乱反射

乱反射

光が射し込む。
水晶色の輝く光が。
「わたし、わたしを許してあげるの。」
そういって私は自分の腕に触れた。
触れることで、わたしを信頼することにした。
傷ついた私の心に光が乱反射した。

はじめて好きになった人は、それはそれはわたしをお姫さま扱いしてくれて、
壊れないように。って、優しく大切にしてくれた。
この人と一緒ならずっと幸せになれると思った。
でもその優しさがくるしくなって、わたしはどんどん嫌な女の子になっていった。
ちいさなうそが重なりだしたとき、その人とお別れを決めた。

次に好きになった人はとてもひどい男の人で、
私は自分の心を見失ってしまうくらい彼に夢中になった。
でも自分を見失うような女の子を彼は好きになってはくれなくて、
わたしはその透明で透き通った私の心を
自分は濁っている。と思い込むことで、
なんとか立っていることができた。

男の人で傷つくのはよくあることだった。
でも傷があることも、
透明すぎることも、
素直すぎることも、
気持ちよくなることも、
全部、悪くないと思った。

それがわたしだから。

女の子は魔法が使える。
それはだれもができることであって、特別なことではない。
でも、それを忘れてしまってみんな生きていく。
わたしは自分が魔法を使えたことを思い出した。

自分で自分を癒してあげられる。
自分で自分を優しくしてあげられる。
自分が幸せになることを許してあげられる。

わたしを許してあげよう。
もっとかんたんに、ラクに、かわいらしく。
わたしは生きることが許されている。

そう、傷がたくさんあるからこそ、
だからこそわたしは
キラキラ輝いて乱反射する。

わたしは美しい。

傷の数だけ、強くなれる。

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