「家族」を求めないで。多分、私はずっとそう言い続けてきた。

今日は、おおがきなこさんの日記を読んで感じたことを。
彼女の作品を読んで忘れられない気持ちになる理由が、少しだけ分かったような気がして、私も正直に書いておこうと思ったから。

私の実家の話をすれば、母親だけが家族愛を引き受けて、全身で体現しようとして見事に「ぶっ壊した」人で、父はといえば愛のかけらも知らず家庭に生きない人だった。

幼い頃からそれを肌身で感じていたのだろう私は、中学生の頃には子供を産まないと強く決心していたし、20歳で家を出たときは、そのまま適当に距離を置いて、いずれはユクエシレズになるつもりでいた。それくらい、私の中に家族愛は育たなかった。

そんな私が子供を3人持つ父親と再婚して、ぶつからないわけがない。
私からするとあまりにも甘すぎる父親である彼にイライラしたことは数知れず。

自分の中にある父娘像のほうに間違いがあるのだと、なかなか気づくことができずに、葛藤が増えるばかりだった。

そんな相容れない私と夫が大好きなのが、おおがきなこさんの漫画。

とてもやさしくてあたたかいのだけど、絶対に隠そうとしないおおがさんの「そのままの言葉」を読むたびに、どこかでホッとしてた。
大袈裟でなく、夫と、愛情に近い気持ちを一緒に感じられる、唯一とも言える作品だ。

共有できる気持ちがあると、ほんの少しだけど、安心が湧く。

私は私の気持ちを隠して嘘ついて、夫に合わせなくても良いのかも知れないって。
人並みの家族像を演じないといけないような気になって、無理して笑って仲の良いふりして、自分の裏側に溜まるギャップによじれてたけど。

私は、もともと家族を求めてない。
だから、子供たちとも縁が切れて一人ぼっちだと言う夫と再婚した。

のに、再婚直後に、父親に背を向けていた子供たちが思いがけず次々と帰って来た時、夫の態度に絶望したんだった。
嘘つき。ひとりぼっちと言っていたのに、一瞬で「家族と一緒」に戻って、私を置き去りにするんだねあなたは。
そう言いたくて言えなくて、何度も何度も喧嘩した。
喧嘩をしても、本音だけは言えなかった。

「私は、家族を求めていない」と。

心の中で多分、私はずっとこう言い続けていた。
こう言い換えても良い。

「私に、家族を求めないで」と。

でもそれを言えば、間違いなく夫を傷つけるから。

子供たちは可愛い。
でも、再婚した相手に親代わりを求めるのは、残酷だったり間違っていたり、よじれたりこじれたりするものだと、苦しくなるまで我慢してみてやっと答えが出せたのが数年前。

息継ぎができずにずっと泳ぎっぱなしだったような状態から、やっと顔を上げられたような安堵感がそのとき、あった。

だから、皆を嫌いになったり喧嘩したりしないために、ちょっと距離を置こう、と思った。
それを夫は、私が子供たちに嫉妬しているのだと思っているけど、そうじゃない。

パートナーとしてはどんなに仲良くなったって、親子の間に同じ質量で立つことは、そうそうできないというだけの話。

これからも私は家族を求めないのだと思う。
それを隠し通すような無理も、しないと思う。
子供たちにとっては、近いような遠いような距離感のオバサンになれればいいと思ってる。

頼りたい時は父親がいればいい。
ちゃんと母親もいるのだから、私がそこにしゃしゃり出る必要はない。

もしかして、どこかに私のように、再婚してうまく家族になれずに悩んでいる人がいるかもしれないから、今日は素直に書いておくことにした。

無理矢理、家族になろうとしなくて良いんだよ、って。
無理は、いつか破綻してしまうから。

血が繋がっていても難しいかもしれないことがいっぱいあるんだから。

例えば、親と喧嘩した時の避難所になれたら、それだけで良いんじゃないのかな。
素直な気持ちを話し合える相手になれたら、それだけで。

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