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頭の上のめがねに気づいた日

生まれて初めてみた3D映画は、2013年に見た「アナと雪の女王」だ。アメリカでエルザの声を担当したイディナ・メンゼルの「Let it go」ばかり聞いていたらあっという間に最終日になっていた。ガラガラの映画館で、わたしは初めて飛び出すメガネをかけて映画を観た。
物語が始まる前のオープニングロールが、いまでも史上最高に好きだ。
まだ何も始まっていないのに、美しく煌めく雪の結晶が目の前でゆっくりと旋回した瞬間、視界が一気にぼやけた。
自分でもちょっとおかしいんじゃないかと思うほど、涙がとまらない。
まるで3D技術を初めて体感した、類人猿のようだと自分のことを思った。なぜこのシーンだけ、地に響くほど深いアフリカンのコーラスなのだろう。
その深い響を聞いていると思わず嗚咽がでそうなくらい、いろいろなものが体を巡り、通っていくのだった。

Let it goのシーンだけをYOUTUBEで繰り返し見てきた一ヵ月。
映画自体には何も求めてなかったのだけれど、その読みは甘かった。そこからもうひとつ先が、より大事で本番だった。

なにがあるとか、なにがないとか。
わたしたちは毎日いろいろ数えている。それが増えたり減ったりしてるように感じているけれどそれって本当だろうか。ないって言ってるのは本人だけで、誰がみても「あるじゃん」とか思っていたりすることもたくさんあるように思う。これは自分のことだ。

人間はすでに欲しいもの全部もってて、でも忘れちゃってて。頭にメガネおいて「めがねめがね」っていってるだけなんじゃあ。

見終わったときに、そう思いました。

欲しい何かがわかったら、あとはただ「発動」させるだけ。これがこのときに得た、真実の一部だ。いまもそう思っている。

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