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小説『明鏡の惑い』第十二章「人の望み」紹介文

 ミサンガの環が切れるとき、願い事が叶うという。
 ぼくの願い事は何だろうと、悠太郎は考える。
 友達と遊んだあの夏休みのような時間が、いつまでも続くことだろうか。
 照月湖のほとりが賑わい続けることだろうか。
 お祖父様の望み通りに、足が速くなることだろうか。
 お母様の望み通りに、ピアノがうまくなることだろうか。
 ピアノ教室ではふとした偶然から、陽奈子先生がバッハのコラールを弾く。
 それを聴いた留夏子は、喪失の悲しみから立ち直る。
 運動会の成績をめぐって、家族から悠太郎への虐待は苛烈を極める。
 しかし雪を待つ季節には、隣町の音楽ペンション〈アマデウス〉で、陽奈子先生のピアノ教室が初めての発表会を開くのであった。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/703314535/113741973


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