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見えないものを見る

あけぼの事務所通信 Vol.4

1.美術館にて

先日何気なく立ち寄った美術館で、ボランティア学芸員に声をかけられました。「絵画の説明を受けながらの鑑賞会に参加しませんか?」とのことでした。時間にして30分ぐらいで、せっかくなので参加することにしました。
そこに展示されていたのはモネなどの西洋の風景画でした。それまで格式高く高尚とされていた宗教画の背景となっていた風景画は、16世紀から17世紀にかけて、宗教画よりも一般の人に親しみやすい絵画のジャンルとして確立されていったそうです。
展示されている絵の中から3枚の絵を選んで、それぞれ10分ぐらいずつ時間をかけて、学芸員の方が、 絵の描かれた時代背景、細かに描写されているもの、構図の取り方、色使い、画家の書き方の特色等を説明してくれました。
私は、これまで美術館に行って絵を見ても、ド素人の我流の見方しかしなかった、というか出来ませんでした。ですから単純に自分の感覚で、この絵は色使いがきれいとか、良い風景の絵だなぁとか、ただただ漠然と見るだけでした。それでも気分転換には十分だと思っていました。しかし、学芸員の方に色々説明してもらうと、これまでとは違う見方ができ、絵画を鑑賞する幅が広がったような気がしました。
例えるならば、これまでは私からの一方通行だった見方が、双方向になった感じです。作者は絵を通してどんな思いを伝えたかったのか、どんな時代背景だったのか等に思いを馳せることは1枚の絵を通して作者と会話しているのかもしれません。
自分が変われば、ものの見方が変わり、そこから得られる情報の量も質も変わるのだということを気付かせてくれ、良い経験ができたと思います。

2.会話の“行間を読む”


芸術も一つの情報と捉えることが出来ますが、最も身近で重要な情報発信手段は会話ですね。会話する時のただ発せられた言葉だけでなく、表情、抑揚、声の質感、身ぶり手振りで伝わり方が随分変わります。また聞く側も意識を集中すれば発せられた言葉から、相手の思いや心理的な状態を感じることが出来ると思います。
読書する時に「行間を読め」と言われますが、会話も同じで、話す側は”言霊“を込めて言葉を発しなければ相手に思いが伝わらないでしょうが、聞く側も、読書の「行間を読む」と同じように話した相手が何を伝えたいのかを五感で受け止め、相手を理解しないと良いコミュニケーションは図れません。
行間のように”見えないもの“をいつも意識して見るように心がけたいものですね。


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