ベルトスクロール・ダンサーズ
〇独裁国家 東朝亜帝国の野望を打ち砕け！
親子三代にわたる独裁国家、東朝亜帝国。軍事力に全振りしたこの国の野望は、自国民だけでなく周辺諸国の自由まで脅威となろうとしていた。
ショウグン・キム１号。核ミサイルが発射可能な人口衛星を打ち上げたこの国は、それを背景に周辺諸国を脅し始める。偉大なるわが国に誠意を納めろと。資金援助と領土の割譲を要求してきた帝国を、これ以上図に乗せるわけにはいかない。日本政府は密かに特殊工作員クノイチマスター・カナを派遣する。全ての元凶、ショウグン・キムを速やかに暗殺するのだ。なお、武器弾薬などの補給はDr.Zに一任してある。後程確認を取るように。
〇レムリア・ムーからの脅威
南北戦争に勝利を収めつつあったエイブラハム・リンカーンには、ある悩みがあった。大西洋のある一角バミューダ・トライアングルから浮上した新たな大陸『レムリア・ムー』である。『レムリア・ムー』は南部と軍事同盟を結び、北部を挟撃。一転して、敗戦の危機にい陥る北軍。事態を重く見たリンカーンは、未だ正体不明の『レムリア・ムー』に潜入、内情を偵察せよ、との命令を下す。スキがあればその国の指導者を亡き者にせよ。白羽の矢が立ったのは、大統領の影武者フェイク・リンカーン。このような非常時のために特殊訓令を受けていたのだ。『レムリア・ムー』への侵入方法は、考古学者Dr.Zにアドバイスを求めよ。『レムリア・ムー』の事に関しては彼が一番良く知っているはずだ。こうして彼は、アメリカの人民の人民による人民の政治のために、マジックシルクハットを被るのだった。
〇地底世界からの侵略者
西暦2080年、地上は地底世界ドイル・ワールドの占領下にあった。地球の地下空洞からの侵略によるものだ。地上よりはるかに優れた科学力と奇襲攻撃に、人類は成す術がなかったのだ。奴隷制を強いるドイル・ワールドの圧政に、元国連軍特殊部隊ワトソン・ワクチンは反旗をひるがえす。まずは、各主要都市に奴隷として捕らえられた人々を解放。武器を持たせて、レジスタンス活動に参加させる。それを陽動として、本隊であるワトソン・ワクチンは南極ホールからドイル・ワールドへ侵入、皇帝ペルシダーを撃つ。だが、内部の裏切りにより計画は頓挫しかける。隊長のDr.Zは元プロレスラーの隊員レストレードに南極ホールへの突入を命じた……。
〇三つの世界が一つになって
物語は「クノイチマスター・カナ」の戦いから始まり、援軍として「フェイク・リンカーン」「レストレード」が合流する形で進められる。Dr.Zの説明によると、各々が所属する世界での戦いで起きた巨大な〝エネルギー〟の放出によって、世界に歪みが生じ、三つの世界が一つに繋がってしまった、と主張する。合流世界、一種のマルチバースである。そして、現在の自分は三つの世界のDr.Zが〝一つ〟に重なった存在である、と主張する。
〇自分の世界に帰るためには……
三人の戦士はそれぞれの目的を果たすため、互いに協力することにする。ニンジュツ、マジック、プロレス技の合体技で、悪党どもを大量処分。それぞれの世界を牛耳るボスを倒すことに成功するが世界は一つに重なったまま。三人が属する世界ではなくなってしまったのだ。Dr.Zは警告する。三つの世界の〝エネルギー〟が一つの世界に流れ込んだことにより、過負荷状態にある。それはビッグバンを起こすほどの熱量。このままでは〝世界〟が崩壊、三つの世界が消滅してしまう。そして彼はあらゆる世界を救うため、三人にある提案をする。あまりにも非情な提案だった……。互いの〝世界〟を賭けて戦え。救えるのは一つだけ……。三人は互いを見渡し、全てを悟る。アイツがこの件の黒幕だったのだ。三人は再び手を取り合い、誓う。Dr.Zの真の目的を知り、その野望を打ち砕くのだ。ライフゲージが擦り切れるまで。
〇〝絵柄〟が変わる戦い
それぞれの登場人物の背景はそれぞれ異なっているが、まあ似たような世界観である。それもそのはず、この作品は日本ポピー社が開発したアクションゲーム、「ベルトスクロール・ダンサー」シリーズを映画化したものである。ジャンルはベルトスクロールアクション。画面、プレイヤーを倒すべく、右から左へと現れる敵をなぎ倒しながらステージを進み、その面のボスを倒すとステージクリアー。進行方向は大抵左から右。プレイフィールドをベルトに見立てているため、このように呼ばれている。
同じシリーズのゲームとはいえ、それぞれのゲームの〝美術〟担当が違うため〝絵柄〟が突如変わる。ある場面では現代風（ミリタリー風）の敵や世界、敵を一掃したかと思えば、瞬時に南北時代のレトロ風味に変わる。〝光〟の色味が変わるのだ。混乱を招きかねないが、これが却って単調なストーリーに深みを与えていることになった。
※それぞれのゲームのタイトルは「ベルトスクロール・ダンサー クノイチマスター・カナ」「ベルトスクロール・ダンサー フェイク・リンカーン～合衆国よ永遠なれ 」「レストレード～ベルトスクロール・ダンサー最後の賭け」。
2050年 日米加 合同制作。 配給：ユービックファクトリー
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