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肩の痛みや、首・肩のコリ。原因は「広背筋」かも?~その理由と自己メンテナンス方法をお伝えします~

今回は、ある患者Sさんとの出会いを元に

腕を上げると肩が痛い
いろいろな対処法を行っているけど
なかなか良くならない

という方に向けて書いています。


はじめに 


極軽度の右片麻痺のある男性Sさんの痛み

今回お話するSさんは、

「右腕を使うと肩が痛い。最近は腕を動かすと腰まで(痛みが)響く」

という痛みを抱えておられます。

Sさんは、比較的にお若い時に脳梗塞になってしまいます。
しかし逆にお若いこともあって回復は早く、

杖(一本杖。T字杖)をついて歩いて外出できる。
トイレ・お風呂・着替えなど身の回りのことは自分一人でできる。

という生活ができる状態です。

ただ、右手の動きが麻痺の影響で
箸を使うなどの細かい作業が難しい
ことや、
麻痺のある右腕や右足を中心に痛みが生じる、
などがみられることから、10年以上継続的にリハビリを受けておられます。

たとえ麻痺の改善が大きく生じることはなくても、
現在できることを
ご自分のペースで行いながら、
穏やかに暮らしておられたSさん。

しかし、
ある時Sさんは風邪を引いてしまいます(コロ○は陰性)

しばらくリハビリをお休みされます。

元々喘息の既往があり、
風邪を引いたことで、
苦しい咳をたくさんされた
と後で聞きました。

2週間ほど経ってから、
久しぶりに会ったSさん。

「風邪は治ったけど、こっち(右)の肩が、腕動かすたんびにいったくってねぇ~(腕を動かす度に痛かったんだよ)」

と、右肩の動作時痛(動かしたときに生じる痛み)が出現しておりました・・・

ひょっとしてと思い、Sさんの
「広背筋」
という筋肉を調べてみました。

案の定、風邪を引く前に比べ、
硬く・短く
なっておりました・・・


「広背筋が短くなったり、硬くなって、肩が痛くなる。」
ことは、
麻痺が無い方でも、よく見られる症状です。

肩が痛くていろいろ治療をしていても、
この広背筋の治療が行われず、
痛みなどの不快症状を抱えたままの方がおられます。

これから、解説していきますね。


「肩が痛い」の一般情報

もったいぶるわけではないのですが、
Sさんや広背筋のお話の前に、
肩の痛みに関する一般的な情報を確認します。

私を含む医療従事者が、
「肩が痛いんですよねぇ」
と人から相談してもらえたら、
私たちの多くは以下を原因としてまず疑います。

  • 四十肩・五十肩:肩関節周囲が炎症を起こす

  • 腱板断裂:肩甲骨と上腕骨をつなぐ筋肉(腱板)が切れてしまう

  • 神経(血管)痛:神経や血管が刺激されることで引き起こされる痛み。「胸郭出口症候群」「頚椎症」「頚椎ヘルニア」などが含まれます。

  • 内臓の病気:心筋梗塞、肺がん、胃腸障害などの内臓の病気によるもの。

他にも、

  • 実は脱臼していた。

  • 細菌が入り込んで痛みを起こしていた。

  • 軟骨がすり減っていた。

などなど、たくさんの原因が考えられます。

ですので、
「なんだか、いつまでも痛みが続くなぁ」
とか
「なんだか、痛いだけじゃなくて痺れも感じるなぁ」
という時は

きちんと受診する!

ことが大切ですね。


「痛む肩に行うと良い」とされていること

海外も含めていろいろなサイトを調べてみると、だいたい以下のような対処法が紹介されいます。
以下ご紹介しますが、痛みの原因が様々ですから、場合によっては逆効果の対処法になる可能性があります。
お医者さんなどの専門家と相談してくださいね。

  • 安静にする: 肩を動かさないようにして、痛みや炎症を悪化させないようにします。(必要に応じて、肩を固定するための三角巾やスリングなどを使用します。)

  • 冷やす: 痛みや腫れがある場合は、アイスパックや冷湿布などを肩に当てて冷やします。15~20分ほど冷やした後は、10分ほど休憩してから繰り返します。

  • 温める: 痛みが引いた後は、温めることで血流を促進し、筋肉のこりや緊張をほぐします。ホットパックや温湿布などを肩に当てて温めます。

  • 鎮痛剤や消炎剤を服用する: 痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤や消炎剤を服用することで、一時的に症状を和らげることができます。ただし、長期間の服用は副作用のリスクが高まるため、医師の指示に従ってください。

  • ストレッチや運動療法を行う: 肩の可動域を広げるために、ストレッチや運動療法を行います。無理をしないように注意してください。


さらに明初庵の臨床経験から、
少し付け足し・補足の説明
をさせてください。

痛み止めの薬、
湿布
はあくまでも痛みを感じづらくするだけであり、
肩の問題そのものを治すものでは決してありません。

「不必要な多用は害」
でしかありませんよ。

また、
「冷やす」はあくまでも、熱を持っていたり、腫れがある時だけに行ってください。

「痛いから冷やす」
という方を見かけます。

「痛いから湿布で治す」
という方も多くて困ってしまいます。

これでは、痛みがなかなか良くなりません。

私は学生野球のピッチャーが、試合後に当然のようにアイシングをしているのを見ると
「冷やすだけで終わってないよね?この後しっかりお風呂で温めているかな?大丈夫かな?」
と勝手に心配になってしまうのです。

私は野球は門外漢なので、以下の野球の専門家のブログをご紹介します。
参考になりますよ。
書かれている内容は、私は大いに賛同するものです。


一般情報については、以下参考となるサイトです。

マイクロソフトによる医療従事者への質問と回答

鈴木 一秀医師による解説。基本情報なので一読しておくと良いかもしれません。


「広背筋」が原因の痛みやコリがあります

「広背筋」を少し紹介します。

「最大筋肉」
というすごい”あだ名”がある広背筋を見てみましょう

Wikipediaで検索すると、こんな画像が表示されます。

うわぉ でかい!

おっきいですね!
腰や背骨にくっついて、
腰と背中を覆いかぶさるように広がって・・・

最後はどこに行っていますか?

この図ではわからないですよね?

なので正面から広背筋を見てみましょう。

広背筋(青色)を見るために
たくさんの胸や腕の筋肉さんには
ご遠慮していただいております。

腕の骨の肩に近い部分へ、
脇の下から前の方へ回り込んでくっついています。

つまり、腕を
後ろへ動かしたり
脇の下を締めたり
する時に使われる筋肉なんですね。

その他にも

  • 腕を体の中心線に向かって引き寄せる動作

  • 腕を後方に動かす動作

  • 腕を内向きに回転させる動作

  • 肩甲骨を下に引き下げる動作

  • 体幹を後方に伸ばしたり、回転させたり、側方に曲げたりする動作

  • 骨盤を上方に引き上げる動作

  • 呼吸や咳をする際に働く

などがあります。
働き者ですね。

ただ、この広背筋が
硬くなったり、
短くなったりすると、
いろいろと困ることが起きてしまうのです。

ではSさんの広背筋は?

Sさんの広背筋は、

とても硬くなっており、
少し押すと痛みを感じやすくなっていました。

原因は
風邪と
長引く咳
と考えるべきでしょう。

熱は2日ほどで収まったそうですが、咳が長引いたそうです。

咳をする時の、
あの体を丸めた姿勢。
さらに、激しく息を吐きだす動き。
どちらも、
広背筋を短くし、
さらに強い収縮をさせます。

UnsplashのAnnie Sprattが撮影した写真(左)
Edward Jennerによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/4031634/(右)

縮まり硬くなった広背筋は、
右腕を挙げる動きを邪魔するようになり、
それが肩関節に負担をかけ、痛みを生じます。

Sさんは、軽度の麻痺が右にあります。
右肩関節周囲の筋肉などの強さのバランスが崩れやすい状態です。
硬い広背筋の悪い影響が、右肩に痛みとして生じてしまったのでしょう。

広背筋は腰にもつながっていますので、
腕の動きにより、腰に痛みが生じるようになったと考えられます。

早速、Sさんの広背筋はもちろん、その他バランスを崩した身体各所の調整治療を行いました。

(Sさんの場合は、脳卒中の既往があるのでさらに原因として、
「連合反応」
なども考える必要があります。
ですが専門的すぎるので、ここでは省略します。)


どんな時に広背筋は硬くなるのか?そしてどんな悪影響があるのか?

麻痺が無くても
これを読んでおられるあなたも
広背筋が短く・硬くなるリスクを持っていると前述しました。

猫背の姿勢をしている時間が長くありませんか?
スマホをずっといじっていたりしていませんか?

例えばこんな姿勢
「やってはいけない」わけではないですが、長時間では弊害が…
Andrea Piacquadioによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/926390/
Ott Maidreによる写真: https://www.pexels.com/ja-jp/photo/2046790/

これらの姿勢は広背筋を硬くしてしまいます。

広背筋が硬くなったことで、
Sさんの場合は
腰の痛み
が派生していました。

その他にも、
首のコリ
肩こり

などが生じる原因にもなります。

広背筋が短くなったり、硬くなると、
肩を常に下向きに引っ張る力が生じてしまいます。

そのため首や肩の上の筋肉が、
肩を上方向にあげる力もより必要になり、
負担となります。

広背筋が肩を下へ引っ張ってしまうため、
首や肩は上へ引っ張り上げる負担が生じてしまう

この負担が、
首コリや肩こりの
原因となっている方もいます
(もちろん首や肩のコリはの原因は、他にも多岐にわたります)。


自己メンテナンス方法(動画)

Sさんに指導したものではありませんが、
広背筋のメンテナンスを紹介します。
明初庵は、該当する顧客の方へ、
治療の初期段階でこの方法を指導することがあります。


その後Sさんはどうなったのでしょう?

麻痺の影響もあり、一度痛めた肩関節の回復は、一般的な方よりも少し遅くなります。

ただ、このSさんの大変良いところは、
「焦らず、諦めず」
の治療態度を自然ととることができるところです。

お会いするたびに、少しずつ変化するお体の状態に合わせて、
治療を展開することにより、
現在は肩の痛みは消失。
肩の治療は終了いたしました。

最後に

まとめです

  • 肩に痛みを感じる原因はたくさんの種類があります。

  • 肩の痛みの治療方法も、たくさんの種類があり、その原因に合わせた選択が必要です。

  • まずはお医者さんを受診することが大切です。

  • 広背筋という筋肉が原因で、肩の痛み・肩こり・首コリが生じるリスクがあります。

  • 明初庵流の、広背筋の調整方法をご紹介しました。


お話は以上です
最後までお読みいただきありがとうございます

私は文章にするのが苦手ですが、
できるだけ伝えたいことを書いてみました。
もし間違いや不明な点がありましたら、
ぜひコメントやメールで教えてください。
喜んで加筆修正いたします。

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