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アナログ家庭で育ち、将来の夢も定まらなかった人がエンジニアをやってる話

wirohaさんの記事がきっかけで、一部の女性エンジニアが「私もエンジニアになるまでの話書いてみようかなー!」と言っているのを観測したので、私も書いてみます。この記事では「女性」というところだけに焦点を当てず、一個人がどうやってエンジニアになったか、エンジニアになってどうしてるのかについて書きたいと思います。

自己紹介

私の主なキーワードはこちらです。

30歳 / 一人っ子 / 千葉県出身 / 女性 / 第一子妊娠中 / iOS兼Androidエンジニア / 文系出身 / @akatsuki174

幼少期

■将来の夢
特に何も思い当たるものがなかったので、当たり障りのない「花屋さん」とかホラ吹いてた気がします。

■興味があったもの
友だちに影響され「ピアノやってみたい」と親に言ってみましたが押しが弱かったのかまともに取り合ってもらえないし、いつものように「うちはお金がないから」という言葉で何も言えなくなってしまいました。

※思うところがあるので別の機会に記事にしようと思うのですが、「うちはお金がないから」という言葉は悪影響でしかなかったと思います。何かに興味があっても「でもお金ないし」で諦める癖がつきました。しかもタチが悪いことに、大学生くらいになってからうちは貧乏というほどではなかったことに気づきます。

小学生期

■夢中になったもの
ものづくりが好きでした。この頃はマスコット作りや簡単な裁縫が中心でしたが、後々は編み物、ビーズ細工、アクセサリー作り、料理など幅広く好きになりました。

これ以外は夢中になったものの記憶はありません。ゲームは好きだったけど一緒に遊ぶ兄弟はいないし、両親はゲームをやらないのでほどほどというかんじ。

中学生期

■プログラミングとの関わり
学校ではほぼなかったと思います。「個人ホムペ」が流行って、そこでHTML、CSSというものを知ってちょっといじった気はします。

たしか中学1, 2年の時に家にWindowsパソコンがやってきたんですが、やることといえばちょっとした情報収集と、一太郎スマイルでのタイピング練習くらいでした。中学3年になって、ガラケーを買ってもらった気がします。

ちなみに両親はこういった「ハイテク機器」を使わないし、使おうともしませんでした。

■将来の夢
介護福祉士で、職場体験も介護福祉施設に行っています。はっきりした動機を覚えてないんですが、人の役に立ちたかった的な理由だと思います。

■軽い「女嫌い」へ
中学2, 3年の時、仲が良かった友だちがクラスのボス的女子からいじめを受けるようになりました。そうするとお察しの通り、その子はクラス全体からいじめられたり、私もとばっちりを受けるようになります。さらにわけのわからないことに、その友だちがいつの間にかボスと仲直りし、今度は私が軽いいじめを受けるようになります。こんなこと等々あり、(性別で判断するのよくないけど)「女はめんどくさい」「絶対に女子校には行かない」と思うようになりました。

高校生期

■プログラミングとの関わり
高校でもプログラミング教育はなかった気がします。

■将来の夢
特に興味が惹かれる職業、分野はなく、「わからん」状態でした。文理どちらにするかを決める時も、「理系に行くと勉強したことがそのまま将来につながる傾向が強いから、特に決まってないなら文系」みたいな話を聞き、「じゃあ文系に」と軽い気持ちで決めました。

■大学受験
進学校だったし、親が「私達に学はないけど(二人とも大学を出ていない)、お前は大学出ておけ」スタンスだったので、大学受験はほぼ決定事項でした。原則国立、ダメだったら私立、学部は主に文学部です。「ここ以上のランクでないと受けない」という線引きをした結果、見事に全落ちし、浪人することになります。

浪人中のとある日、車と正面衝突する事故に遭いました(大したことない)。相手側は最初は下手に出ていたものの、途中から急に強気になって裁判をチラつかせるようになり、気づいたら私が塾に行っている間に親が示談金を払っていました。これを機に「自分の生活を守るために法律の知識は身につけておいた方がいい」と思い、志望学部を主に法学部に変えました。

最終的に受かったのは国立の図書館情報系学部、私立の法学部、経営学部等々でした(国立を情報系にしたのはまあセンターの結果がやばかったのと、図書館司書に興味があったからです)。悩んだ末、先述の「お金ない」呪縛や、大学のお気に入り度などを踏まえ、国立の情報系に行くことにしました。

大学生期

■学んだこと
情報系にしては珍しく男女比率がほぼ半々、文理融合という環境でした。なかなか面白いところで、プログラミング(主にRuby)、数学、経営学、経済学、分類学、統計学、レファレンス作業等々幅広い学問を広く浅く学びました。プログラミングは最初苦手意識満載だったんですが、課題を自力でクリアできたり自分の思うものが作れたりするうちに、楽しさを覚えるようになりました。一方でレファレンス作業などの図書館司書が学ぶべきものに対しては一定以上興味を持てず、「図書館司書は違うのではないか」と思うようになりました。

■専攻選択
(たしか)3年次にシステム系、情報経営系、知識科学系のいずれかの専攻を選ばなければならなくなり、面白いと感じていたプログラミングの世界、システム主専攻に進むことにしました。最終的に卒業研究では「ニュース記事をinputすると、重要な単語を白抜きにして穴埋め問題を出してくれる」という自然言語処理系のものを作りました。

就活期

■業界、職業選択
まず女性が多い業界(アパレル系等)は真っ先に除外しました。その上で自分の職業として考えてもいいなと思ったのは都の公務員、リサーチャー、そしてエンジニアでした。都の公務員は環境局とかで自然に関われたらいいなという気持ち、リサーチャーは物事を分析して見出すのが面白いなという気持ちからです。公務員は「私にとってはつまらない仕事も結構ありそう」という理由で途中でやめましたが、リサーチャー職は最後まで選考を受け、内定ももらいました。エンジニア職の内定と並べて結構悩んだんですが、最終的には「ものづくりがずっと好きだったじゃん」と思い、エンジニアに進むことを決めます。

■就活において「阻害するもの」があったか
エンジニア系の就活では「女性だから」「文系だから」という理由で冷遇された記憶は(私が検知できる範囲では)ありませんでしたし、これらを理由に自分が躊躇するといったこともありませんでした。女性が少ない方が好都合だったし、文系とはいえ全くのプログラミング未経験ではなかったので。

社会人期

■親のITレベル
ついに親元を離れるときが来ました。これを機に母親が初めて携帯電話を持ちました。らくらくフォンです。しかも全然使いこなせていない。その他察していただける情報としては「私の東京引っ越しを機に実家からネット環境がなくなった」「去年スマホに変えたが、私の返信メールを読めてないらしい」「Google検索をたぶん使ったことがない」です。

■ざっくりとした変遷
新卒当時は3ヶ月ほど研修があり、プログラミングの問題を解いたりチームでアプリ開発をしたりしました。この時すでに、周りの人と自分との実力格差を身にしみて感じています。この後今に至るまでは、分野を変えたり会社を変えたりのらりくらりとやっています。

■私はエンジニアに向いているのか
自分でエンジニアに向いてないと思っているし、人にもそう言われたことはあります。言語仕様がどうとか、設計がどうとか、一定以上突き詰める気力が起きず。とはいえ自分が楽しいと思えていることを今手放してしまうのはもったいない、まだまだやりたいことがいっぱいあるという状態なので、適性に関わらずこれからもやっていこうと思います。

■キャリアへの不安
子どもが生まれたら勉強する時間が確実に減ってしまうので不安に感じている部分は確かにあります。そもそもいま現在でさえ、iOS/Android両方の最新情報をキャッチアップしつつ、自分でもそれを体感してみるのは結構な労力を必要としてます。それでも気持ちだけは、子どもがいても現役エンジニアとしてやっていけるのかどうか見せてやるぞと思っています。

■女性エンジニア少ない?
確かに少ないと思います。今の会社では私1人ですし、今までの会社もほぼそんなかんじです。数年前の話だと全体の約1割と聞いたことがあります。ちなみに分野によって偏りがあると思います。たぶんネイティブアプリ、フロントエンドだと女性多めで、インフラだと少ないと思います。

■女性エンジニアで困ったこと
私自身はあまり感じたことはないです。勉強会で知り合った人がちょっと粘着質だったことはありますが、強気の態度と積極的無視で乗り越えてます。あとは「開発合宿!」「おっ!」って思っても参加者に女性がいなくてそっ閉じした、みたいなのはあります。

私以外で言うと、勉強会の帰りに後をつけられたとか、SNSでしつこかったとかは聞いたりします。

■女性エンジニアにまつわるエピソード
新卒当時、「困った時は先輩男性エンジニアにすぐ聞くといいよ。女性から質問される機会なんてあんまないからすぐ教えてくれるよ」と冗談交じりに言われたことはあります。

勉強会で「女性だと大変でしょ?」と言われることはたまにあります。とはいえ「見ててどこらへんが大変そうだと思います?」と聞くとはっきりした答えが返ってこなかったりなど。

■妊娠中の勤務どう?
そもそも直近(1年以上前)の転職では「そろそろ子どもほしいな」と思っていたこともあり、子どもができたとしても働いていける会社であるかどうかも重視してました。結果、今の会社では裁量労働制を活用して休みを取らずとも妊婦健診に行くことができたり、産育休にあたっても特に困ることはなさそうです。妊娠中の生活全般に関して興味がある人はこちらのマガジンをお読みください。

■女性エンジニアの「適切な」ロールモデルが少ない問題
先述の通り女性エンジニアは絶対数として少ないです。加えて、よくエンジニアのキャリア記事で取り上げられる人は男性だったり、バックグラウンドが凄すぎて参考にならない女性だったりして、「真似したい」と思えるロールモデルがなかなか見つからなかったりします。なのでいつからか「自分は自分でやっていけばいいのでは」「もはや私が一例としてのロールモデルになったらいいのでは」と思ってきました。直近の転職で転職ドラフトに出た時は恥ずかしながら「ママになっても女性エンジニアのロールモデルになれるよう、技術のキャッチアップ、キャリア発信を頑張る」と目標に書いたところ、ありがたいことに14社に指名していただきました。そう、わりと企業側も子育て女性エンジニアに寛容的なんですよね。

あとは(女性に限らないんですが)(最近更新滞ってるんですが)「エンジニアの歩き方」という「普通のエンジニア」に焦点を当てたキャリアマガジンを作ったりしてます。「スキ」をもっともらえたら頑張れる気がする。

■その他
・誤解なきよう言っておきますが、エンジニア職の女性はさばさばしてる感があって好きです。

・直近ではiOS/Androidな女性エンジニアの雑談会を開催する予定だったり、性別問わないキャリアの雑談会とか、単なる雑談会してみたいなと思ったりしてるので、機会があればお越しください。Twitterで「やるよ〜」と言ったりしてます。

まとめ?

この記事で特に何かを主張したいってことはないんですが、言うとすれば

・子どもの頃からプログラミングに親しんでなくてもエンジニアになれるよ
・勇気づけられる人もいるから「自分の話なんか」と思わずみんなどんどん発信して誰かのロールモデルになろう
・「マイナー」は時に大変だけど、困ったらマイナー同士で協力し合おう。「マイナー」同士の団結力は強い。

です!

おまけ

2018年にTECH PLAY女子部主催で「私がエンジニアになるまでLT大会」というイベントを開催し、そのイベントレポが残っていたので貼っておきます。他業種からエンジニアになった人の話が紹介されているので良かったら見てみてください。

ちなみにその時私は「「得意」よりも「好き」を仕事にした話」という話でLTしてます。

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