【麒麟がくるレビュー・2軍】その40 「松永久秀の平蜘蛛」持ってるで
これは言わば、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』のエセレビューだ。
普段こんなメンツでやっている。
・82歳のじーちゃん(日本人。日本在住)
・12歳になる息子・エル(日本人とスペイン人のハーフ。マドリッド在住)
・ビジネスウーマンのタマラ(スペイン人。マドリッド在住)
3人とも日本史知識はほぼゼロ。
悪いが、まともなレビューを期待しないでいただきたい。
ある人のせいで今回ちょっと長めよ。
いい?
■タマラの「麒麟がくる お顔拝見13 羽柴秀吉」
主人公のライバルだ、この人物のお顔拝見をせずにこのシリーズを終えることはできない。
残り回数も少なくなってきたところで、登場願うことにした。
タマラ-。いつもの通り人相を見ておくれ。
このキャストビジュアルは「木下藤吉郎」時代のものだ。
こんなになって・・・
最近彼は「羽柴秀吉」になって、こんな風に。
タマラが口を開いた。
大志を抱いている人ね。
えー。バレバレやん。
ストリートで鍛えた知恵のある人。
頭の回転が速くて、どんな手段を使っても絶対に目的をやり遂げる人ね。
彼の未来は明るいわ!
あーそう。
でもこんなコメントは面白みに欠ける。
藤吉郎時代の写真が、分かりやす過ぎるかも。
そこで、彼女に秀吉のアダナを考えてもらうことにした。
秀吉のアダナとして知られるのは「サル」や「ネズミ」だが、タマラならどんなニックネームを付けるのか。ふふ。
彼女が言った。
Shark(サメ)。
言い切った。
ああ、言い切ったとも。
サ、サメ?
んー。
リアクションに困る。
写真にある背景の海に引っ張られたか・・・。
サメなんだね。
そう。Shark(サメ)。
・・・サメ。
どうしよう。
サメでした・・・。
■もしもエルが戦国武将の息子なら
『麒麟がくる』第40話には、織田信長の嫡男・織田信忠、細川藤孝の嫡男・細川忠興ら若武者たちが登場した。
エルは言う。
信長の息子(信忠)とか、ミチュブチの弟の息子(つまり細川忠興だ)とか、光秀の娘のたまとか、もうドラマに出てくる人たちがnew generation(次世代)になってきたねぇ。
そうだなぁ・・・よし。
例えば私が帰蝶的外見だとする。
で、ダンナが戦国武将だったら、エルは戦国武将の息子だ。
なら、あと2年くらいで元服して初陣を経験する年齢である。
え。ボクあと2年で戦にでるの? イヤだ。コワイ。
サムライになりたいと言ってたくせにチキンなエル。
美人の母(仮定)を喜ばせたくはないのか。
が、彼は続けてこう言った。
ボク、なりたい人があるよ。それは信長のね・・・
おっ。信長周辺の一体誰に・・・?
・・・部屋の外で坐っている人。あれになりたい。
ぬわにぃ!?
戦国武将の息子だというのに!(いや、仮定の話だが)
あの襖とか障子とかを開け閉めして外で坐ってるっちゅう2人のうちの1人か。
あれか!
エルがウケ狙いで言っていないところが余計に悲しい。帰蝶的に。
エル君、もうちょっと上を見ようか。
あんた、戦国武将の息子なんだから。(だからまあ仮定の話)
キミは、菊丸あたりの下で修行を始めるしかなさそうだ。
■エル姉の使用説明書
実は今回2軍の守護神、じーちゃんが諸用で欠席だ。
で、手ごわいこの人が登場した。
エル姉である。
ここで少しだけエル姉の使用説明を。
多少予備知識があったほうが、この後の彼女の発言も理解しやすいはず。
エル姉は、16歳になったばかりの身長175cmの長身女子高生だ。
エルのお姉ちゃんである。
身内のことなので少々気が引けるが、これがポイントなので言っておく。
エル姉はかなり頭がいい。
・学校の成績は抜群
・ガンガン遊んでガンガン勉強する
・思うように勉強できなかった後のテスト結果も良い
・友人が多い
・先生ウケがよい
・生徒会長の女版みたいのを昨年やった
・毎年何かで表彰される
・読書家
・ピアノ、水泳、ロッククライミング、バスケットボールが得意
これ、盛ってないよ。ガチです。
同じ学校で学年が下のエルは、「あのエル姉の弟」ということで「勝手に期待され、がっかりされる」などの苦労があるらしい。
家ではいつもエルと私がコソコソしている。
エルと私は似ているが、エル姉は別種である。
そんな彼女が『麒麟がくる』を生まれて初めて視聴した。
はい、ではエル姉のご登場だ。
■カメラワークでわかるから。
なぜか寄生虫についてエルがエル姉に説教されていたところを、なんとか引きはがし、私はエル姉のドラマの感想インタビューを開始した。
あれ?
エル姉、急に元気なくなった?
意外にも彼女は弱々しくこう言った。
(ドラマの登場人物の)日本語が全然わからなかった・・・。
日本語能力にはかなり自信のあったエル姉だが、世の中にまだ彼女の理解できないエリアがあるのにショックを受けた様子。
ははは。思い知ってください。
ではドラマの感想など無理? と心配したがそれは杞憂に終わった。
エル姉、いきなりビラッっとメモでびっしり埋まった紙を取り出して喋りだしたのである。
ま、大丈夫。言ってることが分からなくても、状況は把握できたから。信長にはがっかりしたのよね。もっと背が高くてカッコイイ髪型の人を期待してたけど、全然違った。カメラワークでエライ感じはすぐ伝わったから、あれが信長だってすぐ分かったの。彼にはpsychological issue(精神的問題)あるんじゃないの?横にいたお姉さん(帰蝶のことか)がどっかに行っちゃいたくなるのもとってもよく分かるし、っていうかあの女誰・・・
私は母親の権限を最大限利用して静かに彼女をストップさせた。
■駒がステキ
だってさー、このままいくとなんか面倒な感じになりそうやーん。
では、話を単純にしよう。
私はエル姉に登場人物の中に好きな人がいるかを尋ねた。
すると・・・
ああ、いるいる。若い子が薬の勉強してたでしょ。あの子(たま)好きよ。しっかりしてるし、頭よさそう。一緒にいたオバさん(駒ちゃんだ!)もステキ。エライよね。進んでる! 私、薬のこととかすごくキョーミあって勉強したいから、たまが薬について勉強しておくことには賛成。ああいう時代だし、戦争も多いし医学や薬学に詳しくなってて損はないと思う。あの頃の医学って・・・
わかった、わかった。すとーっぷ!
ひと呼吸しよう。
少なくとも彼女の発言の中に1つの発見があった。
先入観がない(もしくは過去のエピソードを見てない)人の感想ってスゴイな。
エル姉的には、駒ちゃんはステキで薬学に詳しい進んだ女性なのだ。
でも、やっぱ高校生から見ると、駒ちゃんはもうオバさんか・・・ふっ。(なんか寂しい)
だが、私が感慨に浸っている最中も、エル姉は強引に続けようとする。
でさ。あのオジサンがセップクした時の血の色のことなんだけど・・・・
エル姉よ。
お母さん、だんだん疲れてきたんですけど、次に進んでいい?
■家宝・平蜘蛛
今回、非常に調子が狂った。
インタビューしている私がエル姉に追い詰められてどうする。
エルとエル姉に威厳を示さねば。
ここで、隠し持っていた私の宝物を見せてやることにした。
どうだ。
これだ!
エルとエル姉が同時に叫んだ。
平蜘蛛だあああ!
なんでお母さん持ってるの? スゴイ!
ふはははは。
驚くがよい。
恐れるがよい。
この高みまで這い上がって来るがよい!
だが、すぐさま冷静になったエル姉が言った。
でも、これプラスチックだよね。小さい。ちゃっちいな。
うるさい。
これは、例のガチャのシリーズのやつだ。
次、お母さんはこの中の「九十九茄子」か「蘭奢待」を狙ってるのだよ。
ふーん。
あの。
もう放っておいてくれないか。
お母さん一人で空想の戦国の旅に出るから。