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夏休みの読書:ドリトル先生

毎朝、こっそり瞑想会に参加しています。

その中の慈悲の瞑想で「生きとし生けるもの」という言葉が出てきます。
そのたびに頭に浮かぶのは、妹家族が大事にしているフェレット。
この春、緊急事態宣言が発令される直前に家族の一員になりました。
フェレットは好奇心旺盛なので、本当にかわいいんですよ。

テオ2020Aug15mini

私自身、昔から動物が大好きで、子供のころ、毎週「野生の王国」というテレビ番組を欠かさず見ていました。古いですねぇ。。。

そんな動物好きなところから、子供のころに読んだ本には動物が登場するものが多いです。

代表格がドリトル先生シリーズ。第一巻が「ドリトル先生あふりか行き」、その次が「ドリトル先生航海記」と続いて、実は全部で13巻あります。

最初の2冊は結構読んだ方も多いのではと思います。

Amazonでチェックしてみたら、岩波版はKindleになっていましたね。私が持っているのはケース入りのハードカバーで、今でも大事に本棚の奥にしまっています。

「ドリトル先生あふりか行き」は、その後他の出版社から新しい翻訳のものが出版されたりしていますが、元祖岩波版の翻訳者は「黒い雨」などで有名な井伏鱒二さんなので、大人世代にはぜひ岩波版をお勧めしたいですね。

この翻訳は名訳とされています。子供の頃は翻訳者が誰かとか、日本語の表現がどうなのかなんて気にするはずもなく、ただただ楽しく読んでいました。
翻訳者に気づいたのは大学生のころ、なんとなく本棚を眺めていた時に翻訳者の名前が目に留まり、その時初めてあれ?井伏鱒二?と気が付いて。「黒い雨」の作家さんと同一人物なのかが気になって人名辞典で調べた覚えがあります。当時はググるなんてことできなかったので。

大人になってから改めて読み返してみると、子供時代に読んだころには気づかなかった翻訳のすごさがわかります。翻訳当時は、児童文学作家の石井桃子さんの下訳をもとに翻訳されたそうですが、それでも日本語としての自然さがすばらしいです。

英語を習った後に翻訳本を読むと、英語の文章を自然な日本語にすることの難しさってよくわかりますよね。特にドリトル先生の翻訳は日本語として本当に自然で、子供にとって読みやすく、わかりやすく、ただただ物語に引き込んでいってくれる、そんな翻訳なのだと思います。

ただ、この本の中には黒人に対する差別的な要素が含まれるとして、一時アメリカでは廃刊になったことがあったり、この日本語の翻訳自体にも、当時使われていたけれど、今では不適切とされる表現が含まれているそうです。
ここではあえてどのこととは言いませんが。

英語の原本が書かれた時代、翻訳された時代、それぞれの時代背景が反映されていて、現代的な基準に照らし合わせると、差別・不適切という評価もあるのでしょう。

ただ、できれば、純粋に児童文学として、子供の心を取り戻す、自由な創造力の翼を羽ばたかせる空想の物語として楽しんでもらえるといいなと思います。

ちなみにですが、大人になった今なら、オリジナルに挑戦するのもよいかもしれませんね。

実はドリトル先生の英語名は、Dr. Dolittle。 直訳するとほとんどやらない人(笑)
日本の子供たちがすんなり理解できるように工夫して意訳された日本語版とオリジナル英語版を比べて、どの英語の表現がどういう日本語に変換されたのか、マッチングを楽しむ読書もよいのでは?と思います。きっと言葉の世界が広がりますよ。

まだまだ暑い日が続きます。今回もひととき別世界へ誘う本をご紹介しました。少しでも読書の愉しみを味わって頂けると幸いです。

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