つれづれ雑記*食わず嫌い、の話*
先月、投稿した記事でイチゴ大福の話を書いた。
和菓子好きの私がイチゴと餡を組み合わせたイチゴ大福を何となく食わず嫌いしていたのに、あることがきっかけで大好きになったという、ある意味、どうでもいい話である。
実は、私にはこういう事案が結構多いらしい。
自分ではそうと気づかずにいたのだが、家族にそう言われて、つらつら考えてみると確かにそういうこともあるかもしれないと思った。
娘らの指摘によると、数多く(!)ある食わず嫌いのうち、特に顕著だったものはイチゴ大福以外に3つある、そうだ。
その3つとは、マカロンとシュトレンと塩麹。
……まあ、そうと自覚はある。
まず、マカロン。
私がこのお菓子と距離を置いていた理由は、とにかく、そのオシャレさにあった。そして、高い。(ここ、大事)
高級洋菓子店のショーケースや、ドラマのワンシーン、雑誌のグルメ特集などで見かけるたび、横目で眺めながら、こんなに小さくてきれいな色をしているだけの、なんだかよくわからない洋風の最中みたいなお菓子がここまでの値段なんて、何だか生意気(!?)だ、シャラクセェ、などと思っていた。
そして、現在。
こんなに美味しいお菓子があるなんて。
長生きはするものだと、ほとほと感じ入っている。
あの、マカロン部分のねっとりさっくりした食感と間に挟まれたクリームの相性は抜群だ。確かに値段は張るが、マカロンひとつでケーキひとつ食べたくらいの満足感が充分ある。
フレーバー(すみません、使ってみたかっただけです)も、びっくりするほどいろんなバリエーションがあって、いつも(と言うほど食べてるわけじゃないけど)迷ってしまう。
それから、シュトレン。
クリスマスに欠かせないドイツの焼き菓子。
最初、聞いたとき見たときは、あの真っ白く砂糖衣に包まれた姿に、うわ、めっちゃ甘そう、それに、日持ちが3週間もするなんて、中身はさぞや乾いててパサパサなんじゃないの、などと密かに思っていた。しかも、結構お高いし。(またか)
クリスマスまでに少しずつ食べるなんて言うけど、ドイツの風習なんでしょ、ここは日本なんだからさぁ。
そして、現在。
12月に入ってパン屋さんでシュトレンを見かけると、わあ、もうそんな季節なんだ、楽しみ楽しみ、とウキウキと買って帰る。
添えてあるメモには、毎日1センチくらいずつ切って、クリスマスを楽しみにしながら少しずつ食べましょう、などと書いてあるが、クリスマスまであったことなどない。いつも、それまでになくなってしまう。
おそろしく甘いんじゃないかと思っていた、あの粉砂糖の衣はほろほろと優しく、しっかりみっしりとしたバターたっぷりの生地、そして焼き込まれたナッツやドライフルーツとものすごく合うことがわかった。
毎年一本では足りず、追加で買うことになる。
次は塩麹。
少し、いや、だいぶ前に話題になった万能調味料。
麹は身体にもよくて、旨味たっぷり、ちょっと加えるだけでどんなお料理もたちまち美味しくなります、なんて、謳い文句に、なんだかなぁと懐疑的だった私。
何だかんだ言っても麹でしょ、塩でしょ。
そこまでいいこと尽くめ、って言われるとかえってあやしい。世の中、そんなにうまい(美味い?)話ってあるのかな。
そして、現在。
うわ、何これ。めっちゃ美味しいやん。
炒め物に入れても、肉や魚の下味に入れても、確かに美味しい。肉は柔らかくなるみたいやし。
ただ、調子に乗って入れ過ぎたら、みんなおんなじような味になってしまうから、わからんように少しだけ入れるんがコツやね。
などと得意げに語る私に、娘らが呆れた顔を向ける。
あのさー。少し前まで、そんな、誰もかれも、塩麹塩麹って、みんな流行に流され過ぎやねんなー、とか言うてなかったっけ?
……え、そんなん、言うてたかな。
言うてました。
だいたいいっつも、流行りものって言うだけで毛嫌いしがちやねん。
流行ってるものには、何かええとこがあって流行ってるのかもしれへんのやから、とりあえず試してみんと。
それから文句言いなさいね。
……文句なんて言うてる?
言うてました。
ほんまに変わり身早いし、手のひら返しが多すぎやねんなー。
……変わり身、手のひら返し、上等やん。
君子豹変す。
汝、過ちては改むるに憚ることなかれ。
孔子さまも言うてはるでしょ。
なぁんて。
……とりあえず、食わず嫌いはやめましょう。