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関節拘縮を改善する「引っ張らない・痛くない」方法:あなたと寝たきりの家族のための関節の動かし方



はじめに ご家族の硬い関節を何とかしたいと思っている素晴らしいあなたに向けての記事です

今回は、

寝たきりで関節拘縮があるご家族を介護している方

に向けて書こうと思います。

私が実際に行っている方法ですが
良くも悪くも
「一般的ではない」
関節の動かし方です。

少し難しいと感じる方もいるかもしれませんが、
一般的なストレッチや、
普通のリハビリスタッフが行うような関節可動域訓練よりも
効果が期待できます。

ご家族を介護しているけれど、
拘縮した関節があることで、

例えば
ひじや内またなどの皮膚が不衛生になったり、
オムツがどうしてもずれてしまったり、
着替えをさせるのが難しいなど・・・

いろいろな負担が生じてしまいますよね
ですので、この文章を書こうと思うのであります。

この記事が、あなたのお役に立てれば幸いです


*リハビリスタッフの方向けの記事ではありません。リハビリスタッフは拘縮が起きた本当の原因について、個々の患者さんについて考察をすすめてください。それはリハビリにしかできないことです。

関節拘縮とは何でしょう?

介護のお仕事研究所(care) より引用

一般的な説明では

関節を動かす機会が減ることで、関節自体が硬くなり固まってしまいます。 さらに筋肉や靭帯、関節包といった組織も硬くなり、運動が制限されること(例えば ナースステーション東京 )

と説明されます

拘縮の原因は、きちんと勉強すると実は複雑で奥深いものです
ディアケアというサイトが詳しく、わかりやすいので参考になるかもしれません(ディアケア 「拘縮はなぜ生じるか」)


リハビリ専門職の自覚を持つスタッフは、本当の拘縮の原因について考察し、治療を行います。

拘縮の改善・予防のために・・・

ベッドでどのような姿勢をとるか検討したり、
ベッドマットの硬さを検討してみたり、
寝返りを繰り返してみたり、
ベッドの頭の部分を起こして姿勢や血圧の変動を見たり、
時には座らせてみたり、

一般の方は、関節拘縮のリハビリと聞くと、
関節をひたすら動かす
ことを想像されるので、
ビックリされるかもしれませんね。
そんなリハビリスタッフに出会えたらラッキーですよ。

でもそんな勉強を、
あなたがする
必要はありません。

あなたが欲しい情報は、
どのように関節を動かすと柔らかくなるか?
ですものね。

知っておいてほしい原理はこれです

  • 筋肉は「伸ばされすぎから」自らを守ろうとする

  • 人間は乱暴に扱われると「身を硬くする」

この2つでOKです

実際の動かし方を説明します(動画 約10分)

https://youtu.be/00kH3hVJtCU


筋肉の性質について簡単に説明します


筋肉は「伸ばされすぎから」自らを守ろうとします

筋肉と言っていますが
実際は、細胞です

その細胞が
ギューッと
一気に伸ばされそうになったらどうでしょう?

「やべ!ちぎれちゃう!」
と思うと思いませんか?

そこで筋肉は
自動的に
何も考えなくても
ギューッ
と伸ばされる力に対抗して

ギューッと
縮もうとする力が働きます

これが伸張反射です
(正確な説明ではないですが、わかりやすさを優先させていただいてます)


拘縮の様に
筋肉が短く・硬くなった状態では

この伸張反射が
さらに
過剰に
生じてしまいます

ちょっと筋肉を伸ばしただけで
ぎゅっ!
と縮もうとしてしますのです

ですから
「あ~時間が無い!」
と思いながら
不用意に
こちらの都合優先で
拘縮を起こした腕や足を動かそうとする

これだけで
伸張反射が起きてしまい
拘縮を悪化させてしまいます


あなたがご家族の硬い関節を動かそうとするときは

限界の手前までを動かす範囲とする

これが大事なポイントです。


伸張反射については

が一番わかりやすい説明をしているかもしれません




人間は乱暴に扱われると「身を硬くする」のです

自分自身では動くことができない状態でベッドに寝ている

そんな時に乱暴に
体を動かされて痛い思いをしたり

一瞬宙に浮くかのような勢いで
寝返りをさせられたり

これは人間・生物にとって
「恐怖」
以外何物でもありません

あなたがしているという話ではありません。

残念ながら
病院・施設で働く介護士や看護師・リハビリスタッフの中には
このようなケアをしている人がいます
(そのスタッフの人間性に問題がある場合もありますが、
そのような職場環境にならざるを得ない状況もあるのかもしれません・・・
この問題は、ここでは深入りしません)

人間を含む生物はこのような時

筋肉が硬くなり、身を守ろうとします

その他にも

心拍数・血圧・呼吸の乱れ、
発汗、瞳孔拡大、消化器系の動き抑制

などの反応を引き起こしてしまいます


あなたがご家族の硬い関節を動かそうとするときは

「恐怖心」を抱かせないようにすること

これが大事なポイントです。


恐怖反応について参考になるサイト



ショートステイで出会った寝たきりの方

私はいろいろな施設などに訪問する機会をいただいていますが

あるショートステイで、Xさんに出会いました

Xさんは、重いある病気で寝たきりです

しゃべることも
食べることも飲むことも
できません
(胃ろうという、お腹に直接穴を空けて
そこに直接栄養を流す方法で命を繋いでいます)

体は拘縮だらけ
既に指や手は強く曲がり
爪が手のひらに食い込んでしまうため
タオルを指の中に入れて保護している状態です

そんなXさん
よく表情を見ていると
わずかに感情を表すことができる

そんな方です

看護師さんはおひとりで
何十人も見る必要があるので
超多忙です

それでも、Xさんの手を何とかしたいと
時間を作っては
指を伸ばそうと努力されていました

努力の甲斐あり
関節可動域は、実は広い。
でも、普段はぎゅーっと強く曲げられています。

「もうどうしていいのか・・・(わかりません)」

とおっしゃっておられました。

そこから、相談しながら
リクライニングタイプの車いすに乗車する時間を作ったりして
拘縮ができる根本の原因となる要素を
ひとつひとつ解決していくアプローチをとってきました

ただ、ショートステイは名目上は
「短期間お預かりする」
ところ

人員的に専門的なアプローチを行うには
限界があります

「悪化するスピードを何とか緩ませる」
程度のことしかできない現実・・・

私がXさんの体を、動画でご紹介した方法で
動かしていると

Xさんの表情が緩むのです
時に
にや~
と子どもっぽい表情を見せてくれることもあります

うれしいです

でも同時に

複雑な気持ち

にもなります。


関節拘縮がある
寝たきりの方は
残念ながらたくさんおられ
たくさん出会いますが

誰にあっても
こんな
複雑な気持ちを
抱くのです


「理想主義者は、現実主義者がまだ見ていない現実を見ている人だ」 
ジョン・F・ケネディ




コツは「良くしようと思わない」「楽しむ」

きっとあなたは

  • 拘縮のある関節を動かすにはどうすれば良いのだろう?

  • 拘縮がこれ以上悪くならないようにするにはどうすれば良いのだろう?

  • 私にもできることはないだろうか?

そんな気持ちで調べておられ
偶然このブログに出会ったと思います

私が紹介したやり方は
感覚をつかむまで時間がかかるかもしれませんが
ぜひ試してほしいと思います

コツは
「良くしようと思わない」
ことです

良くしようという意識が働くと
どうしても、筋肉を必要以上に伸ばそうとしてしまいます

「こんなことで、本当に効果があるのかな?」
と不安になるかもしれませんが

それよりも大事なのは
腕や足をリラックスしながら
動かしている時間を
「楽しむ」
ことです

あなたのその「楽しむ」こころは
必ず相手のご家族にも
伝わっています

これは私の臨床経験でしか言えませんが
そう思って治療をしていると
寝たきりの人の身体が
変わっていくことを実感します

楽しい時間が少しでもできますように

私があなたとご家族に
願うものです


自分が幸せであることは、自分だけのためではなく、世界中の人々のためでもある。
自分が平和であれば、世界中に平和を広げることができる。
自分が愛されていれば、世界中に愛を広げることができる。
マザー・テレサ



最後に

まとめ

  • 筋肉は伸ばされすぎないように縮もうとする性質があります。それは拘縮で硬くなった筋肉ほど強く起きます。

  • 人は恐怖を感じると筋肉を硬くする性質があります。

  • 明初庵流の腕や足の動かし方のコツは「欲を出さず無理をせず。その時間を楽しむこと」です。


お話は以上です
最後までお読みいただきありがとうございます

私は文章にするのが苦手ですが、
できるだけ伝えたいことを書いてみました。
もし間違いや不明な点がありましたら、
ぜひコメントやメールで教えてください。
喜んで加筆修正いたします。

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UnsplashVitalii Khodzinskyi
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