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フットボールへの入口

先日,DAZNの価格改定が発表され2月末から月額で約1000円値上がりすることとなった。反応としては様々だと思うが、若年層への影響は否めないのではないだろうか。特に高校生年代から大学生、この辺りの層には大きなダメージになると考えている。昔のスカパーなどとは異なり、TVアンテナの工事が必要な時代では無いので、こう言った若い層の動画アクセスは非常に容易になってはいるものの自らの支出として動画コンテンツに課金することは簡単では無いだろう。

”見る”フットボール

確かにDAZNがJリーグの放映権契約を締結した2017シーズンから今までにない規模感での動画配信(海外サッカー含む)と最近では試合中継以外のコンテンツの充実と、確実に日本のフットボールリテラシー向上に寄与してきたことは言うまでもない。一方でコンテンツの拡充による製作費等のコストアップは明らかであり、ここらである程度、採算の合わないコンテンツは切っていき、体質というか効率化を求めることで事業体質の更なる向上に舵を切りたいのではないかと推測する。
所有のプラットフォームでの配信ビジネスとしての拡大期が終わっているのだろう。最近ではyoutubeでのハイライトやゴールシーンなど、1試合丸ごとというよりも”切り抜き”動画の配信も多くなってきている。確かにフットボールを見るという視点で言えば、この様なプラットホームでの”切り抜き”配信で満足する層は多いと思う。
昨今、youtuberと呼ばれる配信者の動画は長尺化の傾向にあるようで、メインターゲットとなる若年層のyoutube視聴に割く時間はどんどん長くなってきているのだろう。それと同時に彼らの切り抜き動画も上がっており、長尺化に対して短尺化の需要が上がっていることも確かで、新しい層の取り込み(若年層以外やジャンル外の視聴者)に貢献しているのだろう。
私も実際、多くのyoutubeチャンネルを見るが、コンテンツやチャンネルが多様化しすぎて、youtubeに割く時間は以前よりも増している様に感じる。
TVのエンタメ番組なんかと違い、毎日更新しているyoutubeチャンネルも多く
デイリールーティン化していることもあるのでは無いだろうか。
このように”見る”と言うことに関してはフットボールにおいても多様な選択肢が提供されており、以前に比べて生活の中で接触する機会は多くなっていると思う。
フットボールを”見る”ことへの入口は確実に増えているだろう。

”プレー”への訴求と若年世代


次にフットボールを"プレーする"という側面で考えたい。
※基本的にフットボールはプレーと観戦(見る)の2つアクションから成り立つ
と考えている。
私は学生時代に部活動などでサッカーをしていた経験はなく、基本的には見る側の人間である。中高時代はもちろんスカパーなどを契約している訳でも無く、夜な夜なNHKのBSでの海外サッカー中継をよく見ていた。
また、中学高校とラグビーをやっていた私は、友達からスーパーラグビーの試合の録画dvdを借りては見ていた記憶がある。大多数はそういった有料チャンネルに入っているはずもなく、親がこういったチャンネルに加入している一部の友達頼みでDVDを借りていた。
プレーの向上と試合観戦は密接な繋がり、相互作用があると思う。
私自身もDVDを借りて海外選手のプレーから学びを得ていた。
プレーの向上を求めて、海外の選手や戦術を手本とし、自らの技術の向上を図る。切り抜き動画ではやはりスタープレーヤー、ゴールシーンにフォーカスされており、エンターテイメントとしての要素が強く、教本として扱うにはなかな難しいことも多いだろう。
そう言った点でも、daznの値上げはやはり、フットボールの向上を志す若者にとっての影響は大きく、日本サッカーの技術や強さへの訴求の面では、フットボールリテラシーが上がったとはいえまだまだ改善の余地があると感じている。
見ることに関しては、確かに一定の向上が見られるものの、プレーの向上に関してはまだまだ課題が多い。なかなか今の日本では見ることとプレーすることでの相乗効果が構築できていないのではないかと思う。
学生にとっては親が動画サービスに入っているという環境下にない限りはフルでの試合視聴は難しい事も多く、この辺りはこれだけ動画サービスが進化しているにも関わらず、ここ10〜20年くらいこの環境は変わっていないのではないだろうか。
YouTubeやtik tokを活用させてはいるものの、”見る”と”プレー”をリンクさせることは日本サッカー発展にとっては更なる課題となるだろう。

おじさんだって”プレー”したい

また、老若男女がこれだけフットボールへアクセスする機会が増えているにも関わらず”見る”から”プレー”するに転換できる機会が乏しいとも感じている。
現に私は見る専なのだが、フットボールをプレーしたいとも思う。
フットボール観戦の頻度が増えるたびに戦術や試合の見方に関してはある一定の知識や見解は蓄積されていく、しかしながらプレー経験がないのとあるのとではその試合の読み解きの粒度が全く異なる。画面では見えない選手のポジショニングの予想やパスやシュートコース、オフザボールの動きなど、やはりプレー経験のあるなしでは全くもってゲーム理解の質が異なってくる。
よりフットボールを知りたいという欲求をなかなか満たせない。
また純粋にこんなに見て楽しいフットボールを自分でもやりたいと思う。
サッカーへの関心が高まるにつれて、こういったポイントにまで興味が出てくるのだが、それを補えるプレー経験を得られる機会はほとんどない様に感じる。
30歳を越えた人間がフットボールを始められる機会はそう多くはない。
日本でフットボールがメジャースポーツになり、ある程度文化として成熟した事によって若年層にとってフットボールはより身近なスポーツになったものの(プレーする面で)
ある一定の年代を越えた時には、以前より参入障壁は高くなっているのではないかと思う。
やはりこの歳になると周りでサッカーをやっているのはサッカー経験者がほとんどだし、初心者が相手にされないという状況も多々あり意外とメジャースポーツなのだが閉鎖的に感じてしまう。
※自主練すればいいのが、その環境でさえなかなか確保できないのが事実
中高年が対象のサッカーイベントや教室はあっても、初心者向けはなかなか無いだろう。
※そもそも私の様な30を越えてまで初心者でプレー欲がある人はマイノリティだろうが。。。
この数少ない人口に対してのアプローチがもう少し出てきてくれることを切に願っているし、現時点ではまだまだ”プレー”する入り口は開かれていないと感じている。
※具体的な策が出ず申し訳ない。。。

新たなサイクルの確立と日本代表

見ることが容易になり、同時にプレーすることが容易になれば、先述したフットボールの二面どちらへもアプローチが可能となるだろう。フットボールを見る機会が増える(無料コンテンツ)→プレーへの興味や有料動画サービスへの興味→周りへの波及(特に子供など)→フットボールへのアクセスする機会(見る・プレーの両面)が増える→日本サッカーの底上げとレベルの向上
と”見る”ことに拘って成長はしてきたものの、その人気を維持し、より高めるには”プレー”の質を高め、日本のフットボールのレベルを上げることも重要ではないかと思う。
現に動画サービスが根付きつつあり、見る機会は増えているが
私たちの日本代表は進化しているのだろうか?
見る・プレーするこの両面をリンクさせ、継続的なサイクルを回すことが
フットボール人気や文化の発展には必要不可欠だろう。

日本代表のW杯優勝を夢見て、明日も私はフットボールに心を躍らせる。

Tchau!!


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