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じゃあ聞くけど、優しさって何?

マシューはわたしのことをホームレスと呼び、優しくしてくれた。彼には100人ほどのクライアントがいて、私はその一人になったのだ。

わたしは、精神科医やカウンセラーといった類の人達がキライだ。脳科学やら心理学やらを学校で習う人達に嫌悪していた。

彼らが私や私のまわりの人の人生を楽にしてくれたためしがあっただろうか?


彼のクライアントは精神を患ったホームレスだ。無数のホームレス達が集結するこの街はホームレスのメッカである。例えるとするならば、大阪の西成のような場所だ。彼のオフィスではアポイント機能はない。用があるときは並ぶ。私は毎週通った。用がなくてもやってきて、最後には車で外まわりにもついていった。

ID をとろう。

マシューはIDをとるサポートをしてくれた。パスポートには大使館にいくしかない。そして、自分の身分を証明しなければならない。

自分の身分を証明するためにイミグレーションオフィス行くが、建物に入るためにパスポートがいるのだ。

そのパスポートをとるには、隣の州にの領事館にいかなきゃならないが、飛行機はパスポートなしでは乗れない。

玉子が先か鶏が先か。人類がその答えに到達する時がきたのだ。

犬の気持ち

私達はイミグレーションオフィスに行った。マシューはインターフォンを押し、まず、オフィサーに建物の外に出てきてもらった。

なるほど、どちらが先とかではなく、発想を変えなくてはならなかったのね。イミグレーションオフィサーは敵だと思っていた私には考えつかない発想だった。

私が一人だったら、泣いてお願いし、断れて、最後には怒ってつまみだされてだろう。

マシューのお陰でイミグレーションでは、スムーズにことは、運んだが、一人で行った日本領事館は、大変だった。さすが、世界一の信頼を誇るパスポートである。再取得に苦労したそれだけは、書いておこう。 最終的には融通を聞いていただいたのでありがたかった。

そのころの私は、虐待をうけた保護犬のようであった。人が近ずき過ぎると、うーっと唸る犬だ。自分以外に信じるものはいないのだ。

心の境界線

Boundary という言葉がある。ここで話すのは心の境界線のことだ。繰り返し繰り返し、クラスをとっても、私は理解できなかった

マシューはこれを私に教えてくれた。私は彼の優しさを利用して、境界線を押し上げていったが、彼はスッと線引きをした。

私が上手に線を引けていたら、全てを失うことはなかったのだ。

「和歌子は、共依存って知ってるかい?」

「もちろん。」

太っている人は、誰よりもダイエットの知識はある。知っててもそれが継続出来るかどうかは別の話しなのだ。

わたしも共依存という言葉なら理解だけはしている。しかし、その話をわたしにするなら、マシューは、禁酒をし、ギャンブルも止めるべきなのだと私は食い下がった。すると、マシューは、アルコールやギャンブルより人を使う方が、悪いという。反論出来なくなってしまった。

私は黙って彼を見つめた。涙が出るまで10秒。1 2 3

察知した彼は、「ノーノーノー!冗談。冗談だよ。」と必死に止めるので、

私は笑ってしまう。

「和歌子はmanipulate(操る)って知ってるかい?」

私は笑った。「あげそう。」(I guess so )

ほんとうの優しさ

「私がいないとダメなんです!」

「俺がいないと何にも出来ないんだよなぁ。」

といって、優しさを履き違えている人はあなたの周りにいませんか?

境界線が上手に引けているかチェックしてみましょう。

◆◆◆◆◆◆◆

残業が当たり前になっている。

部下が仕事が出来ないから、自分が全部やってしまう。

家のことはすべて妻に任せている。

奥さんのいいなりになっている。  

働きたいのに、家でいる専業主婦。

旦那さんの頼みを断れない。

子供に理想をおしつける。

相手が暴力をふるう。

親が子供の将来をきめる。


子供の宿題を親がやってしまう。

子供が嫌がることを強制する。

しつけと言ってたたく。

過保護。

親の顔色を常にうかがう。

親のために、良い子を演じる。

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まだまだ、たくさんありますよね?

あなた方がやっていることは本当に相手のために、なっているでしょうか?

あなた自身の本当にしたいことって何でしょうか?



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Dear マシュー

私がboundary について、こんな風に語ってるなんて知ったら

あなたは笑うでしょうね?


赤 和歌子





とんでもないことでございます。