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【赤の少女と白い虎】 4夜. 白い虎の予言
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。・。・。・
午後の日差しの中、姫は宇宙の風読み師のもとへ駆けてきた。その傍らには白い虎が、ぴったりと寄り添っていた。
「これは姫さま」
宇宙の風読み師はその場に膝まづき、そっと目をふせた。
「ねえ、今日の風はどんな風?」
姫はくりっとした瞳で、まっすぐに顔を覗きこんだ。
「・・・姫さまの風は、まるで金色にたなびく雲のように、世界をめぐっておられます」
「そう」
姫はゆっくりと、白い虎の頭をなでながら言った。
「トランカがいうの。もうすぐ嵐がくるって。本当?」
風読み師は思わず、姫の顔を見た。
「それでね、お父さまやお兄さまたちが、大きな目に追いかけられるの。それでね、たくさんの人たちがね」
「姫さま」
風読み師はまっすぐに姫の目を見た。
「そのお話は、どうか、誰にもなさいませんように」
姫の顔がすっと変わった。
「うん、わかった」
「もし誰かに話したいときには、どうぞ私にお聞かせください。羅針の間でいつでもお待ちしております」
「トランカも一緒に行っていい?」
「もちろんでございます」
宇宙の風読み師は、姫の横でまどろむ白い虎を見つめて言った。
「トランカは、姫さまの目であり耳であり、血を分けた兄弟姉妹なのですから」
一瞬、目を開けた白い虎は、そのままゆっくりとまどろみに戻っていった。
「ああ、よかった! 本当はね、話したいことがたくさんあるの」
その瞬間、遠くの修練場から、剣が一斉に合わさる音が響いた。
「いけない! 先生がもう来てる。じゃあ行くわね」
またね、風読み。そういって、姫は中庭の奥へと走り去っていった。
風読み師は静かに立ち上がり、姫と白い虎の後ろ姿を見送った。
その顔からは、なにも読み取れなかった。
いつしか不吉な予兆の話は影をひそめ、人々は安寧の日々を取り戻していった。何事もなく季節は巡り、2年たったある日。
王家が一堂に会する瞑想の日に、それは起きた。
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