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今更ながら人類滅亡後の小世界をPinocchiaたちと歩いた話・1機目

まえがき

 「人類滅亡後のPinocchia」とは饗庭淵氏が制作した、ノンフィールド型ポストアポカリプスRPG。主人公はどこかのシェルターらしき場所の一室で、独りコールドスリープから目覚めた謎の男。地上は核戦争中、部屋を一歩(二歩)出れば人を襲う敵性機械が徘徊している。主人公は護衛として製造したアンドロイド(全員女性型)たちを従え、シェルター内を探索していく……というのがストーリーである。

 本作の目玉はこのアンドロイドの運用のシビアさにある。まず戦闘でHPが減ると小破・中破・大破と損傷が進み、これにより攻撃の命中率も落ちていく(これは主人公も含む)。よってHPは常に多く保ち、早め早めに回復していかないと足手まといになってしまうのである。
 アンドロのHPはもっぱら「応急修理キット」で回復させるのだが、これの回復量が現在HPの25%となっている。最大HPではない。よって残りHPが多いほど多く回復し、少ないと使っても全然回復せず無駄になる。というか再起不能になる
 もしそうなってしまったら? アンドロイドを廃棄する。そして残骸から取り出せた鉄などの素材を使い、もう一度新たに製造する。レベルが高かろうが愛着が湧いていようが、いざという時は冷徹に処分する選択を迫られるのだ(作者キャプション曰く「味方を切り捨て先に進むRPG」)。

 素材とちょっと書いたが、アンドロイドや色々なアイテムを作るには鉄やらシリコンやらの素材が必要になる。それらは探索や戦闘で集めていく訳だが、ゲーム全体に30日という日数制限が設けられているためあまりダラダラはしていられない。
 さらにアイテムにはそれぞれ重量のデータもあり、総重量がパーティー全体の上限積載量50.0kgを超えてしまうと何か捨てる羽目になる。なおHPが尽きて機能停止し、残骸と化したアンドロイドは一律25kgとクソ重い。残骸は廃棄しても素材をあまり回収できない点も含め、アンドロの機能停止はとにかく大きなペナルティとなるのだ。
 限られた時間と物資(とその重さ)をどうやりくりしていくかが問われる、リソース管理ゲーの要素が強いゲームである。


 初めてこのゲームを知ったのは何年も前で、いずれやろうと思いつつ仮想積みゲの一部と化してしまった。で今回アツマール終了の報を聞き、終わる前にやらねばとようやく一念発起したという次第である。ふりーむにDL版があるらしいけどな! まぁこういう機会でもないとなかなか消化できないし、他のプレイヤーが書いたコメントはニコニコでしか読めないから今やる意味は間違いなくある。
 本記事はそのプレイ手記である。ただしゲームを全部クリアした後で、手製のまばらな攻略メモを見つつ必死に思い出しながら書いている非リアルタイムな手記である点をご了承願いたい。何せ当初は書くつもりが全くなく、プレイ途中から何か書いてみようかというモチベが湧きつつも実行には至らず。書き物してる暇があったらその時間でゲームを遊びたいのだ。私はライターではなくゲーマーなのだ。
 そんな訳で日数がずれてるとか、どこかしら矛盾点があるかも知れないが大目に見ていただきたい。書かれている出来事や思ったこと考えたことなどはやらせゼロのリアルである。

 あと今回のプレイでは、アンドロイドを普通に何回も使い捨てながら進めていく。あらかじめご理解を。当然ながら全編ネタバレなのでそこも注意。
 また極力リセットはしない方針で行く。……つい手癖でやってしまうことも多いので、あくまで努力目標ということで。


第一階層:機関部
「30日間アンドロイドチャレンジ」

 主人公起床。誰もいないけどおはよう。
 コールド寝室の外は自動工場のある大広間。かたわらには全壊寸前で倒れ伏すアンドロイド。以前ほんのちょっとだけ触っていたのでこの辺は見覚えがある。
 外を安全に探索するための護衛として、自分を分解して新品を造るようアンドロイドは主人公に進言。そのまま事切れる。遺言通りにこのアンドロを自動工場の分解炉へ投棄(これから何度となく行うだろう行為である)し、その辺のガラクタもかき集めて同じく分解炉にIN。これで材料が揃ったので工場前面のコンソールを操作し、新たな「汎用型」アンドロイドを造る。

 ……とその前に、主人公の名前を決めるシーンが入る。こんな人です。

『主人公』
 本作の主人公。アンドロイドたちに指示を出すパーティーの「指揮官」であり、彼のHPが尽きると即ゲームオーバーとなる。
 戦闘能力は大抵のアンドロイドより大きく劣るが、人間特有の長所としてレベルアップ時に攻撃力だけでなく最大HPも増加する(アンドロイドは最大HPは一切成長しない)。最低限の武器としてハンドガンを持っているが、着ているものは防具ですらない病人服なので防御力はゼロ。文字通り着の身着のままでの戦いとなる。

 素性は現時点では一切不明の謎の男。無人の部屋でコールドスリープから目覚めた彼は、自ら製造したアンドロイドを供に危険なシェルター内を探索していくことになる。

 怪しいマスクに不穏さを感じさせる目つき、ぶっちゃけ悪人面の主人公だ。「これは苦楽を共にした仲間をも平気で切り捨てる顔だな! なるほど、プレイヤーの罪悪感を軽減するための配慮か!」というド偏見を素で抱きつつ、アンドロ第一号共々名前を考えるのに数分費やす。そう、アンドロイドも全員名前を付けられるのだ。SFっぽいから星にしよう、ということで主人公は太陽系の中核たるサン、汎用型アンドロイドは小柄なのでムーンと命名。ポケモン言うな。

『汎用型アンドロイド』
 
施設のメンテナンスや何やといった様々な用途に使用できる――要は雑用向きの少女型アンドロイド。戦闘は専門ではない、つまり弱い。といっても生身の人間である主人公よりはよっぽど強く、序盤は頼れる戦力となる。
 低スペックで機体も小さいため(?)低コストで製造でき、分解した際も製造に費やした素材をほとんど回収できる。つまりろくな回復無しでこき使い、その日の終わりに潰しては新造を毎日繰り返す鬼畜生な運用法も容易
 いわゆるスキルも何もないが、学習能力が高いらしい。地頭のいい子。

 主人公には礼儀正しく従順な態度で接する、メイドめいた「いかにも」なアンドロイド。冒頭の壊れたアンドロイドも同型で、本作の顔っぽい印象を受ける。だが使い捨て(公式で推奨)

 という訳で、まずは2人パーティーが結成された。
 と同時に、応急修理キットも自動工場で製造できるようになった。アンドロイドだけでなく、アイテムも工場で素材を消費して作る訳である。もっとも修理キットはさっき部屋を漁った際に10個も確保できているので、今は補充の必要はない。
 とまぁ、準備はこんなところだろう。いよいよ旅立ちの時だ。


 残り30日目の探索。
 いざ拠点を出発。早速出てきた敵とぼちぼち戦う。倒した敵の残骸や道中のゴミ箱や工具箱から、素材になりそうなジャンクも回収していく。
 ちょっと進むと人間の死体とアンドロイドの残骸を発見。アンドロのコアを謹んで頂戴する。コアはアンドロの製造に必須のレア素材で、あるほど人手を増やせる重要なものだ。まぁ余力があるので今は探索を続行し、新しいアンドロを造るのはまた後にする。
 そう言えばアンドロイドは応急修理キットで直せるが、主人公はどうやって回復するんだろう? と思ったらムーンが「撤退しベッドで休めば回復できる」と教えてくれた。いい子だ。作中のコメントでも散々突っ込まれていたが、アンドロの回復がやたらシビアな一方でベッドで一晩寝るだけで全回復する主人公は本当に普通の人間なのか疑いたくなる(笑)。
 で、そんなチュートリアルが出る時というのは、実際に主人公の傷が深まっている時である。帰ろう。帰ればまた来られるから。

 という訳で拠点に帰還。早速2機目を製造すべく……の前に、HPの減ったムーンを廃棄し造り直す。非情言うなかれ。世界観とか主人公の人相は抜きにしても、ゲーム的にも時間制限有りかつ素材のやりくりが重要とあっては、少なくとも初回プレイは効率・安定最優先でやらざるを得ない。何しろ汎用型の再製造コストは、応急修理キットのそれよりも安いくらいなのだ。薬草1個より軽い命。いやハイポーション1個くらいにしとこう。
 ともあれ、改めて2機目を製造。コアを含むジャンクを全部放り込んで……放り込んで……素材足りないぞオイ。プラだよプラ、プラスチックが絶妙に足りてない。泣く泣くふて寝したら、翌日の転換炉からのデイリー配給でギリギリ素材が揃った。ありがたく2機目の汎用型(命名・サテラ)を造り、戦力を増強しつつ再出発する。
 道中で拾った情報によると、高レベルアンドロイドは新たなスキルを獲得するらしい。よって以後はムーンは後衛で大事に育て、サテラを被害担当艦とする。

 そうそう、ベッドで寝たら主人公の夢(? 回想?)シーンが入った。30日という時間制限は主人公が受けた手術の弊害による、臓器へのダメージが原因の余命らしい。動かしがたい日数制限だ。主人公は何やら重要人物のようでもあったが、具体的なことはまだ全く分からない。


 残り29日。
 再出発後、何回かの戦闘後にふと気付く。いや、なんか、汎用型遅くね?
 主人公は毎回先制できているのに、彼女らは常に敵に先手を取られている気がする。やっぱりアンドロは重いのか、それとも主人公に主人公補正があるのか。まぁこれはゲームバランス上の設計として、どうあがいても徐々に消耗していくようになっていると考えるべきだろう。そう甘くないようだ。
 あと手榴弾の設計図も拾った。まぁこれはまだいいだろう。レア素材を食うからほどほどにしろと注記もされてたし。

 拠点から50歩の地点にボスっぽい敵を発見。軽い気持ちで挑んでみる。  つ、強い! HPの高さはもちろん、防御力も高いらしくこっちの攻撃も通りが悪い。主人公のHPがワンパンで4割飛んだ。無理。逃げる。おうちかえう。
 ムーンは溜めた経験値を失わないよう、応急修理キット2個での補修に留める。一方サテラは解体して造り直す。主人公は寝る。


 残り28日。
 今度はボス戦に備え、主人公を一旦後衛に退避。代わりにムーンを前衛に出し、打たれ弱い主人公の温存を図ることにする。
 で、ボスと再戦。何とか倒したがこちらも小破小破アンド大破。あかん。また帰る。というかコア落とさないのか。先の死体の情報に大型の兵器はコアを出すとか書いてあったのだが。
 ともかくムーンを修理キットで直し、サテラは再製造。というか再製造を前提に、ボス戦中も回復させず大破までほったらかしていたのが真相である。だって……そっちの方が安くつくから……隊列を元に戻し、リフレッシュして後半戦に繰り出す。


 残り27日。
 なんでさっき倒したボスが2機同時に、野良で出てくるんですか?
 ボスじゃなかったとでもいうのか。さっきのはただの顔出しだったのか。そりゃコアは落とさんだろう。主人公ばかりが集中砲火される不運もあり、あっさりミンチ肉にされた。初全滅。いやこれ、どうしろと……
 ……そうか、そのための手榴弾か。こういう高価な物も投入していかないと進めないらしい。という訳で、自動工場で何個か仕入れておく。先の2体組が出た時だけ使うことにしよう。


 再び残り27日。
 ボス(ではない)がいた地点から少し先で、「攻撃型」アンドロイドの設計図を発見。2号機来た! 早速帰還してサテラを廃棄し、回収したコアを使って製造してみる。マーズと命名。火星の英名であるこれはローマ神話の軍神マルスが由来なので、攻撃型にはちょうどよかろう。

『攻撃型アンドロイド』
 その名の通り戦闘用、特に攻撃に特化したアンドロイド。高い攻撃力をさらに2倍にして斬りかかる必殺技「赤熱刃」の使い手。
 赤熱刃は必中なうえ自身か主人公がピンチであるほど発動率が増すが、使用時に自身のHPも5%ずつ削れていく諸刃の剣でもある。当人の防御力も汎用型より低く、非常に前のめりなスペックとなっている。

 性格は武人……を通り越し、戦闘狂に一歩足を踏み込んでいる感がある。自身を灼いてでも敵を斬ることが興味の大半であることが会話の節々から感じ取れるが、主人公が重傷の時は不器用ながら気遣ってくれる。要するに素直クール(死語)。

 ……うん。これはこれで使い捨て推奨に見える。維持コストが絶対高い。わざと主人公を中破くらいにして赤熱刃の発動率を上げ……なんてことも頭をよぎったが、そんな余裕はなさそうな気がするのだ。不安だ。
 現在のパーティーは防御力ゼロの豆腐リーダー、可も不可もない凡庸型、チキンレース大好きバーサーカーの3名である。ある意味楽しそう。従者キャラのちみっ子と燃費が異様に悪い女剣士と言い換えるとどっかで聞いた感が増す。


 残り26日。
 何はともあれ探索再開。ボス(ではない)がいた地点より先で、掃除用具入れを見つけた。要はゴミ箱や工具箱の同類だが、ここで拾えるバケツやモップはプラスチックが豊富でおいしい。掃除用具にレアリティの高さを感じるゲームもそうそうないぞ。
 でもって、攻撃型についての予想が的中する。確かに攻撃力は高いが雑魚が通常攻撃一発で片付くほどではなく、毎度先制されるのも汎用型と一緒。そして弱った相手にも赤熱刃を振り回し無駄にオーバーヒートしてくれる。なんたる狂戦士。これがリソース管理ゲーと知っての狼藉か? 例のボスもどきにはいいだろうが、雑魚戦にはぶっちゃけ不適かも知れない。

 攻撃型の設計図を拾ったまた少し先で、ジャンクコアを含めた残骸群を発見。前回ここまで進んで回収しておけばよかった。
 で、何を造るかだ。攻撃型のはっちゃけぶりを不安視、いやドン引きしていた私は、汎用型でお茶を濁すことを決定。いやだって、ここまでだけでマーズ一人に応急修理キットがどれだけ飛んだか、これからどれだけ飛ぶか考えたら……
 まぁそれは後の話だ。あと10歩で次の階層だし、このまま走り切ってしまってからにしよう。ゴール! 応急修理キット残り1個


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