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稼ぐスタジアム&アリーナって何?

こんばんは、あかさとです。お久しぶりです。

前回の中で取り残した話題ともリンクしますが、少し前から見かけるようになったキーワード「『稼ぐ』スタジアム&アリーナ

これから色々なクラブが直面するであろう課題に向けて、今まで感じたことも含めて整理したいと思います。


そもそも何がゴールなの?

私の中で、このキーワードを見るたびに、肌感覚と世の中で言われていたイメージのギャップがありましたので、まずはスポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」を見てみましょう。

「観るスポーツ」のためのスタジアム・アリーナは、定期的に数千人、数万人の人々を集める集客施設であり、飲食、宿泊、観光等周辺産業へ経済波及効果や雇用創出効果を生みだす地域活性化の起爆剤となる潜在力の高い基盤施設である。(P.3)

要はスタジアム・アリーナが都市に与える影響は大きいんだよ!わかってる?という話ですね、そう思います。

そして、およそ100ページにわたり様々な事例と共に、こうしたらいいのではないか?という話が続きますが、かいつまんで主に4つ。

①スタジアム・アリーナ内の経済効果

②飲食、宿泊、観光等周辺産業への経済波及効果

③スタジアム・アリーナ内外での雇用創出効果

④スタジアムを中心にした地域活性化

この『稼ぐ』スタジアム・アリーナの文脈は、あくまでもメジャープロスポーツコンテンツを中心とした再開発計画推進に向けてやろうぜ!というゴールのように感じました。


本当にそれで稼げる場所になる?

仮にこの通りやったとしましょう。スタジアムの周りにはホテル、商業、レジデンス、公園が整備され、アクセスも快適。

凄いですね、これでスポーツの未来は明るい!と思いますし、ある程度の効果は得られると思います

しかしながら、狙っている効果の最大化は難しいと感じます。

なぜなら、主たるコンテンツが収益を最大化させられるか?という議論が弱いからです

そして、国内で先行事例としているのはたいてい民営、、、マツダは公設民営ですね

これらを見て感じるのは、街づくりや活性化は次のフェーズであって、まず主たるコンテンツが収益を最大化して上げられるファシリティをつくることがその第1歩であるということです。

そのためここからは、主たるコンテンツがスタジアム・アリーナで稼ぐことに絞って整理します。

なお、今までイチ事業者側がエリアマネジメントまで踏み込む理由や説明をしなくてはいけない状況から、スポーツ庁からの提示によって、行政側と共通言語ができたのは大きな出来事でした。ありがとうございます。


主たるコンテンツが「稼ぐ」とは?

施設計画は事業戦略と密接に関係してくるため、その前提に少し立ち返りましょう。プロスポーツチームが目指す基本的な戦略は大きく2つあると捉えています。

①勝った負けたを動員にリンクさせないようにすること

②収益をチーム強化に分配し、常に勝つこと

その上でこのサイクルを回していくイメージですね(こんなに上手くいかないけど)

なぜ興行を大切にするか?そこがドライブしないといけないのか?

それは動員数が与える収入上インパクトが大きいからです。ざっとあげるだけでもこんなにあります。

入場料収入、年間席収入、グッズ収入、飲食収入、スポンサー協賛、広告看板・企画、ネーミングライツ、放映権、コンテンツ利用、ファンクラブ

動員増加は、試合のコンテンツそのもの、選手、球団の価値をスケールさせる効果があるのです。

※無料券ドーピングは売上高利益率を急速に悪化させるため、始めると辞め時がなくなります。やるのであれば意思と動員ではない目的を持ってやった方がいいと思います。
また、KPIの設定は「顧客よりたらされるもの」のいずれかに設定すべきかと存じます。

つまり、施設を作るということは、このサイクルのドコに刺したいのか考えた時に、動員増ひいてはそこでの収益増加を実現させていきたいというのが一番になります。


稼ぐスタジアム・アリーナって?

動員増を考えた時に、その受け皿になる場所ではどんな風にしないといけないでしょうか?それは、よく言われていますが「勝っても負けても楽しいスタジアム」であることでしょう。

各クラブでおこなう事業戦略があって、投資の優先順位は当然変わりますが、私が感じている設備投資のポイントは大きく5つあります。

【to C】

①時間消費型ビジネスとして入場者数×滞在時間で収益機会を作りだす
②お客様のアミニティ・ホスピタリティを向上させる
③単価で稼ぐエリアと数で稼ぐエリアを分ける

【to B】

④スポンサーのホスピタリティ・ツールを整備する

【to アスリート】

⑤コンテンツの質・安全を担保する

たとえば、こんな投資が具体的に考えられますよね。

≪場外≫

大型グッズショップ、飲食テナント、有料アトラクション、駐車場整備や隣接商業施設の設置、ミュージアムやオブジェなどチーム価値向上に向けた体感できるものでしょうか。

それらをメインのアクセスからの動線を考えて計画していくようです。

≪場内≫

トイレや授乳室、託児所、センサリールーム、子ども遊具、映像ビジョン・音響・照明の連動、客席数の増加に、プライシングに資する企画シートの多様化、思い思いに過ごせる無駄スペース、うらうら歩ける動線、、、

いらした方の観戦体験を少しでも良くできるように、揃えていければ最高です。そして、高単価とそれに見合った場所、もしくは主たるコンテンツを風景にするぐらいの企画席を作って価格やニーズの階段を作りたいですね。

これらはいわゆる、スタジアムのテーマパーク化としての、試合「も」へのシフト。座席数の最適化(買えないと欲しくなる心理ですね)、高付加価値シートの整備 という話になります。

④はVIPルームやラウンジ(と、それに見合った接遇)、広告看板やLED広告、サイネージビジョンの整備、中継設備の整備による負担減もあるかもしれません。それとエリアネーミングライツにも対応できるように壁材や耐荷重もきちんと見ておきたいところです。

⑤はフィールドを天然芝にするか、人工芝にするか、フェンスの素材・張替、ベンチの快適化

どれも結構なお金を伴う内容ばかりですよね苦笑

ファシリティに関する計画は、事業戦略と密接に関係した経営判断となりますから、その投資の必要性(Why)・目的や重要性(What)も加味され、投資回収期間や減損判定にならないか?など最後はシビアに判断します。

ですから、そのスタジアムに必要なことは、各クラブとしてお客様の価値を将来的にも担保していくために、どの部分を改善したいのか?を分析・決定していくため、正直ケースバイケースです。

そうしてできた場所で、行いたい事業戦略の効果が最大化され、顧客単価や動員数、コンテンツ価値向上といった結果につながっていくのかなと思います。

実際の実行フェーズだとこんなにきれいに行く話はなく、もっと泥臭いですけどね苦笑


今日も最後までありがとうございました。自分の知見が、スポーツビジネスの皆様に少しでもお役に立てたのであれば幸いです。


ちなみに海外のスタジアムがあんなにお金をかけて投資ができる背景や、稼いだお金をコンテンツの質の維持に回さないといけない現状は過去のnoteに少し触れています。興味がありましたら、ご笑覧ください。


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