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馬の合わない店長との折り合いについて3

今思えば、なんとなーく、そんなような発言があったようにも思うのですが、当時の私は上田店長のことを信用しきっていたので、疑いもしませんでした。
4月に入ってから、上田店長は「俺、今『イカ墨カレー』にハマっててさぁ、家でつくったらめっちゃうまくてさ。これ売れると思って!」とか「元イタリアンシェフが作る揚げピザって言ったら食べたいと思わない?」など、よく私に話してくれました。
私は喜んでそれを聞いていて、「絶対おいしいじゃないですか!売れると思います!」なんて言っていました。
でも、店長はいつもそう話した後「まぁ、まだ全然金ねぇから、5、6年先の話だけどなー」と付け加えました。
私は、上田店長のように、大人になっても目標や夢を持っている人って素敵だな。もっとこの人のもとで働いきたい!とさえ思っていました。
店長の影響で、私も何かやれるかもしれない!と、自分の夢についても妄想を膨らませるくらいで、ますます仕事をするのが楽しくなりました。

そんな話をするのと同じ頃、上田店長が「社員みたいな人を雇ったほうが、寺田さんも石田さんも休みとか取りやすいよね。」と言い出しました。

当時、お店は『店長+パートのどちらか』の二人体制で回していました。店長は基本的にキッチンで調理。パートの仕事はオーダー、盛り付け、サーブ、デザート、ドリンク、お会計など、とにかく多岐に渡りましたので、忙しいときは本当に目が回りそうでした。
なぜ、そんな働き方ができたのかというと、二人体制で勤務したときは時給が850円から1100円に上げてもらえるからです。
それでなんとかモチベーションを保つことができました。(このころは、ほぼ毎日二人体制だったので、お給料がめちゃめちゃ良かったです。)

お休みの件で言うと、私には4歳の娘がいて、突然熱を出したりするたびに、店長に電話してお休みを頂いていました。
店長はそういう時、一度も嫌な顔はしませんでした。「お、いいよいいよ。お嬢ちゃんお大事にね!」と快くお休みにしてくれました。
そういう時は店長が一人でお店を回します。パートの石田さんに代わりをお願いすることもできますが、石田さんもお子さんがいるし、彼女は土日休み、週4勤務まで、という希望で働いていたので、必ずしも替わりに入れるわけではありませんでした。
上田さんはその希望も必ず守っていたので、パートの急な休みのときは一人ですべての仕事をしていました。(絶対しんどいと思うんですが、そういうのを一切言わない人でした。)

そんな状況だったので、社員さんのようなポジションの方がいれば、私たちパートも今より休みがとりやすいし、仕事も少し楽になるし、なんにせよ、店長自身が楽になる。私は首をぶんぶん縦に振って、大賛成しました。

そうして現れたのが山川さんでした。


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