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「人と同じ仕事はイヤ!」わたしが選んだTVの映像編集という職業のはなし #19

おはようございます!
フリーランスの映像クリエイター、あかさんと申します🍎

ここでは
実際にわたしが8年間いたテレビ業界から
TVの映像編集≫ についてを綴ります。

前回のはなしはコチラから


※はじめに

わたしがTVの映像編集をしていたのは数年前です。

現在は、労働環境が改善されている職場もあります。

また秘密保持の観点から、番組名を出すことはありません。
ご了承ください。



*フラグを立てちゃうぞ!

退職希望から一転、ドラマ編集へと身を移すことになったわたし。
上司Mさんから電話がきたわずか3日後に、異動となりました(展開が早い)。

バラエティ番組のレギュラーは持っていなかったので、そちらでの引継ぎは全くありませんでした。
強いて言えばドラマ班の初日が夜勤になるため、異動前日は徹夜せずに帰宅できてラッキーでしたね。

辛いバラエティ編集から離れられるなんて、これが最後だと思うとちょっと名残惜しい気持ちまで出てくるのですから不思議です(実はのちに戻ってくることになるので、これで最後にはなりません)。

事前に聞いた話によると、今回ドラマ班で空きがでるのは、1年上の先輩である島さん(男性)の出向が決まったからだとか。

しかも出向する関係で、引継ぎ期間がわずか3日しかないというのです。

「は、はあ~~!? 3日🤪!!!!?」

ヤバいじゃん引き継げるのそれ??と、さすがに若干焦ったことを覚えています。でもやるしかありません。

がんばるぞ、と気合いを入れたところでフラグが立ったのですが、この時点では何も知らないわたしです。


*ドラマ部屋の先輩たち

ドラマ班の人たちはみんな独自シフトで動いているので、島さんに会ったこともありません。うっすら見かけた気もしますが、この先関わることはない人だろうと思っていました。

ドラマ班チームは、ランクで言えばSR以上のレアキャラなのです(出会えない・会社にいない・そもそも一緒に仕事しない、の3段活用)。


この当時バラエティ編集ではFinal Cutが主流でしたが、ドラマ編集では『Avid Media Composer』を使用していました。
音響をかじった人なら知っているであろう『Pro Tools(プロ・ツールス)』も扱っている、アビッド・テクノロジー(株)という会社のソフトウェアです。

これはAvid部屋と呼ばれるハコにしか導入されていませんでした。
各編集所に1~3部屋ほどしかないし、ここにはFainl Cutが入っていないし、バラエティ編集を生業とする人は仕事で入室することはほぼありません。

本社のAvid部屋は1つだけ。

この部屋は縦長で手前にソファやTVがあり、作業するPCはソファの向こう側、一番奥。

普段Avid部屋は扉を締め切っていて中は見えないし、たまに開いていても、作業スペースだけ電気が灯っていて手前側は真っ暗。人を寄せ付けない雰囲気でした。

引継ぎ当日、出勤は21時ちょっと前。

閉鎖された暗い空間、というマイナスイメージしかないAvid部屋へ向かうと、なんとなんと数人の先輩方が楽しそうにお喋りしているではありませんか。

お疲れさまです…と萎縮しながら入ると、先輩アシスタントたちが不思議そうな目で見てきました。

先輩「あれ? 今日仕事は?どのハコなの?」
わたし「あの、ここ(Avid部屋)です」
先輩「…え?????」

どうやら、わたしがドラマ班へ異動することは周知されていなかったようです。

「あ~。なんか新人がだれか行くって聞いたかも?」といったようすで、えぇこういうのってお知らせとかしないやつなの…??と、早速首をひねります。


「あかさん、だよね? はじめまして島です。よろしくお願いします」

島さんはとても柔らかい方だったので、よかったと胸をなでおろしました。


他の先輩たちは、仕事の邪魔になっちゃうね、と言いながら部屋を出ていきました。

どうやら仕事でAvid部屋に入るのはドラマ班のみだけど、休憩目的で遊びにくる or 仮眠しにくる人は結構いるらしく。

さっきの先輩たちはきっと、島さんが出向すると聞いて遊びに来ていたんでしょうね。


島さんは人当たりがよかったので、いやぁ急にドラマ班に異動って言われてビックリしました、しかも引継ぎが3日だけなんて~、とわたしは呑気に笑いました。

若干表情が曇る、島さん。


「あ…ごめん。ちゃんと引継ぎできるの、今日だけかも…」


……なんですって??


――綺麗なフラグ回収(?)――


つづく

*あとがき

Final Cut ProはApple社が開発しているため、Windows PCでは扱えません。
本社のAvid部屋はWindowsなので、バラエティ班の人たちは本当に仕事目的で部屋に入ることはないのです。

夜帯のAvid部屋の主は基本的にわたしだったので、同期もたまに覗きに来てくれました。

「ちょっと寝るから15分経ったら起こして」という先輩もいたし「待機でヒマだから来ちゃった」とか。

バラエティ編集と違い、部屋にはディレクターもプロデューサーもいないので、みんなのオアシス的な場所になっていたのだと思います。

あかさん🍎


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