秋葉逍遥

秋葉逍遥

最近の記事

地下鉄

毎日の通勤に使ってる。 ここから見える景色は闇と蛍光灯のともり。どこまでも続くチューブに反響する轟音が窓から届く。 やがて、次の街へ到着、そこが駅だ。グレーとイエローの構内。僕はまだ先へ急がねばならない。ここから始まる物語もない。記憶が浮かんでは消えていく、その繰り返し。 掌のスマホを開く人、眠る人、本を開く人、耳にイアホンを挿す人、ぼんやり斜め上を眺めて吊革につかまる人、小さな声で隣同士で喋る人たち。誰もが、みんなマスクをする。もう、誰も毒ガスを垂れ流すこともないとい

    • ブルー、ブルー、ブルー

      200年ぶりに新しい「青」が、偶然発見されたという。 https://news.yahoo.co.jp/articles/465875cedb576b4f0beb11f6a0dfbf6d11d1a069 こういうニュースには興奮する。興味心を掻き立てられる。僕は、青が好きだ。 正式な色の名前はまだないみたい。どうか素敵な名前でありますように。 新色の青のクレヨンが販売されるらしい。いつか、子どもに描かせてみたい。見たことのない、空、海。 新色のジーンズが登場したら、

      • われに五月を

        『消されるな、この想い、忘れるな、我が痛み』 昨日地元では午後から大雨で家に引きこもって(というかGWはずっと)いたんですが、その甲斐あって?今日は見事な五月晴れ。雨で塵ほこりが洗い流され、空気が透き通り雲のない空の青と、山々に瑞々しく繁る深緑を街中から眺めていると、連休明けで弛緩した躰も背筋がすっくと伸びる気持ち良さを感じます。 こういう日の青空をぼんやり仰いでいると、アニメ『ゼーガペイン』を想い出します。冒頭のフレーズは作品のメインキャッチコピーで、僕の好きな言葉でも

        • かつて大人だった子どもたちへ

          僕は小さい頃、長い間神様の存在を信じていた。 いつ、どのようなきっかけでそうなったかははっきり思い出せない。ただ、後ろに「様」を付けないと気がすまないというか、自分が罪を犯したような悪い気分になるくらいには、神経質で変に信心深かったのは確かだ(当時は「神」という一文字で呼ぶことすら傲慢だと思い、文字をイメージしただけで心の中で懺悔し、許しを乞うこともあった)。神様が僕を見張っていて、悪いことをすればきっと最期は地獄に堕とされる、そんな気がしたのだ。だから僕は常に「いい子

          佐伯先輩の、その後

          ようやく、『やがて君になる』スピンオフノベライズ『佐伯沙弥香について』の3巻を読みました。1,2巻は原作漫画のサイドストーリー的な一面を垣間見つつ、我らが佐伯パイセンの心情、理知的でありながら恋路に揺れ動くその心模様にハラハラしながら、佐伯パイセン幸せになってくれえええ!!と、祈るように読んでいました。私は『やがて君になる』のストーリーも登場人物も好きですが、佐伯パイセン推しなんですよね。だからこそ燈子への告白は玉砕に終わったけど、何らかの形で彼女が報われてほしいという気持ち

          佐伯先輩の、その後

          冒頭から上手すぎる

          過去に読んだ小説で、読みやすく冒頭から一気に物語へ引き込んでくれる名作たち。これはほんの一部。読書初心者にもおすすめ。小説の良し悪しは1行目で決まるの良い例。 【タイトル】 涼宮ハルヒの憂鬱 変身 存在の耐えがたい軽さ 仮面の告白 風の歌を聴け 蹴りたい背中

          冒頭から上手すぎる

          思春期

          地上は汗をかいて陽炎だ 零れた視線のその先に 少女の白い腕は輝いてみえた 光を濡らした八月の空 入道雲は海を目指し遠い街をゆく 号令で花火がはじけた‥ 午後の昼下がりと教室に 見たことのない顔と聞いたことのない声 君が知らない僕の黒い背中と 長い足が絡みカーテンと揺れる 緩い風 蝉の抜け殻の詰まった屑籠と 風船をもって疾駆する屋上へ 青の滑走路、舞え、ピエロよ 硬い頭をそらせてダイブしろ 夏の急降下

          映画の未来

          映画の未来がどうなるのか、私にはわかりません。 よく学生に、映画を作るためには何をすればいいのか、何を習えばいいのかという質問を受けます。その時に私は、このように答えます。ソニーでもパナソニックでもいいけれども、小さなカメラで何かを撮ってごらん。 (仏映画監督 ジャン=リュック・ゴダール)

          映画の未来

          物語の廃棄場

          わたしを、思い出して わたしを、探して わたしを、見て わたしを、忘れないで わたしは、ここにいる

          物語の廃棄場

          Omoide in sky blues

          おもいでにさようならを言うために いいわけを3回用意して おもいでにさようならを言うために 繰り返される諸行は無常 おもいでにさようならを言うために 耳をそぎ目をつぶし舌をかむ さようなら ビー玉が落下する 仄暗い井戸の底からごあいさつ ほほえみを空へ つないだ手を離して 宇宙に染まっていく 青青青青青蒼蒼蒼青青蒼青々あお ほら 重力の彼方 はじめまして 地球

          Omoide in sky blues

          創作とは

          創造とは、一本の線 現実とは、輻輳するレイヤー 物語とは、裏切られた可能性のすべてである。