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zineを作りました

Zineをつくりました。
ロンドン芸術大学のスタジオデスクのアーカイブ集です。

私は昨年の9月からこの学校に通っており、次のアート制作のためのリサーチとして生徒が使うスタジオのデスクの写真を撮り始めました。

偶然ですが、撮り始めたのは学校が突然閉鎖するちょうど一ヶ月前、2/17からでした。

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ロンドンでの学校生活の中でこれらのデスクの汚れは、きれいな東京の街で生きてきた私にとって、なぜか異常に魅力的で、意識の沼のような存在でした。それに気付いたのはコースが始まってからすぐ。壁に立てかけられたデスクを見るとき先生の声が聞こえなくなるくらいに自分の意識との強いコネクションができることを感じることがありました。

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これらは人間の無意識的(+意識的)な振る舞いから生まれるマークの一種ですが、名もない複数のアーティストたちの極度に集中した創造的活動の足跡でもあります。こういったある意味特殊な集中の仕方って、例えば東京で働いていた私のライフスタイルの中からではなかなか見つけられないものでした。だからこそ小さい頃からアートの教室に通って来たような他の生徒以上にこれらに魅力的に感じたんだと思います。デスクを眺めていると、人間の意識上ではなかなか生み出せないような複雑なパターンや、線それ自体が遊んでいるような動き、複数次元に広がるような空間を感じることができます。

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私は思考に行き詰まった時などに、意識的によくこれらのデスクを眺めていました。アートのアイディアを考える時自分の中で無意識に凝り固まった言葉の論理構造を一度溶かすことがとても大切になるのですが、情報に溢れて忙しい日常の中では、なんとなく視野が狭まり物事に可変性を見出すことができないような気分になることがあります。デスクのマークはそういう言葉の論理構造を解体して再構築するのを促してくれる機能があると感じました。そしてその解き放たれた先は、決して新しいものに対する驚きではなく、既に知っているものをみているような不思議な感覚でした。

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3月17日に学校が突然閉鎖したことにより、結果的にこのアーカイブは私の卒業アルバムのような存在になりました。基本的にデスクは一人ひとつ使っていたので、このデスクのイメージは個人の思い出に紐づいていることもあります。題名のStill Rememberにはそのような意味も含まれています。

わたしは学校に通いながらずっとこの意識の沼を東京のど真ん中に設置してみたいなと思っていました。このzineを通して皆様の家にお届けできることを嬉しく思います。見てくださる方には日常の合間にゆらゆら意識を漂わせる目の置き場として、眺めていただけたら嬉しいです。



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