《読書感想文》 吉本ばななさんの「ひとかげ」を読んで。
「ひとかげ」は、「とかげ」という作品を、吉本ばななさん自体が、書き直したもの。本には「とかげ」も収録されている。
時間が経つと、作家は変わらなければいけないとあとがきに書かれていた。
小説を書きはじめて間もない私だけど、書くってことの奥深さや、自分の変化と共に、文字が変わっていくのも見ていたから、プロの作家さんが若い頃の作品を書き直したものを比較でき、とても興味深かった。
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作品を読んで感じたのは、「心の闇と孤独が、架け橋になることがある」ということ。
多くの人は、たぶん心の闇を抱えている。抱えきれるだろうかと怯えながら。誰にも見せまい。誰にもこの闇で迷惑を掛けるまいと決意しながら。
優しい人ほど、自分だけで抱える努力をする傾向があると思う。
「自分で抱えているのも辛いものを、誰かにシェアなんてしたらダメ」 「一度でも頼り始めたら、依存が止まらない」
そういう予感を持ってるから。
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「ひとかげ」は闇を抱えた男女が、引き合い恋に落ちる話だ。だから、重い。切羽詰まっている。でも、優しい物語。
切実で、困窮して、切羽詰まっている中で見つけるお互いの居場所。すごいよね。それって本当に太い強い絆だ。
寂しさが引き合った繋がりってものすごく強かったりする。弱さを知り、弱さを理解し合うとすごく絆になったりする。
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リアルに、描かれた闇と生命。それを目の前に、まだ小説に出合って間もない私は、こんな闇をこんなに描いていいんだっていう驚きがあった。
そして、文字だから、言葉だから、本の中の主人公達だから、心を開けるっていうこともあるのんだと思った。
誰にも見せたくない闇を抱えていることに共感し、支えてもらえる。本だからできる依存関係があるのかもと思った。
そして、闇って描ききる、もしくは表現しきると、光になる。すごいな。やっぱり本の中に宇宙を感じたりする。
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