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特性を持った方と創作を楽しむ

障害者の方が対象の連続講座で
講師を担当しました


ギャラリーのHPで、新年のごあいさつにも書いたのですが、昨年はなんだか思うように集中できない一年を過ごしてしまいまして。
加齢による体調の変化(乱れ)と、入ってくるお仕事やお誘いとの狭間で、どちらもろくに制御できず右往左往してるうちに、年が明けてしまいました。

1年前の時点では、もっとブログの記事をたくさん書いて充実させているつもりでいたのに!結局1つだけって!!(泣)

ということで、昨年1年間のうち、印象に残っている出来事をいくつか記すところから、今年のブログはスタートさせたいなって思います。

最近のことからにしよう。
大東市の「障害者芸術文化講座(全6回)」の講師を担当させて頂いたことについて書きます。

昨年7月下旬だったか、1件のお問合せを頂いたのが始まりです。

「大東市からの委託でワークショップを企画していて、今年は創作にまつわるものにしたいので、ご相談可能でしょうか」というような内容で、大東市内の企業さんからのメールでした。

詳しくお聞きすると、
・10月下旬から毎週土曜日
・全部で6回の講座を実施
・参加者は障害者の方限定(定員10名)
・初心者さんも無理なく参加できる内容
を希望しているとのこと。

これまで、自社商品の販促を目的としたワークショップは、10年以上、数え切れないくらい依頼を受けてきましたけれど、連続講座を担当した経験はありません。

けれど初心者さん向けなら、何か工夫したらお役に立てるかも?

塗り絵なら、誰でも楽しめるかな?じゃばらタイプの本だったら、気軽に仕立ててもらえるかな?思案した結果、試作した教材のイメージがこちら。

水彩色鉛筆で塗り絵を楽しむ講座に

細川貂々さんの作品『てんてん流 十牛図』の「塗り絵じゃばら本」バージョンです。

『てんてん流 十牛図』は、私が普段企画している豆本キット「mamenowa」にもご協力いただいている作品です。

禅の教えによる悟りまでの過程を表した「十牛図」。それをもとに、漫画家の細川貂々さんがご自身の解釈でかわいらしくアレンジして絵を描き、それぞれに、ご自身の解釈による文章を添えた構成になっています。

その10枚の絵は、どれも墨の線画だけで仕上げられているし、かわいらしいし、塗り絵にぴったりだと思いました。文章は、貂々さんのものをお手本にして、塗り絵をした人の解釈で自由に書けるようにしたら、楽しんじゃないかしら?

細川貂々さんにご相談したら
「とってもいいと思います!」

ご担当者さんにご提案したら
「楽しんで頂けそうですね!」

そんなわけで、お問合せを頂いてから2週間あまりで、講座の内容が決まりました。

9月から参加者を募集、予定通り10月の下旬から講座がスタート。定員どおり10名の方からご参加頂き、年代も性別も、思いのほかバランスよくバラバラだったので、様々な方にご興味を持って頂けたんだなあと、嬉しかったです。

会場はJR住道駅前にある施設です。ここに毎週土曜日通うことになります。

大東市立生涯学習センター アクロス

1回目は早速、講座用に製作したキットをじゃばら本に仕立てる時間をとりました。
2回目以降は皆さんと一緒に塗り絵をしたり、文章を考えたり。各々の体調やペースを大切にしながら取り組んで頂きました。

表紙は10色から選んで頂きました

実は、個人的には4回目、11月11日の講座が気がかりでした。理由は、神戸の百貨店催事と日程が重なっていたから。

↑公式サイトへリンクしてます

例年、神戸の北野で開催していた「紙フェスKOBE」。昨年は大丸神戸店さんの催事として開催することになったのです。
(この感想は、また別の機会にでも)
催事のスケジュールに準じて、開催日数も拘束時間も長くなるため、搬入日から最終日まで、神戸に滞在することにしていました。

例年ならば3日間で、1日の拘束時間も短く、アットホームな雰囲気がオアシスのようなイベントです。堺の自宅から神戸まで、毎日電車で通って参加していました。

これが百貨店の催事となると、どういう雰囲気になるのかな?少なくとも、例年通りの心づもりでは色々と足りないであろうことは確かでした。

その状況に少々不安を感じていたところに、思いがけず講座のお仕事が入ったことで、自宅からではなく神戸市と大東市との往復という特殊な事情まで加わってしまいました。そんなん、なんか忘れ物とか、絶対やらかすやん、私!(大汗)

と、相当に気がかりだったんですが。講座も催事も、関係者の皆さんの温かいフォローのおかげで1日を終えることができました。いやもう本当に、助かりました!

11月25日、無事、一連の講座が終了。
毎週通って、参加者の皆さんと過ごしてきたので、何だか寂しいなあと思っていたら…皆さんがこっそり、サプライズで寄せ書きをご用意くださっていたんです!

こんな風に寄せ書きを頂くなんて、私、人生で初めてかも…?(思い返せば、ずっと少人数の職場ばかりを経験してきたんです)

とっても嬉しくて。励みとすべく、自室の机にしばらく飾ることにしました。
皆さん、本当にありがとうございました!

机の上はその年の思い出コーナーでもあります

さてさて。
あと少しだけお付き合いのほど。

完成した作品を市民の皆さんにご覧頂くための作品展を、12月16日に実施することになっていました。参加者さんの作品に加え、ご担当下さった職員皆さんや、私の作品も展示に参加したんですよ。

発達障害にまつわるセミナー会場の一角で開催

写真から伝わるでしょうか。同じ場面でも、その解釈、どこに注目するのか、発想したり連想したり。色の選び方、塗り方、置き方。文字のかたち、言葉の選び方、その繋がり。そして、全体のまとめ方も。性格や心のありようで各々に手を加えてゆくと、すっかり違った印象に仕上がっているんです。
滲み出る「その人らしさ」にふれて、みんなで楽しい気持ちになることも、創作の面白さのひとつ。同じように仕上がりそうなものが違って仕上がると、こんなに愉快な気持ちになれるのか!って、興味深い発見でした。

会場では、ご担当下さった職員さんはもちろんのこと、参加者さん数人とも再会できて、とっても嬉しかったです。

そして、ある参加者さんの親御さんが、私に声をかけてくださって。
「講座の期間中、体調がすぐれない日があって、普段なら休みそうなところなのに「行きたい」と、頑張って出かける息子の背中を見送る経験ができたんです。ありがとうございました」と、笑顔で話してくださいました。

参加者さんの身近な方にまで喜んで頂けていたのだったら…本当によかった。

連続講座だったこと、特性を持つ方々が対象だったこと。私にとって今回のお仕事は、初めての経験がいくつか伴うものでしたが、ひとまず皆さんのお役に立てたようで、お引き受けしてみてよかった!の気持ちで終えられたことに、心から感謝しています。

最後に。
今回、当店にご依頼くださったのは…
大東市で精神・発達障害の相談支援を専門に扱っておられる「のぞみ相談支援センター」さんです。代表の方をはじめ、皆さん気さくな方ばかり。以下にリンクしておきます。
そうした内容でのご相談先をお探しの方は、どうぞご覧になってみてくださいね。

【つねまつあけみ・プロフィール】
2003年、仕事の合間に習い事がしたくなって通い始めた「京都インターナショナルアカデミーえほん教室」で、手作りの創作絵本の楽しさを知りました。
2005年、自主制作や手作りの絵本を扱う「ピクチャーブックギャラリーリール」を地元で始めました(現在の店名は「ギャラリーリール」)。
2008年、文具で豆本作りに親しめるキット商品「自分でくみたてる本seedbooks」を企画、販売開始(現在の商品名は「mamenowa」)。
2015年、情報サイト「関西ウーマン」で「女性におすすめの絵本」としてレビュー記事の担当を開始。
2021年、「ギャラリーリールのノート」として複数の執筆者による連載活動を始めました。
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上記は、いつ、どんなことの「初心者」だったかの記録です。いくつも「初心者」の経験を重ねていくうちに、今に至りました。
これまで経験させて頂いたり、見聞きさせて頂いたことをいかしたくて、今度は「創作活動や絵本作りの初心者」さんの、お役に立つための「初心者」になったばかりです。
堺で生まれて、ずっと堺で暮らしています。

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