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怪談ジゴロ

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(´-`).oO(都市伝説コメディ…)
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怪談ジゴロ

誰かが怪異に襲われた時、その男は現れる。
その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第1話 こっくりさん
 放課後の5年2組。

 夕陽が差し込む教室の中、わたしたちは異様な雰囲気に飲まれ、動けずにいた。
 面白半分で見物をしていた子たちは逃げ去り、残されたのは十円玉に指を置いた3人。

 みのりはもう泣きべそをかいているし、沙耶香の顔色は真っ青。
 わたしも、ほんの少し理性のバランスが崩れれば、悲

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誰かが怪異に襲われた時、その男は現れる。
その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第2話 メリーさん
『わたし、メリーさん。いまゴミ置き場にいるの』

 その電話が、知らない番号から掛かってきたのは、3日前のことだった。

 小さな女の子の声。回線の状態が悪いのか、ノイズ交じりで聞き取りづらい。
 つい通話してしまったが、リダイヤルすると、使われていない番号だと告げるメッセージが流れた。

 1週

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誰かが怪異に襲われた時、その男は現れる。
その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第3話 カシマさん
 長年の夢が叶い、4Pの特集記事を任されることになった。
 オカルト専門雑誌、『月刊ミー』。オカルト女子だった私が、小学生の頃から読んでいた憧れの雑誌に、投稿ではなく、顕名で記事を書くことになったのは訳がある。予定されていた先輩ライターが穴を開けたから――ありていに言えば代原だ。

 先輩は優秀な

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誰かが怪異に襲われた時、その男は現れる。
その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第4話 寺育ちのTさん
 友人Aがバイクで事故を起こした。
 幸い足の骨折だけで済んだが、2か月はギプスの世話になるらしい。
 暇な悪友たちとつるんで見舞いに行き、マジックでギプスに励ましとからかいの文字を書き込んでいると、Aは

「赤いワンピースの女に見惚れちまってな……」

 と白状した。
 聞けば事故の現場は見

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誰かが怪異に襲われた時、その男は現れる。
その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第5話 生首ドリブル
 放課後の校庭には、僕以外の人の姿はない。
 僕の通う中学は、休日は夜9時まで校庭を開放している。

 強い日差しを考慮して、どの運動部も練習は早めに切り上げている。一度家に帰った僕が、シャワーで汗を流し、ひと休みしてから引き返してきたのは、次の試合でのレギュラー入りが決まったからだ。選んでくれ

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誰かが怪異に襲われた時、その男は現れる。
その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第6話 死ねばよかったのに
 田舎に住んでいると、自動車は日常生活に欠かせない代物だ。通勤だけでなく、子供の送り迎え、ちょっとした買い物にも利用する。徒歩圏内に複数のコンビニが存在するような都会では考えられないだろうけど、コンビニへ行くのにも自動車が必要になってくる。

 僕の住む町も、役場の有線放送で、山から下りて

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その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第7話 口裂け女
「わたし、キレイ?」

 人気のない路地裏で、見知らぬ人にそう問い掛けられた時、最適な解はどのような物だろう。
 恐らく、聞えなかった体で足を止めずに通り過ぎるか、せいぜい「あれ? ひょっとして、わたしに言いました?」みたいな顔で小首を傾げてみせるといったところか。何にせよ、係るべきじゃあない。

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その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第8話 オバリョ山の怪女
 うちの小学校には、時代遅れにも宿直制度が残っている。
 とは言っても、常時という話ではない。少子化が進み、廃校が決まった山裾に立つ校舎。取り壊しが始まる9月までの夏休み期間、警備会社に頼むのを惜しんでの事だ。本来男性教師のみという話だったのに、急な弔事で新任教師の私にお鉢が回って来たという

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その名はカズマ。都市伝説を口説く男。

第9話 肩たたきババア
 わたしが日直のときに限って、先生は用事を言いつける。
 わたしが優等生で、何を言われてもニコニコ笑って受け入れるからなんだろうけど、別にわたしは良い子なんかじゃあない。そのほうがトラブルが少ないだろうと、計算しているだけだ。

「ありがとう。笹野のおかげで早く済んだよ」
「いえ。それじゃあお

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