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フリーライターの率直なところを話そう[お金編]①「文字単価0.2円」を、どう考える?

 クラウドサービスを通して仕事を探したことがあるライターなら、おそらく一度は見たり聞いたりしたことがあるでしょう。「文字単価0.2円」という、背筋の寒くなる発注を。
 書いても書いてもお金にならず、いつまでも独立できた気持ちになれない、それはそれは恐ろしい底無し沼への入り口、それが1文字0.2円の世界…

 ある人は「ライティング能力の搾取だ」と言い、ある人は「発注する側の問題を受注する側が拡げている」と厳しく指摘する。
 どちらの意見も当然ですよね。こんな価格がまかり通ったらライターそのものの価値が破壊されかねない。

 いずれ淘汰されるだろうと思っていたら、今も同様の案件があるんですね・・。

 とはいえ私も、数本ですが受けたことがありました。
 なぜ破格の安さに手を出したのか?その理由をもとに、常識から外れた低価格の案件をどう考えて、どう対応すれば良いのか、自分なりのポイントを今回はまとめてみたいと思います^^

ポイント1:文字単価以外に得られるものがあるか否か

 低価格であっても、大量に受注したいと考える人はいるのかもしれません。が、それは抜け出せない底なしの沼かもしれません。
 仮に1文字0.2円で3000文字を書くコラムを引き受けたら、1本600円。3000字の文章を仕事として作成するのに、1時間かけずに終える人は少ないでしょう(スピードの話でなく、質の話として)。ということは、全国の最低賃金よりも安い価格で受注することになるわけです。

 令和2年度の地域別最低賃金は792円(参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)。仮に作成に2時間以上掛かったら…時給300円以下!!

 こんなに安いのに、どうして私は受注したのか?
 理由はひとつ。「実績作り」のためでした。

 WEBライティングでちゃんと稼ごうと腹をくくったとき、ひとつの壁にぶつかりました。登録した会社でテストライティングにいくらチャレンジしても、まるで採用されないことが続いたのです。
 不採用の理由は「実績ある方が他にいたので」というものばかり。
(実績が採用基準になるのならば、新人はいつまでも不利じゃないか)と腹立たしく思い始めたときに目に止まったのが「0.2円」の仕事でした。

(受注のハードルの低さを狙おう)、そう考えて数本の募集に応募したんです。
 その時の私にとって、単価以上に実績のほうが価値があるものだったからです。この時だけは、単価にこだわらず時間をかけて作成しました。

 結果として、(私にとって)この選択は正解でした。その仕事が引き金になって他のクライアントから声を掛けていただくことができ、それから10年、少しずつですが前に進み続けることができたので。

 もしも今0.2円単価の仕事をするかどうか迷っている人がいるなら、私から言えるのは「ずっとずっと先のことを見据えて考えてみよう」ということ。

 食べて行けない単価の案件を「今」のために書くと、様々なリスクが生じます。一定の収入を得るためには大量受注するしかなく、時間的にも体力的にも負担がかかりすぎること。さらに、稼げないことで自信喪失する可能性もある。
 それでライターを辞めた人もいるのではないでしょうか・・。

 だから、収益アップを目指すための手がかりにするとか何か、意義を見出せる仕事になるかどうかをまず考える必要があるのだと思います。
「このジャンルは得意です」と胸を張って言える分野を攻めて、いずれプロフィールを作れるように。

 ちなみにその頃、私が意識して仕事獲得へ動いた分野は、ヘルスケア・メンタルヘルス系でした。R25やYahoo!のトップページに転載していただいた記事もいくつかあります。
 その後、医療系ポータルサイトのお仕事などに積極的に営業をかけられるようになりました。方向性を早めに定めて良かったと思っています。

ポイント2:掲載場所をきちんと確認しよう

 メジャーなポータルサイトに載って、話題性で上位5位以内に入ると大きな実績になります。私もわずかですが上位に入ったことがありました。トップを取れたこともありました。

 けれど、WEBの記事はすぐに流れていきます。
 だからこそ、実績作りで安価な仕事を引き受けるなら、掲載場所をしっかり確認することが重要です。
 クラウドで発注を受けると、たまにどこに掲載されたのか分からないままになるケースも少なくないので。

 一時期は大量に書いていたので、一体どれがどこに流れて消えたのやら自分でも把握しきれない状態が続きました。これは大失敗としか言いようがありません。
 いくら「上位に入ったことがあります」と言っても、スクショでもない限り、情報としては頼りないですからね^^;

 自分の失敗を踏まえておすすめしたいのは、以下の2ステップ。
1・いつ、どこに掲載されるのかを確認すること
2・掲載されたらURLを残し、なるべくスクリーンショットを撮っておく

 希望の仕事に応募するとき、実績を見せるために。
 これは将来、ライター初期の自分の実力や傾向を振り返る良い材料にもなります。ライターを続ける限り、実績をアピールできる成果物はできる限り手に入れて大切に保管しておきたいですね^^

ポイント3:発注者の文章力も大切な基準になる

 かなり昔の話ですが、お声かけいただいた案件の中で、びっくりさせられたものがいくつかありました。

「これわ大丈夫ですか?」
「〇〇みたいな内容の文が書ければおっけーです〜♪」

 内容は覚えていませんが、さすがにどちらもお断りしました。
 発注する人が原稿をチェックするかどうか判らない場合も多々あるので一概には言えませんが、せめてプライベートの文のクセを仕事に持ち込まない人と仕事をした方が良いと思っています。

 もしこの人が自分の文章をチェックしたら、と考えてクライアントを選ぶ、ということです。
 あまり考えたくありませんが、改悪されて原稿が世に出る可能性もないわけではないですから。

 クラウド系の会社を通して受注するWEBライティングの特徴として、赤字が戻ってこない仕事が往々にしてある点は意識しておきたいところです。赤字が戻らないということは自分の文章のクオリティや成長を確認できる機会が減るわけで、弱点を認識できないまま仕事を続けてしまう可能性が高くなってしまうのです。

 私が一番怖かったのはここでした。
 スキルアップを目指したいのに、ジャッジした内容を教えてもらえない。

 ではどうするか?
きちんとした文章を書けるクライアントと仕事をして、そこから再発注をもらうことを目標としたのです。そうするとやり取りのメールひとつでも参考になることがある。顔も本名も知らないクライアントとたくさん仕事をしてきましたが、文章がきれいな人からは、やはり学ぶことが多くありました。

重要な補足:単価は責任であり、同業者の助けであり、明日のご飯だ

 ここまで、「文字単価0.2円」との付き合い方を述べてきましたが、最後に大切な補足をしておきたいと思います。

 そもそも仕事として成立しない単価の案件を、プロならば引き受けるべきではない。ということ。
 単価は明日のご飯に直結するんです。そのことを忘れてはいけません。

 ライターが大勢いる都会ほど、地方より単価が安くなる現象が起こりやすいのは事実。売り手市場が続けば平均値が下がりますから。

 しかし平均値が下がると、正価の認識が崩れる。安く受注すればするほど、結局はライター自身の首を絞めることになるわけです。
 だから「0.2円案件に手を出すなら、明日の自分の糧になる仕事かどうかをよく考えましょう」、ということを今回は言いたかったのでした。

 報酬は、受注する側の価値評価であると同時に、発注する側の責任の示し方でもあると思っています。
 子どものお使いの駄賃のような価格で仕事をさせるような人が、納品物を丁寧にチェックしていると思いますか?
 残念ですが、単価と納品物の扱いは比例しますよ、往々にして。

 自分の文章に自信が持てない人もいるかもしれません(私もその一人です)が、少し上の仕事にチャレンジしなければ成長もない。
 自分に見合う価格より高めかなと思う案件でも、どんどんチャレンジしていきましょう!


 締めくくりの一言としてお伝えしたいのはこちら。

無料のテストライティングと超低価格案件には慎重に!

 価格が自分の文章の価値を決めるのではありません。
 価値ある仕事を目指して前進するのみです。


 とか偉そうに書いてみましたが、私もいまだに葛藤続き。手痛い赤字を戻されるたび、悔しさにシクシク泣きながら奥歯を噛み締め噛み締め、挽回を目指しています(笑)
 フリーランスの仕事は「Hard-fun(苦し楽しい)」。ライター同士で情報交換などもしながら、前に進んで行きたいですね♪



 「フリーライター率直…」(タイトル長くて略しづらいw)第2回目、最後までお読みいただきましてありがとうございます!

 次回は「見積もりください」への返し方がテーマです。
 のんびりとお待ちください!

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