンは、小さな食パンが1斤1000円〜とどれも高価で、送料も高くて主食として気軽に食べられなくなってしまった。
おまけに世の中は途方もない小麦製品で溢れている。
宅配ピザ半額に、オバケみたいなナンおかわり自由のインドカレー。
パンオショコラにかぶりつく夫に、街を歩けば焼き立てパンの香りとドーナツのポスター。
スメハラに遭いながら?笑
それらを横目に「うらめしや~」と葛藤し、目を覆うも限界がやってきて、夜中にクリームパンみたいに羽毛布団にくるまってパンへ思いを馳せていた。
バケットが食べたい。グルテンフリーのクロワッサンはさすがに見かけないけど、米粉やスペルト小麦(グルテンがほとんど含まれない小麦の原種)のバケットは存在するかもしれないとネット通販の海へと漁にでる。
あっ、バケットあった!と思ったものの、どれだけこねくり回されたのだろうかとまったく美味しそうではないパンやセンスのないHPやら、レビューを同じ人が書いたようなあやしいパン屋さんもある。
そしてやっと見つけたパン屋さんはヒヨコがトレードマークでCOCOPANといった。
しあわせの黄色いハンカチならぬ、ヒヨコ。
ヒヨコがバケットを大事に抱えている。
ああ、なんて愛おしいのだろうか。
パンフレットには、京都から仕入れた有機玄米の生米を粉にしていること、白砂糖ではなくてんさい糖や藻塩、もちろん天然酵母を使用していることが書かれている。
バケット1本1980円!!イチキュッパーって・・・その昔、通販の布団圧縮袋の値段みたいだ。
決して安くない。それでも食べたい。まさかパンが私にとって贅沢品になるとは・・・。
お店はウチの娘(愛犬)の出生地の沖縄だし、注文してから時間がかかると思っていたら、2日で届いておどろく。
ヤマトさんから箱を受け取ると白い箱にヒヨコとCOCOPANの小麦色のフォントが描かれている。届いた箱の可愛らしいといったらギフトみたいで嬉しすぎた。
箱を開けると食べたかった有機玄米バケット、それ以外は、有機野菜のピザパン、島バナナパン、有機チョコレートパン(グルテンフリーシンプルBOX)送料込みでお店が選んでくれたパンが入ってる。
ほんとうにバケットだ!冷凍で届いたバケットの硬さは原始人のこん棒みたいでなんだか感動してしまう。
バケットを口にするのは何年ぶりだろうと思うとたまらなくて、レンジですぐに解凍。
今日だけは、少し厚切りにしてみる。
わが家にはオーブントースターがないからパンはガスコンロの魚焼きグリルで焼く。
米粉だから中のモチモチ感はいなめないけど泣けるほど美味しい。皮目が少し炭化して焦げて、パリッとしているのがたまらない。
小麦製品のパンが食べられないのは哀しいけど、たまにしか食べられないパンのおかげで毎回、新鮮な気持ちでパンの美味しさに感動する。
日常に溢れるしあわせに気づけることに、私はなんて恵まれているのだろうと思う。
バケットに乗せた大好きなグラフェットバター(牧草だけで育った乳牛のお乳でできたバター)は黄金色で、溶けだすと虎がグルグルと輪になって廻るのを思い浮かべながら、やっぱりバケットには虎バターだなっと思った。
長い文章をお読みいただきありがとうございました。いつもスキやコメント、フォローありがとうございます。
必要な方に届きますように╰(*´︶`*)╯♡
【お店のHP】
【COCOPAN BAKERYの紹介動画】
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