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麒麟がくるレビュー・2軍       その18「越前へ」行ってみたい

私の単なる思いつきで、今年82歳になるじーちゃん(日本人。日本在住)と12歳になる息子・エル(日本人とスペイン人のハーフ。スペイン在住)にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のレビューをお願いしている。
今回からは越前が舞台だよ。
例の2人は越前が尾張の隣とか思っているかもしれない。

快調じーちゃん、18話をほぼ理解する

ひとしきり自分ちの庭の手入れ具合について話した後、私の強引な誘導によってようやく『麒麟がくる』について述べ始めたじーちゃん。
トマトやキュウリの苗を買ってきて庭に植えたのが楽しく、さらに庭仕事が身体には適度な運動となって調子がいいらしい。

だから、今回のじーちゃんは頑張った。
メモを取って18話の視聴に臨み、メモを読み読み自分なりに理解したあらすじを説明してくれた。  
最初は読むメモのページを間違えて、17話の説明から始めたのはご愛敬だが、18話のストーリーはほぼ完全に理解するという快挙を成し遂げたじーちゃん。

なんだよぅ。頑張ってるじゃん。
そんなに一生懸命されたら、いつものレビューの調子が出ないじゃん。

じーちゃんオススメ、18話の見どころ3つ

浮き浮きと話すじーちゃんが18話には3つの見どころポイントがあるというので、聞いてやってほしい。
順番に解説をまとめてみる。

【①信長による信勝謀殺場面】
兄弟だというのに因果なもので、お互い殺してやるつもりで顔を合わせたんじゃ。信長は、仮病を使って信勝をおびき寄せ、信勝は毒の入った水を用意して見舞いをするフリをしてやって来た。
信長にとっては、信勝に母親の愛情を奪われたことが悲しかったんじゃ。
信勝も、信長がいつも先を行く実行力を羨ましいと思っていた。
2人が顔を突き合わせて話しをする様子は、緊張感があったぞ。
お互い泣き合って、仲良くなるのかと思ったら、やっぱり信長は信勝が自分で用意していた毒を飲むように仕向けて彼を殺してしまったんじゃ。
何でかのう。
ところで、あの役者(染谷将太)が演じる信長は最初は変だと思っていたんじゃが、なかなか信長らしくなってきた気がする。
それと、信長の嫁さんの帰蝶じゃが、あの女は怖いですなぁ。
結局、信勝を殺したのは帰蝶のようなもんじゃ。
自分は言うだけで、人に誰かを殺させるというのは、末恐ろしい女じゃ。
たしか前にも似たようことがあったような、なかったような・・・。
まあ、ええか。

【②駒の命の恩人が光秀の父親と分かった場面】
駒が光秀の母親(牧の方)と話しをしたシーンはなかなかの感動場面じゃ。とうとう駒を火事から助けてくれたお武家様が、光秀の父親だったとわかったんじゃ。わしは、前から気づいていたけどな。
それにしても駒がでる場面があんなにいい感じになるとはびっくりじゃ。
え? 牧の方を演じているのは石川さゆりじゃったんか? 
本当か? 演歌歌手の? 
初耳じゃ。(←これはウソ。以前の2軍レビューでも石川さゆりについて語ったことがあるのにもう忘れてる)
いやぁ、ええ女優さんじゃ。
駒もよかった。
いつもはわりと邪魔なかんじの女じゃが、今回だけはよかった。
そうか、石川さゆりが牧の方だったとは・・・。

【③朝倉義景と明智光秀の初対面の場面】
朝倉義景というのは、気を付けたほうがよい。わしは好かん。
なんや居心地の悪い場面じゃったのう。
義景は光秀に金をやる、とは言うが何を考えているのわからんので、光秀は用心したほうがよい。
ただ、光秀も「金もいらん」「家もいらん」じゃったら、何のために朝倉に会いに行ったんじゃろうな? 
わしは義景は土岐頼芸(ときよりのり)と同じ種類の人間じゃと思う。
どうも、まともに仕事をしておらんぞ。
ところで、あの伊呂波太夫というのは意地悪そうな顔をしているが、いい人なんじゃろ? 
しかも、高貴な家の出らしいぞ。
でもちょっと怖いのう、顔が。

エルが世に問う

エルの感想はじーちゃんと重なる部分が多いので、あえて違う点について書こうと思う。
実は、彼は例の信長による信勝謀殺シーンについて言いたいことがあるそうだ。

・信長は信勝を殺したから、もっとお母さんに怒られて嫌われるよ。
・信勝は、絶対危ないに決まってるから、もっとガード(用心棒とか家来とか)連れて来ないとダメ。
・信勝は、毒の入った水を飲ませて信長を殺すのに成功しても、そのあとどうするつもりだったの? 自分は信長のお城にいるんだよ。信長の家来に絶対すぐに殺されるというイマジネーションがないのかな。
・まあ、水の入れ物にはコップがついていなかったので、渡しておいて信長にあとでこっそり飲んでもらうつもりだったのかな? そういうこと?

どう考えても信勝は不利だと思うエルは、どうして信勝がノコノコ仮病の信長の見舞いにやって来たのか理解に苦しんでいた。
結局彼の結論は、「信勝が超頭悪い」に至ったのである。
それに比べてうちのエルは、斎藤道三の手口などを見て育っておりますので、そのあたりのことについては、信勝よりも用心深いのでございます。

馬は走り回って埃を立てる、埃高き生き物です

今回エルは実に沢山の人物批評をしてくれたのだけれど、すっげー長くなりそうなので、これは今後に小出しにするよう取っておく。
ま、簡単に言うと、彼の朝倉義景への印象は悪く、光秀がお金をもらわないことに憤慨し、菊丸が駒ちゃんを好きそうだっていうんで、大笑いしていた(エルはアンチ駒ちゃん)なんてことです。

さて、エルは光秀の言葉に首を傾げていた。
光秀が母親との会話の中で、光秀が父親との言葉
「馬は誇り高き生き物じゃ」
を回想するシーン。
顔をしかめるエルがたたみかけるように尋ねる。
「どういうこと? なんで馬は埃だらけかってこと? それは馬が一杯走ると、埃が沢山出て、高いところまで埃だらけになるからかな。それってすごいの? 光秀のお父さんは何が言いたいの?」
は?
普段、日常会話の日本語にまず不自由しないエルも、さすがに埃(dust)と誇り(pride)の違いを知らなかったか。
日本語は難しい。同音異義語多いもんね。
この大河ドラマの視聴は、スペインでオンエアしている『ドラえもん』(日本語への音声切り替え有り)同様、日本語学習にも貢献してくれるのだ。
ちまちま勉強やろうぜ、エル。

麒麟? 来るわけないじゃん

「ああ、光秀もお金がないのを早くなんとかして、偉くなってほしいね」
誇り、という言葉を理解したエルは、越前で誇り高く生きて活躍する明智光秀に期待している。
「そうやねぇ。そうやって光秀が偉くなっていったら、いつか麒麟がくることになるかねぇ」
私が軽くテキトーなことを口にすると、途端にエルがジロリとこちらを見てぴしゃりと言った。
麒麟はこないよ! 光秀が最後に自分のマスター(master/主人)を殺すんだから。来るわけないじゃん

戦国時代についての知識は今のところ『麒麟がくる』18話分だけのエル。
それ以外に唯一知っていることといえば、「本能寺の変」で光秀が信長を殺すことだけだ。
僕、エルくん。
麒麟よりもXデーが来るのをめちゃくちゃ楽しみに待っている、合戦やチャンバラ好きの、好奇心旺盛な男の子でーす。
ドウゾヨロシク。