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黄金比で拡大するフラクタルのリズム構造

ここに基準となる音価Φ1,Φ2を設定します。

Φ2にΦ1の逆行型Φ'1を後続させます。
このリズムをΦ3とします。

Φ3にΦ2の逆行型Φ'2を後続させます。
このリズムをΦ4とします。

Φ4にΦ3の逆行型Φ'3を後続させます。
このリズムをΦ5とします。…

同様にして、
Φ(n-1)にΦ'(n-2)を後続させる操作を繰り返すと、
帰納的にリズムΦnを得ることができます。

Φn=Φ(n-1)+Φ'(n-2)
=Φ(n-2)+Φ'(n-3)+Φ'(n-2)

より、Φnは不可逆リズム(逆行型が自身と等しいリズム,olivier messiaenが提唱)の性質を持つことが分かります。

(Φ1,Φ2)=(1,1)の時、Φnの全長はn番目のフィボナッチ数F(n)と等しくなります。

フィボナッチ数の隣接2項の比の極限は黄金比となることから、nが十分大きい時、リズムΦ(n+1)の全長はΦ(n)を黄金数倍に拡大した物と等しいことが分かります。

Φnの極限としてΦ∞を定義します。

(Φ1,Φ2)=(a,b)から得られるΦ∞の打音点は全て、
(Φ1,Φ2)=(a+b,a)から得られるΦ∞打音点上に位置します。

ここから、次のような包含関係が導けます。

…{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(1,1)}
⊂{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(1,2)}
⊂{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(2,3)}
⊂{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(3,5)}…

⊂{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(F(n),F(n+1))
⊂{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(F(n+1),F(n+2))}…

nが十分に大きい時、
{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(F(n),F(n+1))}は
{Φ∞|(Φ1,Φ2)=(F(n+1),F(n+2))}を黄金数倍に拡大した物と等しくなります。

このリズムは極限に於いて等比級数的拡大をすることから、
Σ(n=-∞~∞){Φ∞|(Φ1,Φ2)=(F(n),F(n+1))}
は、自身の拡大型が自身と等しい、フラクタルの構造を持つことが分かります。

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