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【あかっぱのブラジル協力隊活動記】ブラジル編vol.4

Boa noite!(こんばんは)

あかっぱです(^^♪

今日、10月12日はブラジルではdia da criança と呼ばれる、日本でいう「こどもの日」にあたります。

そのため、私が派遣されているアリアンサでは小学校以上は今週一週間が休みなんです。そのため、日本語学校も休みになり、先週末から他地区の教師研修会に参加し、そのついでにサンパウロでブラジル学校の見学をさせてもらいました。

今回は、そんなブラジルの日本語学校やブラジル人が通うブラジル学校の見学を通して学んだことをまとめようと思います。





まず最初に訪れたのはマリリアという中規模の地区の日本語学校。

ここは、もちろんサンパウロにはかなわないにしろ、ショッピングモールもたいていのお店は揃っている、家族で住むにはぴったりな規模の地方都市です。(自分の勝手な見取りで言えば、東京23区がサンパウロ市としたときの高崎か大宮あたりの規模感でしょうか?)

さて、ここの日本語学校はいい意味でも、悪い意味でも「塾っぽい」。

子どもから大人まで年齢層も幅広い多くの生徒をかかえ、かつ1~3人の個別対応がメイン。さらに、土日や平日の夜にはイベントや料理教室をやるなどやっていることがかなり多い学校。しかも、それをたった3人の先生で回しています。

また、生徒も「日本語能力検定」(外国人が日本語をどれだけ使えるかを図るテスト。日本版TOEFL)を受けたい目的で通っている人が多い。

そのため、日本語の文法を一つずつ積み上げて学び、練習問題をやり、という塾っぽい授業をやっている。しかし、それが悪い訳じゃなくて、それを生徒も求めているし、個別の対応ができるから学ぶモチベーションがある大人がほかの学校に比べて多い印象。

それに比べ、いい意味で真逆な学校が二番目に見させてもらったピラルドスールという、マリリアに比べるとかなり田舎の地区にある日本語学校。

ここは、生徒はほぼこどもで、やっている教育も、これまたいい意味でも悪い意味でも「日本の小学校」っぽい。

日本語教師が、ほぼ日本語で授業をし、日本のしつけも大事にしている。だから、掃除もあるし、椅子の正しい座り方が張ってあったり、人の話を聞くなども徹底されている学校。部活動もあり、陸上の成績はブラジル内でもかなりいいらしい。

それがある意味、ブラジルでは日本にはない、いい効果もある。

ブラジルの学校が比較的大らかで自由な雰囲気なところが多く、それに比べ日本語学校で授業態度などを厳しく指導され、さらにブラジル学校にはない「みんなでやる」ことの楽しさを感じている子も多いんだそう。

その結果、日本語学校に来たことでブラジル学校での授業への姿勢が良くなったということもあるんだそう。

そのため、ブラジル学校でも日本語学校の評判はよく、保護者もそうした日本式のしつけや友達と楽しくみんなで活動することを求めている保護者も多いらしい。

3つ目に見学させてもらったのは、コロニア・ピニャールという本当にブラジルの中でもかなりの田舎にある学校。

「コロニア」というくらい、小さなコミュニティの色が強く、日系の人が入植してできたコロニアなため、日系の人のための日本語学校、という色が強い。

ここでは、「日系=両親が日系の人」(片方がブラジル人では「日系」とは呼ばない)というくらいに、いい意味でも悪い意味でも伝統やコミュニティの考え方を大事にしている。

そのため、日本語学校も生徒数はかなり少なかったです。

しかし、保護者が熱心な人が多く、私たち見学者に振舞ってくださった食事は本当に素晴らしい日本食で、それらすべてを保護者の方々の協力で賄っていた。


そして、最後にサンパウロで見学させてもらったのは幼稚園から小学校1年生までのこども達がいる平成学園と呼ばれるブラジル学校。
(ちなみに、午後には近隣の学校の2年生以上の子がそろばんや図書館で勉強をするために来たりもしています。)

この学校は、名前が日本名なことからわかるように、日本文化を大事にしていて、毎週日本語の授業がカリキュラムに組まれていたり、日本語を話せる先生が何人もいたりする学校。

そのため、駐在員の子どもや日系の子が約8割を占める学校でした。

教育方針として、生活の中から生まれる学びを大事にしていて、クラスの子どもたちの名前からアルファベットを学んだり、カレンダーから数字を学んだりしていました。

また、手先を使うために裁縫や粘土をしたり、休み時間には板やおもちゃを使って自由におままごとや車を滑り台で滑らしたりしていました。

日本でも最近増えている森のようちえんやオールタナティブスクールにも近いものを感じました。


ですが、実はこの学校、来年から学校名を変えるそうなのです。

というのも、日本名だと日本人の子か日系の子しか来なくて、運営がままならないんだそう。。。

なので、来年からは日本語の授業も、カリキュラムからは外してオプションにするそうです。。。

実は、今ブラジルでは、日系の人でも日本語を話せない親が増えていて、こどもに日本語を話せるようにする必要がないと考えている親も多く、むしろbrasileiros がいる学校にこどもを通わせる傾向にあるそうなんです。

そして、実はこの平成学園と同様なことがサンパウロ市内の他の学校でもあるそうで、現に周りの似たような学校も日本語の授業をなくした学校も多くあるそうです。


さて、これらブラジルの日本語学校や日本語や日本文化を大事にしているブラジル学校を見学して思ったことは「継承日本語」として日本語を学ぶニーズがどんどんと減っている、ということ。

継承日本語とは、「日系だから」「家族が日本語を話すから」「この地区は日系の村だから」といった理由で日本語を学ぶことを言います。

一昔前は、コロニア・ピニャールのように、この「継承日本語」の色が強く、こどもたちも「日系だから」「家族が言うから」など、良くも悪くも「なんとなく大事だから日本語を学ぶ」という子が多かったのだろうと思います。

しかし、今では平成学園に見られるように、日系の人でも日本語を話せない人も多くなり「日系だから」というモチベーションで日本語学校に来る人は減っています。

さらに、youtubeやサブスクも一般的になって、娯楽も増え、さらにブラジルの中でも習い事の種類が増えたこともあり、日系のコミュニティだとしても日本語だけが課外活動ではなくなっています。

さらに実はコロナでオンラインが発達したこともあり、日本語をオンラインで学ぶ、という人が多くなっていて、先生も日本語学校ではなくオンラインで個別に教える、という人が多くなっています。(実はそちらの方が給料もよいため)


つまり、何が言いたいかというと、学習者がなにかしらの

「benefit」

がないとやらない言語に、日本語がなりつつあるのかなと、この研修会weekを振り返って思います。

しかも、最低賃金も低く、若者の海外進出が懸念されている現在の日本。以前のように「出稼ぎ」としてお金を稼ぐために日本に行く、というモチベーションは、子どもも親も少なくなっているだろうと思います。



そんな中、日本語を学ぶ価値、とは。。。。



これは正直、「○○」といったように、一概には言えないと思います。

・マリリアのように日本語能力検定を受けたい人のための塾的ポジション
・ピラルドスールのように日本式のしつけや集団で物事を成し遂げる楽しさ

その地区の現状や、ニーズによって日本語学校に求められているポジションも変わってくる、そのように思いました。




翻って、こうしてほかの地区の学校を見させてもらうと、私がいるアリアンサの現状も明確になってきます。

「マリリアのように日本語能力検定を受けたい子は少ないし。。。」
「ピラルドスールのように生徒がたくさんいるわけでも、先生が多いわけでもないし。そもそも学校も小さいし。。。」

でも、逆に

「マリリアのようにショッピングセンターとかはすぐ近くにあるわけでもない」
「普段から同じような子たちとかかわっている」
「ピラルドスールと違い、アリアンサのブラジル学校では朝から夕方まで授業がある」

などの現状を鑑みると、アリアンサの日本語学校でできることも見えてくるように思います。



自分がいる地区の現状を把握し、現地の人のニーズにあった活動をする

それが協力隊


と訓練所で言われていたのを痛感します。


さて、来週から学校が再開します。

今回の研修を生かしてやっていきます!





最後までお読みいただきありがとうございました。


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