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今更ながら人類滅亡後の小世界をPinocchiaたちと歩いた話・7機目(本編最終回)

第六階層:司令部
「ノアの遺言・かくて人類滅亡せり」

 いよいよ最終局面に挑む主人公サンとお供たち。
 全員フル回復させた? 物資は揃えた? しまいっ放しのシールド装置も持った? OK! 準備万端ヨシ!


 残り13日。
 第五階層の拠点を後にし、改めて第六階層を目指して出撃する。だが道中で遭遇した敵は逐一倒していく。何故? 分からん。何故決戦を前に、いちいち物資を投じて戦いながら進めているのか当時の私に聞いてほしい。戦闘が完全に癖になっている。マーキュリーが泣いてるぞ。

 ともあれ再び第六階層に戻ってきた。シールド装置をあらかじめ使った上で、今度は果敢に扉をくぐる。
 そこにあったのは自動工場。全ての敵性機械はここで製造されているということだった。まずはこれを止めねばならぬ。と、自動工場が突然稼働し、中から1機の万能型アンドロイドが吐き出された。抵抗の意思を見て取る。上等だ


 ラストバトル開幕。まずは万能型が相手のようだ。とはいえ8対1で適うはずもなく楽勝……いや待て、戦闘シーンなのに万能型の後ろに自動工場がある? 工場も攻撃対象なのか!?
 どうやら我々は暴力により、物理的に工場を強制終了させなければならないらしい。スクラップになるまで容赦なく撃ち、殴り、切り刻み、ブッ壊すのだ。スト2のボーナスステージのようになァーッ!

 自動工場は毎ターンアンドロを製造・出撃させてくる。種類はランダムなのか? 万能型や攻撃型も強いが、まずいのは砲撃型だろう。全体攻撃だから守護ができず見事に全員もらってしまう。まぁシールドがあるから多少は防げ……は? 手榴弾!? 誰が投げた誰が!?
 使用者はなんと自動工場だった。こいつはアンドロイドを生産するだけでなく、手榴弾を定期的(?)に飛ばしてくる。飛ばしてくるのだ。一体どういうことなのか。いやそりゃ自動工場だから手榴弾は自前で作れるだろう。だが取り出し口からコロコロッと出るだけじゃ自爆にしかならないだろうから、何らかの手段で「発射」しているとしか思えないのだが……一体どうやって? 射出機構でも付いているとでもいうのか? 工場に??
 いや設定的な話は後だ。敵から教わるまでもなく手榴弾は痛い。一発でシールドがほとんど剥げた。二発食らえばウラヌスなんかは確実に中破、下手すりゃ大破までいくかも知れない。そもそもこのゲームには全体回復なんてない訳で、一発だろうが全体攻撃はお断りだ。タイミングが分かれば閃光手榴弾で阻止できるだろうが、悠長に周期を測っている暇はない。というか工場の方も閃光手榴弾を投げてくる。それも使うんかい! 主人公とウラヌス以外が全員スタンさせられた。めんどい。
 かくなる上はとにかく工場を集中攻撃して決着を付けるしかない。が、敵のアンドロがとにかく邪魔だ。防御型はしっかり工場をかばってくるし。汎用型や索敵型みたいなぬるいアンドロのターンもあるので、そこでいかに赤熱刃や何やを叩き込めるかに懸かっている……のだろうか。

 激しい消耗戦が続く。工場を小破・中破と徐々に追い詰めるも、工場は直接攻撃を行わないのでいくら命中率が下がろうが戦況は好転しない。
 こっちの閃光手榴弾がついに尽きた。道中で無駄に戦わなきゃもっと数があったはずで、普通に失策である。応急修理キットも使いたくても使う暇がない。手榴弾で少しでも攻撃に参加するのが先だ。いつ向こうから手榴弾が飛んでくるか分からない以上、とにかく速攻に全力を傾ける。
 って言ってたらまた手榴弾来たー! しかも敵の速攻型がウラヌスにとどめ刺しやがった! これはぬかった。向こうの速攻型も先手必勝を持っている、ということは守護が間に合わずヴィーナス以外が被弾する可能性があるということだ。うっかりノーマークにしてしまった……多分ウラヌスならこれにも先制できて、鈍足で遅らせつつ安全に処理できたかも知れないのに(注:できません。こちらの速攻型でも先制不可)。他のアンドロも手榴弾で全員小破か中破だ。
 ああもう仕方ない。敵アンドロは無視! 工場のみを総攻撃! 事前の無駄遣いで手榴弾も使い果たした主人公は、マーズにだけ修理キットを使い続ける。HP切れで赤熱刃を不発にさせないように! なんとかなれーッ!


 ……なった。崩れ落ちる自動工場。敵性機械の巣がついに全て陥落した。
 この後どうすればと辺りを見回すと、隅っこの方に作業用通路の入口みたく地味~に配置された扉があった。これをくぐると……何だここ? 宇宙船の艦橋みたいな所だ。窓の外は星空……ではなく……?

 とここで、ある重大な事実が開示された。セ・キ・ローダーの正体だ。

『セ・キ・ローダー』
 正式名「恒星間航行世代間移民船セ・キ・ローダー(Se.Ki.Lorder)」。 かつて未完成のまま軌道上に放置されていたが、地球を放棄し移住可能な惑星で人類とその文明を再興させるべく復旧される。寄生体の検疫を通過した人間と可能な限りの文化および技術資産、生物の配偶子と遺伝子情報などを積み、「箱舟」はいつ終わるとも知れない孤独な宇宙の旅へと発った。

 自航惑星ガデュリン!? いやさすがにあっちとは規模は全然違うが。
 セ・キ・ローダーは地下シェルターではなかった。宇宙船だったのだ。いや伏線はあったのだ。上では書かなかったが第五階層の部屋の中のロッカーから、酸素カプセルとかEVAスーツ――要は宇宙服が出てきたのだ。その時は「あー上層部の脱出計画って宇宙に行くことだったのかなぁ、でもこの状況で宇宙船なんて造りようがないし、見果てぬ夢よなぁ」くらいの感想しかなく軽く流していたのだが、まさかもうとっくに地球脱出済みだったとは。

 コンソールを操作する主人公。真っ先に悪しき「洪水」プロジェクトの凍結。そして「推定可住惑星N-α3に向け減速を開始」……つまり人が住める星はもう目と鼻の先で、これから着陸準備に入るということ。住民たちや「洪水」実行者がもう少しだけ待つことができれば、また違った結末もあったかも知れなかった……いや結果論か。ン十年は全然少しじゃないし。
 さらに船内の全権限を開放、セキュリティロックも全解除。自動工場も、人工授精・保育システムも、積まれている技術および文化遺産も、誰でも自由にアクセスし利用できる。だが誰でもといっても、人類はもう自分しかいない。残っているのは……


 全ての操作を終え、主人公は――
 今まで一言も発しなかった主人公は独り言ちる。

「後は託す」
人類滅亡後のピノキアたち」
「どうか人類を絶やさぬように」


 そう、人類は滅亡する
 人工授精・保育システムを使えば人類を再生できるだろう。だがそれは一日二日でできることではあるまい。その前に最後の人間である主人公は、残り数日の寿命を使い果たして死ぬ。これにより人類は一旦「滅びる」のだ。
 この事にはひとつメリットがある。寄生体を人類と共に完全に葬ることができるのである。寄生体というからには人類という宿主がいなくなれば、生物的にもロジックとしても(←重要)諸共に死滅するしかないはず。今まで散々振り回された寄生体から、次の人類を解放してやれるのだ。
 人類滅亡の前後を繋ぐのはもちろん、ここまで主人公を支えてきてくれたアンドロイドたちだ。かつてたった一人で奔走したあの「母」のように、これから生まれ来る新たな人類を導く役目をピノキアたちは託された。それが上手くいくのかどうか……新たな人類の未来は、まだ誰にも予測できない。


 さてここでスタッフロール。そして戦績発表。まずは今まで造ったアンドロイドとその詳細がきっちり全員分表示される。彼女らの顛末も含めて。いっぱい廃棄したなぁ。最後にクリアまでの日程と最終ステータスが発表された。いいゲームだったから最後くらいスクショ撮ろうかと思っていたのだが、感極まっていた私はうっかり撮り忘れてしまった。

という訳で、この画像は13日目の起床時点から再プレイして撮ったもの。
ウラヌスが生きてるのも他が大体元気なのもそのせいである。

 ともあれこれにて、本作はゲームクリアとなる。お疲れ様でした

あとがき

 いやー、面白かったです。終始ハラハラドキドキでした。
 駒不足の物資不足で閉塞感あふれる中、何とか打開していく序盤。面子が揃ってきて安定感が増し、パーティープレイの楽しさを満喫できる中盤。怒濤の情報量で考察脳を作中世界に引きずり込んでくる終盤。退屈なシーンがなかったと今思い返してもしみじみ感じた。
 ゲームバランスも一見激辛なようで、コツを理解するほど余裕を持って戦い抜けるようになる塩梅は見事なもの(セカンドプレイでは18日でクリアできた)。アンドロイドたちも全種類にきちんと活躍の場があって、いらない子が1機もないのもとても好感が持てた。
 一番好きなアンドロイドは……強いて言えば防御型かなぁ。ヴィーナスが加入した時、攻撃を次々かばってくれた時の喜びはひとしおだった。ああ、これでマーズがだいぶ手が掛からなくなると。タンクは大正義である。ていうか通算2番目のアンドロが自動でHPが減る虚弱体質ってなかなか振るってるよなぁ。まぁ防御型の後にお出しするんじゃインパクトが弱くてつまらんと言えばそうかもだが。

 聞きしに勝る名作でした。いいゲームを作っていただきありがとうございました


 ……で、このプレイ手記は終わりではない。
 あともう1回、考察編が用意されている。お暇な方はそちらもどうぞご覧ください。


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